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風魔法使いの転生無双  作者: Syun
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Trial レインノーティア・ファイリーゼの異世界クッキング 海産物編

 一品目:サバの異世界昆布締め風


 サバはまず表面の皮を取って。海塩を振ってしばらく置いておきます。この間に他のことも進めておこうか。

 あ、海塩と岩塩の違い? 料理的な面で言えば、溶けやすくてまろやかだね。岩塩は圧力で固まってるから、密度が濃いんだろうね。素材になじませたいときは海塩で、味のインパクトを強く出したい場合は岩塩かな。

 しばらく経って進めても良さそうなので、浸透圧で出てきた水を捨てて、表面に浮いている水分も拭いたら小骨を取り、一口大に切ります。

 切ったサバは穀物酢に浸しておきます。こっちもしばらくおいたほうがいいけど簡単に表面にまとうくらいでいいかな。いや、他の準備してれば浸透するか。

 昆布については今回は天日乾燥ではなく風乾ですし、包丁を立てて削り落とすようにしておぼろ昆布風に。

 酢から取り出したサバを皿に並べ、上から昆布をふりかけて完成です。



 さて、浅漬けより浅漬けって感じだろうけど実食という名の味見をしておこうか。料理人特権だね。

 あと、ユーリくんがちゃんとしてるだろうとは言え生魚っていうのもあるし。正直そこはちょっとビビってるかなあ。

 でも、度胸じゃい。行ったれ。

 口に入れ、舌でまず味わい、咀嚼、嚥下。


「さすがにちょっと違うけど……ほぼ予想通りの味ではある、かな」


 味も、なにより体調も問題なし。

 ということで、生が行けるかどうか試すためにも皆様にもつまんでもらう。ためらいなく手を伸ばしたのは当然ユーリくんだけどね。


「こっち系の酢ってあったんですね。てっきり果実酢ばかりかと」

「街で話聞いたら、それっぽいのを知ってる人がいたから伝手でね。製法自体は穀物酒と同じだし、あってもおかしくなかったかな。作用する菌が違うだけって感じだし」


 へえ、と頷きながらユーリくんはサバを口に放り込む。たぶん酸味で一瞬顔をしかめはしたけど、


「うま」


 と一言。多くを語らないあたりが本音だなって気がする。


「これがお姉様とユーリくんの故郷の味ですか」


 レアの表情にも不快感はなさそう。


「ん? んむ? おいしい? いやうん、おいしい。ただ、これまで食べたことない感じでちょっと戸惑う」


 セラちゃんの感想はごもっともかなぁ。


「焼いた川魚を食べたことはありますけど、あれよりしっとりとしています。生だとこういう食感になるんですね」

「うん、おいしいよ。サラも食べられたらいいんだけどね」

「大胆にやっているように見えましたけど、繊細な味とララさんの言うとおり食感が絶妙です」

「最初は酸っぱいって思ったけど、すぐにそれが抜けていってあとに美味しさが残る感じ。こういうのだったんだ」

「はい……たしかに食べたことのない……新しい味です」


 ユーリくんから和食について聞いていただろう組も、感触は上々かな。


「うん。不思議な感じだけど美味しい」

「酢の酸味に、これがコンブのコクや旨味というものでしょうか。そこにサバの食感と味。なるほど」

「たしかに。酢の酸味が強く来る。でもその後のサバ? の味が。うん。いい」

「肉とゼンゼン違って、なめらかだけどカタチがちゃんとあるノがほぐれていくカンジ? ソレがなんか気持ちいいネ」


 お姉ちゃん組も口にあったみたい。よかったよかった。


「ガツンとした酸味がすぐに溶けて消えて、ほろっとした魚の美味しさとこれは昆布の優しい味でしょうか。たしかに肉とは違いますね。おいしい」


 アカネちゃんも批評家っぽい言葉で絶賛。


「川魚は私も食べたことあったけど、焼きだけだったからなぁ。火が通ってないとこんな感じになるんだね」


 フレイアさんは小刻みにうなずき。

