第七十九章 お祭りの準備はまず密やかに
というわけで海産物を手に入れた我々は、人目を避けるためにやや迂回しつつファイリーゼ邸に直行したのだった。
クースルー家におすそ分けもしたほうが良かったかもしれないけど、得体のしれない食材を渡されても困るもんな。 また行く機会もあるだろうから、それもまたそのときに。
今いるのはファイリーゼ邸の庭園調理区画。主用途としては貴族同士のガーデンパーティーとからしいけど、使用人さんの家族と一緒にバーベキューをやったりすることのほうが多いらしい。今回は巨大生物二頭がいるので屋内は無理だったし、おあつらえ向きだ。
まとめて冷やした木箱はテーブルの上に。カニとタコは地面に並べる。
「……でっ、か。ここまでとは。さすが異世界」
レインさんがしている表情はまさに「鳩が豆鉄砲を食ったよう」というやつ。気持ちはわかる。
今回はとりあえず料理長さんを初めとした邸の使用人さんたちの参加は見送りになったけど、人がいればその分同じような顔が増えたんだろうな。ていうか、こっちから見てないだけで窓とかから見てるかも。
あと、アイルードさんは王都だとか。そこは残念だ。
「なにからお手伝いしましょうか、お姉様」
「え? ああうん」
胸の前で拳を握るレアの声でレインさんは魂が戻ってきたようだ。
「……いや、うん。手伝ってくれるのはありがたいし今後のこともあるからお願いするけど。選別する時間もあるし、ちゃちゃっとお風呂入ってきたほうがいいんじゃないかな。みんな髪の毛ガサガサになってるんじゃない?」
「ん? おわっ!? ほんとだ!?」
誰より早く髪を触ったセラが叫ぶ。それを見て同じようにした他のみんなも不思議な表情だったり不快な表情だったり。
そう言えば、海ってそういうもんだな。海っていうか潮風。
とか思ってたら、ほぼ全員の目がオレに向く。
「ん? なに?」
「いえ……さすがにそれは」
「そうねー、そういうのはおうちでやってねー」
バツの悪そうなララと虚無のレインさん。なんでしょうかね。
ああ、オレだけ別でってことね。当たり前でしょうが。
「オレはいいよ。行ってきな」
手を挙げると、大多数が苦笑しながら屋敷に歩いていく。生暖かい目が一つ残ったのは気にしないことにして。
「とりあえず、ほい」
「どうもです」
出してもらったお湯の玉に頭を突っ込み、適当に髪をすすぐ。感触が変わったあたりで引き抜き、風魔法で乾燥。
塩の溶けているかもしれないお湯は、大部分が蒸発させられてゴミ箱へ流し込まれた。無詠唱も魔法自体も使いこなしてるなぁ。
「それでは、いっちょ選り分けていきますか」
レインさんは腕まくりをし、慣れた様子で食材を分別していく。大雑把な分類はしてきたけどそこからさらに細分化されていく。
「あ、これコンブかな? ちょっと乾燥させてみてくれる?」
「了解です。ついでに干物とか作りますか?」
「干物ねぇ。下味付けもあるからどうかな。シンプルなのは海水使ったりするらしいけど」
「単純に干すだけじゃダメなんですね」
「そういうのもあるけどね。開きにもしないといけないし、それは次回かな」
話しながら風魔法でコンブっぽいらしいものを乾燥させつつ、仕分けの手伝いをする。
「それにしても、いろいろ採れてよかったね」
「ええ。勝手がわからないので抑え気味にしましたし、どうにもならないものは海に返してきましたけどね。ただ、漁師は漁獲が安定しないし危険でしょうからなり手はいないでしょうね」
「そこはなんでもそうでしょ」
たしかにそうか。危険の面で言えば狩猟もそうだし、収穫が安定しないのは畜産業だって農業だってそうだ。一次産業に依存する二次三次産業もか。
とかやってる間に仕分けは終わり、ぼーっとコンブの乾燥を続ける。
「ワカメって乾燥させないんですか?」
「ワカメは生でもいけるからね。あーでも味噌汁とか無理か。タコあるし酢の物? うーん……ってそうだ、干物はいいやって言ったけどイワシ乾燥させて焼いて出汁とろうか」
