Interlude 残された者の雑念
「やることもないのにどこにも行けない。地獄ぅー」
「……仕事中ですよ、隊長」
書類仕事を手伝ってくれてるアンナに咎められるけど、コレだっていらない仕事なんだよね。
まあ、王国の戦力である以上訓練は必要なんだけどさ。それでムダに怪我してムダに予算使ってどうすんのかな。
「いっそのこと、ダンジョンの周回して素材回収でもしてくれば収支計算合うんじゃない?」
「かもしれませんけど、冒険者ギルドの領分を侵すのも良くないでしょうし」
そこは士団管理のダンジョンを、って、それも騎士団から苦情が来るか。いや、エルブレイズ殿下に話を通せば……ダメかな。
「そもそも、どちらにせよ書類は増えるのでは?」
「言われてみればそうだ。ダメか」
あーもう世の中うまく行かない。私もステルラとかシムラクルム行きたかったな。
「……旅団を組んで遠征演習とか」
「それは悪くないかもしれませんね。ただ、日程や出入国の調整に数ヶ月は掛かりそうですけど」
「アレもコレもダメかー」
ホントにままならないなぁ。
これ以外の生きる道なんていくらでもあるけどね。
「アンナはさ。言い方悪いけど腰掛けの予定だったんじゃないの?」
「唐突ですね。ええ、隊長に誘われた当初はそのつもりでしたけど、案外向いてるかなって。やりたいこともやれて結構自由ですし」
「そっか」
だったら、引き込んだかいもあったかな。
逆に私は戦うことしかできなくて、それも半ば封じられてるから不自由に感じてるのかな。
それでも両殿下に認められてるし、そもそもそういう意図で私は士団に入ったけど、間違ってたのかな。ユーリと一緒に行けば、今とは違う道が、
「だから、隊長、いえ、フレイアさんには感謝してるんです。ありがとうございます」
「え? あ、うん」
そっか。私がここにいた意味もあったんだ。
そうだね。アイリスちゃんのこともそうだし。意味ないってことはないのか。
「こちらこそありがとね、アンナ」
「はい?」
まあ、私の心の内は伝わらないんだろうけど。それでも、ほんとにありがとね、アンナ。