Sumally&Next こんかいのたびのそうかつと、つぎ
「いやー、一生分食べた気がするよー」
帰ってきて早々、リビングでお腹をさすりながらセラが言う。ちょっと行儀が悪いとも思うが、なにより同意できてしまうしオレ自身そうしたい面もあるので笑ってしまう。
「なんだかんだで、最後はみんな取り合うように食べていましたね」
「レアちゃんのおうちで働いてくれてる人とまでそうなるとは思わなかったけど、それだけレインさんの料理が美味しかったからっていうのもあるよね」
レアの言うとおり、海鮮の忌避感が克服できたのはよかったな。克服するハードルがあったか微妙なレベルだったかもしれないけど。
あと、姉さんの言うとおりレインさんの料理の腕も。即席でよくあそこまで和食に近いものを作れる。やっぱりあれはもう一つの立派な才能だ。
「と。いうか。それでお父さんとお母さんのこと。忘れてすらいる」
そうですね。今回の主題はそれですね。
流れが変わったのどこからかな。カニのあたりからかな。大脱線したのはタコだけど。
ともかく、各家へのご挨拶回りは続けないと。
「今後行かないといけないのは、ニーティフィア家にシュベルトクラフト家にハウライト家にエルシュラナ家。それと改めてフリュエット家にガーネット家か」
「私の家とララさんの家もですか?」
「九羽鳥悠理としての悠理の話をしていないからでしょう」
「ああ、なるほど。そういえばお父さんとお母さんは知らないんでした」
いい加減、ベニヒさんはなんか気づいてそうだけどな。それでも自分の口から説明するのが筋だし、トールさんにもちゃんと話を聞いてもらわないといけないし。
ララのご両親は、今度こそ怒られやしないだろうか。一回誤魔化した形になってるもんな。
「それと私もエーデになんか言ったほうがいいんだろうなぁ……」
フレイアもボソリとこぼす。
そのへんの関係性は把握しきれているとは言い難いのだが、たしかにセラが自分より深い関係だと嘆くくらいだからその必要はあるか。というかなんだかそこが一番ハードルが高い気がするのは考えすぎなのだろうか。
「私の家っていうかエルフの里は最後かなぁ」
「どこからでも行けるはずだけど。ちょっとワタシとエルフェヴィア姉とウンディーネたちで練習する。待って」
うん。アーチェリアさんの話聞いてからだと今さら感が出ちゃうけど、今さら感が出ちゃうほど簡単なはずのことをやらずにいたんだから、準備はいるよな。
「じゃあ、一応帝国領内だしまず帝都にか。っても弾丸ツアーはきついし数日はおいてから」
「あの」
指折り日付を数えようとしたら、ララに止められた。
言葉を遮った当人はなんとなく話し出しにくそうな顔をしていたが、意を決したようで、
「……正直なところを言っていいですか、悠理」
「ん? うん」
その前置きだと苦言みたいなのが来るんだと思うけど、なんだろうか。
ララは、みんなの顔を見回してから頷く。
「みんなで出かけるのが楽しいのは事実です。今回も楽しかったですから。しかし、どうしても時間や行程そのものが圧縮されたり噛み合わなかったりで持て余すのもまた事実だと気づきました。ので、この人数全員では、その」
あー。
たしかにそうかもな。オレもオレでみんなの顔を見ると、それぞれもそんな顔をしてる。
うーん。これもまた甲斐性の問題だな。申し訳ない。
「私たちに対して悠理は一人しかいないのだから当然なのですが、だからこそもう少し密度を濃くしてもいいのでは、と。なので、とりあえずはご実家や各々のご両親への挨拶については人数を絞るということで。もちろん、みんなで出かけるときはそれで構いません」
なるほどね。今回のことだって、メインはティアのご実家への挨拶。片手間じゃないにしても、ちょっとでもそう見えかねないのも失礼だもんな。
「じゃあとりあえず次の行脚は、オレとセラとフレイアで帝都か」
「まあ、どうあっても私とフレイアさんは姉上で切り離せそうもないし? そこは一回で済んでよかったかな?」
「そうだねー。無事に済むといいねー」
フレイアが遠い目をするが、さてなにが起こるやら。とりあえず気合だけは入れていこう。