 どうやら好評のようだね。あー、よかった。他の調理が終わって食べ始めるころにはもっといい感じのはずだ。そのときの感想も聞かないとね。



 二品目:即席酢だこ


 タコは一口大に切り……たいけどでっかいなこれどうしよう。あ、剣でね。ありがとう。それでも量多いな。

 ボウルに酢、砂糖多め、塩いくらかを混ぜてタコをドボン。さらに、よく水洗いしたワカメとついでにキュウリを入れて。これまたしばらく置いて出来上がりだから、待ってる間にこれまた他の調理を進めておきましょうか。

 さて、時間をおいて馴染んだかな?



「こっちは味見というか……まあ食べてみて」


 各々フォークでタコを突き刺した瞬間、変な空気の震え方をした気がした。それでもみんな口には入れてくれる。

 ユーリくんだけ一拍遅れたのは、苦笑いというかむしろいたずら小僧みたいな顔で理由を察しちゃうね。


「こ、これは」

「すんごい食感」


 レアとセラちゃんはもにゅもにゅと口を動かし続けてる。噛み切れてなさそう。


「た、たしかにこの食感は」

「気持ち悪いっていうほどじゃないんだけどね」

「いえこれ、ええ、たしかに気持ち悪くはないんですが」

「ん、んん?」

「すごい……ですね……これ」

「さっきからのギャップがすごい、かな」

「おいしいですが、人を選びそうな」

「やわらかくもあり。かたくもあり。やわらかくなくもあり。かたくなくもあり」

「ティアちゃんのヒョーゲン、よくワカル」

「苦手、ではないですし。ユメさんと同じく美味しく思いますけど、ええと」

「これ、成功なんだよね?」


 みんなこれ以上ないくらいなんとも言えない顔に。


「こんなもんだよ、タコって。イカも生だとかな」


 そう言いながらユーリくんはもう一つ口に放り込む。この状態を見てる人によっては、たしかに悪魔を退治する勇者に見えるのかもなぁ。

 生ダコ系はまだ早かったかな。まあ、本物の生ダコじゃないんだけど。あとはガッツリ火を通すし、大丈夫だと信じよう。



 三品目:海鮮しゃぶしゃぶ下準備


 ユーリくんに乾燥してもらったコンブを鍋に入れた水につけて……え? 乾燥させた意味? 旨味の濃縮とかかな。乾燥したら細胞が壊れて成分が出やすくもなるし。ほんとは天日がいいからできたかはわかんないけどね。

 ついでにこれまたユーリくんに乾燥してもらったイワシを軽く炙って。表面が焦げたらワタをとって。これも別の鍋に入れて。

 さらに今回は贅沢にもキノコ出汁も作リますよ。これも干しキノコを水にぽぽいっと。

 そして三つとも火にかける、と。

 ゆっくり熱を加えながらしばらく待って。

 具材はとりあえず野菜と、スズキを使おうかな。肉も行けるけど今回は魚だけでいいか。

 さて出汁は、と。おっ、おっ、キノコ以外もちゃんと黄金色になってきましたね。



 それにこの香り。味見味見、ッ!


「くぅー、来たこれ! これこれこれこそ和の出汁よ!」


 本音を言えば繊細さが足りないからもうちょっと詰めたいところだけど、この世界の他の素材同様魔力ゆえの力強さも悪くない。他のにも使おう。


「肉や野菜を煮込んだものよりなんと言えばいいのか……そう、穏やかな味です」


 ユメちゃん、うまい表現するなぁ。


「お魚と海藻とキノコ。どれも脂がないからスッキリしてるのかな」


 アイリスちゃんの言うとおりかも。鶏ガラはそうでもないけど、コンソメもブイヨンも豚骨もどうしても肉の脂が溶け出すから重くなっちゃうんだよね。

 各々味見して、苦手とかはなさそうだ。出汁オーケーか。この感じなら、あとはガンガン行っちゃって大丈夫かな。



 四品目:海鮮つくね


 みんながおろしてくれた魚の中骨、身が残ってるところをスプーンでこそげ取ってくれる? あと、ちょっと崩れちゃったのを見繕って包丁でたたいて、と。

 あー、ララさんララさん。落ち込まなくても割と誰でもこうなるから気にしなくてもいいって。最初からやる気ではあったし。むしろ、思ってたより少なくてびっくりしたほうだよ。食感が良くなるしタコでも足しとくかぁ。細かく刻んて、と。いやさらに熱通したら締まるからもうちょっと食べやすくなるって。