はい煮干し追加です。いや目刺ししてないメザシだな。
「うーん、どっちかって言うと焼きあご出汁に近いのか。トビウオってたしか沖にいるんだよねえ。となると捕まえるのは無理かな」
「トビウオ焼いて出汁とるんですか?」
「うん」
いろいろあるんだな。味噌や醤油がないならできるのは潮汁ってやつになるのかな。
仕分けも終わって……あ、味噌汁とか潮汁で思い出した。
「レインさん。もう一つおすそ分けを忘れてました」
この世界にまだビニール袋はないので、とりあえず小分けの瓶詰め。中で粉末がサラサラと動く。
「海塩です」
「おー、ついについにって感じー。おーおー」
レインさんは即座に蓋を開き、少量手に取って口に含む。
「これこれこれよー。ていうかどっかに塩湖とかないもんなのかな」
「どうでしょう? どこかにはあるのかも。一応、当面補充する必要のないくらいは採ってきましたけど足ります?」
「いや採りすぎぃー」
さらに空間収納から取り出したるは、ネレに即席で作ってもらった土瓶が二つ。たぶん人が五人くらい入れるサイズの。
ちなみに、こいつがさらに二つある。消費量がわからなかったし。
「あーでもそうかぁ。醤油とか仕込むのならもっと要るね。あればあるだけ使い道はあるんだ」
醤油は大豆を塩漬けにして作るんだっけ? それならたしかにいくらあっても足りないな。昔見た醤油樽のサイズだとこんなんじゃ全然だ。
というか、腐らないんだから保存さえちゃんとしておけばいくらあっても困りはしないんだな。ならもっと採ってきてもよかったのか。
「んーと」
レインさんは空中で指を上下に動かす。そろばんを弾いているようだ。
「小売がキロ一〇〇円から三〇〇円くらいだったから、この世界だと約銀貨三枚。五〇〇キロくらいありそうだし、これ一瓶で大金貨四枚くらい?」
「全然計算が合ってないですし、卸だともっと安いでしょう? 行っても五掛けで金貨三枚くらいでは?」
「いやいや、計算があってないのはユーリくんの方だって。岩塩があると言っても貴重品は貴重品だよ? それも未知に近い貴重品。さすがに胡椒《金》と同じとは行かないだろうけど、その辺加味しておいてもいいんじゃない?」
うーん、たしかにそうか。楽に稼ぐことだけ考えてて価値は考えなかったな。先述の塩湖の話も聞いた覚えがないし。
ところで。
「あんまり料理しないんで馴染みがなかったんですけど、海塩と岩塩ってどう違う……いや、これはみんなが戻って来てからのほうがいいのか」
「だねー。まあ、いろいろと違うよ」
そのまま使えるか削らないと使えないかくらいの違いしか知らないけど、それだけでも使い方は変わってくるしな。
でかい方は使わないのでとりあえずちょっと離したところに置いておき、キッチン台の上には小瓶だけが残る。
これでだいたいの用意は終わったかな。コンブとイワシはもう少しかかりそうか。
「それにしても、いまさらだけど異世界だなって気がしましたよ今回」
「なんで? あ、こんなでかいカニとかタコがいたから? ってそれこそいまさらだよね」
レインさんはバケモノガニの脚をペチペチと叩く。
サイズ的なもので言えばたしかに異世界だ。でも、地球にもダイオウイカとか種族は違うけどクジラとか化け物サイズはいたわけで。
しかし、タカアシガニにもダイオウイカにも絶対できないことをこのカニとタコはやってのけていた。そこが異世界の異世界たる証拠というか。
「こいつら、陸上で“自立”してました。カニの方に至っては二本足で。ほら、猿蟹合戦の挿絵とかみたいな?」
「……あー。それはそうね。異世界だわ」
レインさんは微妙な表情で苦笑する。
基本的に、陸上では軟体生物のタコは地面に張り付くし、カニもハサミのある二本以外の足で歩く。両者ともに強靭な骨格や筋肉を持ってはいるが、自重や大気圧には耐えられない。という理屈でいいのだろうか?
