Material 連合と共和国
獣人と魔族。
言葉でまとめるのは簡単だが、両者ともにかなりの多種族だ。その中にはお互いに似通っている種族もあるし、実際は所属が逆なのではないかと思える種族もいる。
それでも、前の世界で人類が大小諸々の差異であれだけグチャグチャに線引きしあっていたことを考えると、人間と獣人と魔族という明確な大分類に分かれて収まっているのはとんでもない事のように思える。
もちろん、エルフのような近精霊種やドラゴンのような神霊種もいるし、ミアさんのようなハーフもいればティアさんのようなクォーターもいる。いつか姿を見て話せるようになるのかはわからないが、精霊だっている。世界は三色で塗り分けられるわけではない。この辺りを破壊して一色で塗り潰そうと妄想してるのが混沌のような組織のわけだが、それは置いておくとして。
ステルラは、連合という名が示す通り各獣人のコミュニティーが集まって出来上がっている……と言えばこれもまたそれで済むような話ではなく。
ユメさんを例とするなら、彼女は牛人族の中の白牛人族になる。同列には茶牛人族や黒牛人族がいる。ステルラ連合は、失礼な言い方をすれば図鑑の分類のような多層の枝分かれが一纏めになっているようなものであり、どこかの種族が一つの国としてまとめているというわけではない。それぞれの種族が作る各コミュニティーを保護する存在としての疑似的な国家様態があるというか。というわけで国としての代表も各種族での持ち回り制なのだとか。だから、ユメさんがステルラをまとめる時期なんてのが来る可能性もあったりする、のかもしれない。
今の代表は……誰だったかな。時事情報はあんまり入ってこないんだよなこの世界。
対するシムラクルムは、共和制ではなく共栄と和合の国と言ったほうが正しい。国家形態としては象徴魔王制とでも呼べばいいのか。
魔族は獣人ほどの細分化はなく、各種族が横並びというか同芯円状に発言権を持っている。その多数種族の中に魔王の血脈というものがあり、そこだけがわずかに強い発言権を持っているらしい。わずかなので、多数決なら簡単に覆るとかなんとか。
現在の魔王は、ニフォレア・ヴォルラット。確かな威厳とたっぷりの茶目っ気を持ち合わせた、国民から慕われる良き王にして良き父親だった。
これがステルラ連合とシムラクルム共和国の国家形態。
これから向かう二つの国の話。