 つなぎに小麦粉を足して、混ぜて、揉んで。粘りが出たら一口大に丸めて串に挿して、塩振ってと。

 醤油があったら照り焼きにもするんだけどねぇ。味噌探してついでにたまりを仕入れたほうが楽かな。



「火起こしやってくれる人ー」

「やりまーす」


 セラちゃんが瞬時に手を上げて着火してくれた。火の管理はユーリくんかな。風魔法もあるし。

 焼くのは全部の準備が終わって、食べ始めるとき。まだもうちょっと先。

 いやー、楽しみだし楽しい。



 五品目:イカ


 しまったイカを忘れてた。こいつの捌き方はちょっと特殊なんでまた今度。

 っても、こうガッと指を突っ込んで中ワタを剥がして引っこ抜いて。

 胴の部分は軟骨を取って内側を洗ってから皮を剥がして。

 足の方はワタと分けて、目とくちばしを取って。足の長いやつを切って、ウロコ取りの要領で吸盤を落として。

 ってするだけなんだけど。

 刺し身できないし今回どうしよっかなあ。とりあえず塩、ハーブ、レモンで炒めるでしょ。それと……あとは適宜考えるかな。



「いまさらだけど、不思議な形の生き物だなぁ」


 セラちゃんがしみじみ言う。

 たしかに、水の中にはいろんな生き物がいる。陸と違って立つ必要もないから、形態は全然違う。

 違う、はずなんだけど。カニやタコも立ってたって話だし、イカも立っちゃうの?



 六品目:タコ飯


 予想以上にタコが多すぎだし、これも行っちゃうか。

 ご飯は普通に研いで、鍋に。乱切りにしたタコを入れて、塩で調味した出汁を入れて。

 好みが分かれちゃうかもしれないけど、ショウガを今回は量が量だからまるまる一個すりおろして加えて。

 あとは火にかけて、炊きあがりを待つだけだね。



 ご飯を炊く用意をササッと済ませたら、フレイアさんに苦笑された。


「なんだか、脈絡なくシンプルになってない?」

「別にあれこれこねくり回すのだけが料理ってわけじゃないですからね」

「ユーリさんが言っていた、『どこまでが料理か議論』ですかね」


 だね。アカネちゃん、というかユーリくんのというかかつての日本での戦争になる論議どおり。

 もちろんサラダだって立派な料理だし、ただ切るだけに見えるかもしれない刺し身も切りつけとか飾り包丁とか日本料理の原点にして真髄みたいなのが詰まってるんだよね。

 レトルトを調理とするかは。うん。立ち位置を言うと敵を作るね。



 七品目:出汁かに玉


 卵割りまーす。

 前もって用意してた鶏ガラスープ入れまーす。

 カニの身をちぎって入れまーす。

 混ぜまーす。

 フライパンでオムレツにしまーす。

 そんだけよ? 簡単でしょ?