カニの方は弱点の腹を丸出しだよな、今思えば。それに、そんな立ち方をして下方向は見られるのかどうか。
「それが異世界の海かあ。その一方で、こういう普通サイズのイワシとかサバっぽいのもいるわけだよね」
「そうですね。世界の成り立ちが違えば生態系も違うだろうに、収斂なのかなんなのか」
「あるいはユーリくんみたいに生きてそのまま転移してきたとか?」
「なるほど。そういうのもあるかもしれないですね」
転移転生してくるのが人だけとは限らないか。巻き込まれるのもあるだろうし。外来種なら繁殖や拡大も早かったりとかするものな。
そのあたりはそれこそ、この世界で科学が発展する未来まで解き明かされることはないんだろう。一体どのくらい先になるやら、と考え始めたところでレアを先頭に女性陣が戻ってきた。
「お待たせしました」
「お疲れ様」
微笑むララに言葉を返す。「もうちょっとゆっくりしてきても良かったのに」とは言えない。期待もあるだろうし、なにより食材の鮮度があるものな。
「それじゃあ、始めよっか。って言ってもタコは下処理済みだし、魚の三枚おろしからかな」
「サンマイオロシ?」
「えーとね。半身二枚……背骨を中心に左右に分ける、って表現でいいのかな。とりあえず見てもらおうか」
首を傾げるアカネに答えながら、レインさんは一匹拾い上げる。サバだな。
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ざっくりとした魚の捌き方を説明します。
下処理として、鱗をとっておきます。包丁を立てて削り取るようにすればオッケーです。尾びれの付け根あたりからゼイゴって言って硬いのがある場合は削ぎ落としておくこと。ってサバにはどっちもないんだけどね。
まずはエラやヒレの下から包丁を入れて頭を落とします。背骨も一閃なのはさすがグレイクレイ印ですねー。
次に、腹側を切り開いて内臓を取ります。種類によっては取った内臓を使う料理もありますけど、今回はゴミ箱に。内臓のあった部分は洗っておきましょう。
種類にもよりますしやりやすいようにして構わないですが、まずは背中から背骨に向かって切り込みを入れます。反対のお腹の方も深く。
切り込みを入れ終えたら、尾びれの付け根手前くらいに包丁を差し込んで、背骨に沿って削ぐようにしていきます。首まで抜けたら尾のところを切り離します。これで二枚おろし。両側に行えば三枚おろしです。
最後に、腹のあたりの太い骨の残った部分を削ぎ落としておきましょう。
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レインさんは一尾をあっという間に三枚におろしてしまった。実に鮮やか。
その証拠というべきか、自然と全員から拍手が起こる。
「すごいですお姉様」
「これたぶん、簡単そうで難しいやつと見た。レインさんすごいわー」
「いやー、実は不安だったから事前に川魚で練習してたり?」
笑いながら謙遜してるけど、誰が見ても“できる人”の手際だとわかる。身の残り方とかも判別の要因だっけ。
あまりの手際の良さに、「ウナギと切腹が連想で結ばれたらしいな。そういえば頭落とすのも介錯か」とか益体のないことが頭をよぎったくらいだ。
「んじゃ、各自練習しましょ。練習台はいっぱいあるし、失敗しても使い道はあるからためらわずにね。言うまでもなく手を切らないようにだけ気をつけて? 包丁だけじゃなくて、エラやヒレが鋭利だったりもするから……それは身体強化しとけばなんとかなるか」
そう言うと、やりたそうにしていた面々と乗り気でない面々の二グループに分かれた。
まあ。魚と包丁を持ってまな板に向かった勇者のほうが多く、オレも含めた後者が圧倒的に少ないわけだが。
「はは、これはこれで面白いね……さて、と」
軽く苦笑したレインさんは、気を切り替えるようにつぶやいたと思ったら目を鋭くして切り身に向かって魔力を飛ばし始める。探知か?
