Bridge この世界でこれからも
話していた内容が濃かったからかそれなりに時が過ぎるのは早いもので、空には二度目の月が輝いていた。
星座の造詣はなかったけど、黄道十二星座を始め多くは神話を元にしてたわけだからこの世界では役に立たないだろうな。ってそもそも星図が違うか。
そういえば、この星も恒星と衛星は一つずつだなあ。これもいまさらすぎる話だが。
「眠れないんですか、悠理」
「楽しい時間は名残惜しいからな」
近づいてきているのが誰なのかは探知せずともなんとなくわかっていた。ので振り向かずに答えると、ララは隣に腰を下ろす。
「結局、わからないことのほうがまだ多いですね。なにがわからないかもまだわかっていないんでしょうし」
「どこの世界でもそうさ、きっと。それに、未知を全部既知に変えることが必ずしもいい結果をもたらすわけじゃない」
すべてを知ろうとしてるようなオレが言うことじゃないのかもしれない。けど、理屈で説明すれば萎えてしまうようなことはいくらでもある。それに、どれだけ求めて解き明かそうとしても知り得ないこともいくらでもあるだろう。
「そうですね。私にも知っておいてほしいこともあればまだ知られたくないと思うこともありますし。ヴァフラトルさんとメーレリアさんのような関係も理想ですけどね」
「そういう話じゃ……いやそれもそうなんだけど」
考えなきゃいけないことの一つだもんな、他人の気持ちは。それも恋人、さらにたくさんともなれば。寄り添ってくれることにあぐらをかいているわけにもいかない。
「まだまだやることはいっぱいだな。それにやりたいこともどんどん増えていく」
「そうですね」
投げ出していた手に手が重ねられる。少しだけ強引に浮かせられ、指と指を絡ませるように握り合わされる。
ユーリ・クアドリとして生きることを決めたとき、なにも奪わせないと決めた。それが徹底できてきたとは思えないが、奪われたくないものはずっと多くなった。
ユリフィアス・ハーシュエスになったこれからもきっとそれは増えていくはずだ。いつか両手で抱えきれない大きさになるのかもしれない。だとしても、手を伸ばして、みんなと手を取り合って、ずっと生きていく。この世界でこれからも。