「たしかに。簡単」

「でもおいしそう。オムレツより豪華なのに私でも作れるかも? うん、フィーも」

「こいつをご飯に乗せても美味しいんですよねぇ。ってやっぱりあんかけのために醤油がなぁ」


 道は長く遠いねぇ。これはこれで簡単贅沢料理で文句を言っちゃいけないんだけども。



 八品目:いろいろフィッシュ・アンド・チップス・アンド・天ぷら


 魚で和で揚げ物だと竜田揚げが主流だけど、結局は下味が問題だからなぁ。ここは小麦粉で唐揚げっぽくしようかな。

 小麦粉をまぶして軽く叩いて。じゃがいももくし切りにしておいて。

 あとは揚げていくだけ。食べるときはケチャップとかソースとかハーブソルトでいいかな。もしくはレモン。

 さらに、背開きにしといたキス。これは小麦粉と卵を混ぜた衣で天ぷらに。食べるときは出汁で。

 ついでだし野菜もいくらか揚げておこうか。そうだカニとタコとイカもフライと天ぷらそれぞれで揚げちゃえ。



「こんなになんでもかんでも油に入れてしまっていいんですか?」


 ポイポイと食材を油に放り込んでいく私に、ネレさんがちょい引き気味だ。でも。


「いいんですよ。『揚げ物は万能』ですから。揚げて不味いものなんて基本ないんです」

「すごい言葉ですね……」


 ララさんも笑顔が引きつってるけど、絶対に間違ってない魔法の言葉。

 おそらくこの世界のどの魔法よりも強いかもしれない。なんて。

 揚げ物は、正義。

 ただし。若いうちは。正義と悪は表裏一体、立場によって姿を変えるのだ。

 あとあんまり一度に入れすぎると油の温度が下がるので注意。それは絶対的な悪。



 九品目:簡単で大胆でガッツリとしたアヒージョとアクアパッツァ


 やや深めの鉄鍋にオリーブオイルをジャバジャバ注いで。剥いたニンニクを手で叩いてからほいほいと入れて。

 火にかけて、オイルが熱くなってニンニクの色が変わってきたらダッチオーブン……っていうか分厚い鉄鍋に少量分けておく。

 残ってる油の中にタコ……せっかくだからカニも入れちゃえ。さらにキノコとか野菜とかを入れて煮る。こっちがアヒージョ。

 移したガーリックオイルの方には魚類を入れて揚げ焼きに。

 魚に焦げ目がついてきたら、水と白ワインを足して、イカ入れて、トマトを始めとした野菜とハーブ類を入れて、蓋をして煮込む。

 最後に岩塩で味を整えて完成。こっちがアクアパッツァね。



「ちょっと作り方を変えるだけで別の料理になるんだね」


 二つの鍋を見比べながらレヴさんがキラキラとした目を向ける。


「本場の人からは怒られそうですけどね。発祥の国も違いますし」


 実際、作り方も違うし。そもそもなんでも入れていいってわけじゃないだろうしなぁ。そこはこういう場のノリってことで許していただきましょう。



 十品目:各種焼き魚


 とりあえず、魚にはまとめて塩を振りまして。水が浮いたら拭いて。

 普通に塩焼きにする分を取り分けて、残った分には小麦粉を振りまして。

 フライパンにバターを溶かして、ひたすら焼いていけばムニエル。調味は各種ハーブ粉末や秘密の調合パウダーでどうぞ。



「レインさん。秘密の調合パウダーってこの匂いは」

「そう。カレーよ」

「マジですか」

「ちなみにラーメンも詰めの段階よ」

「……マジですか」


 ユーリくんとハイタッチを交わしたのは言うまでもないね。



 十一品目:カニ グラタン パスタ


 せっかくだからこれもやろうか。まずはマカロニとフェットチーネを茹でておいて。

 次は……くくく。カニが大きすぎるから大胆に使おうねぇ……ふへへ。新草雨音時代じゃこんなんできないぜ……おほん。

 鍋に牛乳をそそいでコンソメスープを適量加えて温め、沸騰する前にブールマニエを加える。ん? ブールマニエ? 小麦粉とバターを当量混ぜ合わせただけだよ。ソース系を作るときにダマになるとか焦げるとか考えなくて済むんだよこれで。