「なにしてるんです?」
「異物探し。アニサキスとか」
なるほど。そういう使い方をするのか。
一通り睨みつけ終わったレインさんは、小さく息を吐き出した。
「特にいないね。魔力探知いいよほんと。目で見られる寄生虫くらいなら苦もなくわかるし。頑張れば細菌系統もわかったりして」
「……電子顕微鏡の領域はさすがに科学じゃないと無理じゃないっすかね」
マイクロ単位の存在を感じようとしたことないからなあ。そもそも人間の知覚範囲を超えてるだろうし。それこそ頑張ればできるんだろうか?
とか悩んでいると、レヴが首を傾げる。
「さいきん? でんしけんびきょう?」
「電子顕微鏡は……ものを拡大鏡よりも大きく……数万倍に拡大して見られる器具……でしたね」
手当たりしだいに書いたものの中にそれもあったっけ。
顕微鏡の原理自体は簡単だが、レンズの生成がまだまだ発展途上なので開発はまだ先だ。電子顕微鏡ともなると百年単位で先だろうな。
っていうか、手を動かしながら答えられてるとは余裕があるなリーズ。手先の動かし方とか魔道具づくりと通じるところもあるからか。
「細菌はものすっごくちっちゃい生き物で、身体の中にもいて体の調子を整えてくれたり、毒を出して悪さしたりとかいろいろ種類がいてですね。食品を発酵させてくれたりもするけど、食中毒の原因になったりだから悪い面のほうが大きいかなあ」
「……ああ、ユーリさんが言っていたような“病気の原因”ですか」
ネレも話に入ってきたけど。手元に集中したほうが良くないかな。こっちも心配する要素なさそうだけどさ。
まあそっちはそっちとして、話の方で言うと。
「病気の原因でいうとウィルスの方が多いな。こっちはさらに小さくて、生き物じゃない」
「んん? なんのこっちゃ?」
「生き物じゃないっていうことは、モノ?」
「モノでもないな。生物の定義には当てはまらないが生きてはいる存在、みたいな」
「「??」」
セラとフレイアがより深く首を傾げるけど、さもありなん。しかしオレも細菌学者じゃないからそういうものだとしか言えない。
「そういうビョウキ? って、聖魔法効くノ? ソモソモ、オナカ痛いのトカって効いたっけ?」
「わたくしの経験で言えば……おそらく病気由来であろう腹痛には効きます。食べ過ぎには効果がありませんね」
ミアに答えるユメの手元は無難だし、理由はイマイチよくわからなかったけどオレを見る余裕すらあった。というか、もうこなれてる。万能すぎる。
「そうですね、くっ……解毒は魔法としてはできますが、うっ……『食べ過ぎは体に毒』とは言いますけどたしかに過食は無理ですね、ううっ……一方で深酒は魔法が聞いたりもするから不思議です、なんでっ……悠理が言っていましたけど毒の一種だからでしょうか、ああっ」
ララさんや。申し訳ないがきみはさすがにどちらかに集中しないと怪我すると思う。チャレンジ精神はもちろん応援するけども。って、やってないオレが言えることじゃないな。
それより気になるのは、なんかいちいち妙に艶めかしいのよ。狙ってやってます?
「ユーくんとレインさんはお魚を生で食べてたんだよね? 大丈夫なの?」
「少し怖いですよね」
姉さんも無難に、レアはやや苦戦はしているものの危なげなく進めている。
今のところ心配なのはララだけか。よく注意して見ておこう。
「淡水魚はオレたちの世界でもアウトだったよ。“当たる”って表現してたから結局は運だったんだろうけどな。でも、日本の衛生基準は異常って言われるレベルだったからな。そこである程度以上に安全だった面はあるんじゃないかな」
「まあねえ。って言っても海の魚に関してはそれこそ人が死んじゃうようなのはほとんどなかったかなぁ。それより毒のある魚の被害のほうが多かっただろうし。むしろ動物の生肉のほうがいろいろと危険だね」
あー、あったなぁいろいろ。そっちは死者も出たはず。
なんにせよ豚と鶏は生は完全に禁忌だし、牛ですらそんなに機会はなかったな。馬は口に入れた覚えがない。
文化的にというか、生理学的にそうせざるを得なかったらしいところはあったけど、そういうところの罹患率みたいなのはどうだったんだろうな。
「動物と人ではやはり違うんですね。って、狼の獣人の私が言うと説得力がありますかね?」
単純には笑えないネタではあるけど、そうだな。別にアカネが肉食でユメが菜食ってわけでもなし、獣人と動物は違う。人と同じように腹は壊すと思う。逆に思えば、生肉食おうが生魚食おうが腹壊さない動物は凄いな。
「……と、言うか。こんなに解体していいんですか?」
包丁を止めたネレの言葉に全体を見ると、各々切り身がかなりの枚数積み上がっていた。
ちょっとした魚屋さんレベルだなこりゃ。スーパーの鮮魚売り場でも見たことない。
「そのまま置いとくのもよくないっていうか、不都合もあるからね。むしろ全部捌いちゃう勢いでもよかったよ」
そういうものなのか。って、肉の場合もそうか。
「ここからどうするんですかお姉様」
「どうするってあとはもう煮るなり焼くなりするだけかなぁ、っとその前に……うん、問題はなさそうかな。ちょっと都合がいい気もするけど、まあ異世界だし、魔力による無意識の強化や排除もあるってことかな」
レインさんは再び魔力探知で寄生虫等々の有無を確認したらしい。この方向の素養も伸ばしておくべきだろうか。
「あと、アレルギー系は一応調理組は大丈夫っぽいかな? 手がかゆいとかそういうのあったら教えてね」
ああ、青魚系もアレルギー対象だったりするんだっけ。
しかし。
「いろいろあってなにがなにやら……ね?」
「あれるぎー。とは」
エルとティアとたぶん精霊たちもハテナマークを飛ばしているが、さもありなんといったところか。
「要は、特定の食べ物が毒になる人がいるってことだな。小麦、蕎麦、リンゴ、卵、牛乳、ナッツ類とか。今回で言うとレインさんが捌いた魚。そこにいるカニやタコ、イカに貝に海藻か」
「他にも各種果物とか、肉自体も起こりうるね。転生前後含めて反応無いから詳しいことは言えないけど、手足の震えとかかゆみならマシな方で呼吸困難からの窒息死とかある…………んだけど。あー、大事というかそれこそ致命な話なんだけど、この場ですることでもなかったのかなぁ」
割と全員青ざめている。
実例が皆無ではないだろうけど、概念化するのは解析がなされてからだろうものな。
「悠理に生食の話を聞いたときは忌避感を起こしましたけど、それとは別方面で食に対して無頓着な面もあるということでしょうかね」
「聖魔法使いとしては知っておくべき話でしょうけれど、怖い話です」
回復を司るララとユメは、知識欲求半分恐怖半分ってくらいだろうか。
「てことは、それを利用して毒殺とか狙えちゃったりするんでは?」
「セラちゃんその発想は……無理じゃないんだろうけどさ」
帝国皇族貴族コンビは何やら良からぬことを。立場的に気にして然るべきことだろうけども。そんな感じのアレコレを経てきているわけだし。
「非常に珍しい例として、水にアレルギーを持ってる人ってのもいたらしいから、なにがどうなるかわかんないね」
「水に、ですか?」
ネレが、いやネレだけじゃなくてみんな驚いてるけど、それもなんかで見たな。世界に数人だっけ。水分は果物とかから摂るとかなんとか。
「科学の……発達というのは……そういうことを解明する面も……あるんですね」
「わかってないコト多いですネェ……」
ほんとになあ。知らなかったり覚えてない大事な情報がどれだけあるやら。
「というわけでこの世界だと誰にとっても未知の食材だし、無理な取り扱いはしないようにね。嗜好とか以前の問題でもおかしなことじゃないんだから」