 とろみがついたら塩で調味。ホワイトソースの出来上がり。これは他にいくらでも使えるから覚えておくといいよ。肉と野菜入れたらそのままシチューだし。

 カニはむき身にしてっていうかそのままじゃ無理だから適当にちぎって放り込む。軽く熱を加えたらバターを塗った鉄鍋にマカロニ、ホワイトソース、チーズの順に入れて、火にかける。ホントはオーブンでやるものだけど、ここは上から火魔法で炙ってもらおうかな。これをご飯でやるとドリア。ご飯炊きすぎて余ってるときの便利レシピかな。

 残ったホワイトソースはフェットチーネのパスタソースにしてカニクリームパスタ。お好みでトマトを加えても美味しいよ。



「ちなみにこのソースを冷やしてから成形して衣を付けて揚げるとカニクリームコロッケになるね」

「コウして見てると、いろんなコトがいっぺんにできたり共通してたりするんですネェ」

「労力減らすに越したことはないからね。それでも美味しいものは美味しいのよ」

「勉強に……なります……とても」


 繊細なのも大事だし、工程にも満足感はある。けど、スパッとサクッと作ったり、出来合いをアレンジするのも楽しいのだ。



 十二品目:たこ焼き


 こんだけタコがあったらやるっきゃねーだろぃ。というか、ここで使わなきゃ首を傾げながら作られたこのたこ焼き用鉄板が泣くってもんよ。

 長芋をすりおろしっ。小麦粉と卵と出汁を混ぜるっ。さらにネギを加えて混ぜるっ。タコを一口大に切り分け。準備完了っ。

 鉄板にお玉で生地を流し込みっ。一つずつタコを投入っ。

 周りが固まってきたなと思ったら、アイスピック(千枚通し)でくるりくるりとっ。半生くらいの状態で取り上げ、ソースをサッと一かけっ。

 っしゃあ! 鶏肉とかでごまかして幾星霜! ついに完成モノホンのたこ焼きじゃい!



「……誰?」


 はっ!? 誰かにツッコまれたけど、エセ関西人になってた。いやエセエセエセ関西人くらいかな。

 でも、異世界でたこ焼きが作れるってなったらこれくらいのテンションになっても許されないかなぁ? ねえ、ユーリくん?


「気持ちはわかりますけども……テンション」



 十三品目:漁師汁


 汁物も作らないといけないよね、当然。

 しゃぶしゃぶ用の出汁をいくらか取り分けまして。塩少々。

 余らせてたつくねを入れて。ワカメも入れて。ついでにカニも入れちゃえー。



 こんなところかな。


「材料的にはカニのポタージュとかできたかもだけど、時間的に見送りかな。クリームだと被るし。そういう意味じゃスープ系統がなくてバランスがちょっと良くなかったか」

「そんなことありません。すごいですお姉様」

「ほんとほんと」


 レアもセラちゃんも満面の笑顔で喜んでくれる。頑張ったかいがあったよ。

 まあ、ビュッフェってよりバイキングのノリだよね。ホテルとかじゃなくて子どもの多い食べ放題みたいなさ。いいじゃんわんぱくで。


「コッチの残ったのはドウするんですカ?」


 ミアちゃんが見るのは、生のままの魚とか貝。あと足がほぼ残ったカニとタコ。


「そっちは出汁でしゃぶしゃぶにするのと、塩振った魚と一緒に好きに網焼きかな。味付けも自分で好きにやる感じで」


 ただ、バター醤油がなぁ。割と最高なんだよなぁ。やっぱり醤油は偉大だよねぇ。

 そろそろわたしも自分の足で飛び出さなきゃか。自分探しじゃなくて醤油含めた調味料探しにってのはどう思われるかわかんないけども。

 さて。こうやって自分で料理しまくっといてなんだけど。


「さすがにこの量はちょっと食べ切れないかな。屋敷の人たちもみんな見てるみたいだし、おすそ分けしていい?」

「そりゃもちろん」

「ええ」

「そうしましょう」

「レインさん、初めからそのつもりでしたよね」


 ユーリくんを始め、みんな快諾してくれる。

 美味しいは楽しいから、家族のみんなとも。それがレインノーティア・ファイリーゼとしての私が願い続けていることなんだよね。

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