Interlude 半分と半分
リーズさんといろいろ話した中で、アタシの力にもモット可能性があるんじゃないかって話になった。
途中から話に加わったユーリさんも言ってたケド、夢っていうのはもう一つのセカイなのかもしれないトカ。シュウゴウムイシキ? っていうのはヨクわかんなかったケド。ユーリさんもアンマリ詳しくなかったし。
トモカク、アタシの夢魔としてのチカラは、こうして思い描いた“現実じゃないバショ”を作り出せる。現実と同じバショだったり、九羽鳥さんの方のユーリさんのセカイだったり、SFってヤツのセカイだったり。記憶を見させてもらって、“映画”とかの知識も得たカラ、割とオモシロ世界も作り出せるようになった。
問題は、朝起きても休んだ気にならないってことカナ? それはちょっと地味にキツい。デモ楽しくもあるカラ毎日やっちゃうんだナ、コレが。ティアちゃんとセラちゃんに「帰らなくてよかったんじゃ?」って言われそうだネ。
「ユリフィアスくんのところに残らないなんて、本当にこじらせてるわねぇミア」
「マタ娘の夢に入ってキオク勝手に覗いて。親子でもやっていいコトと悪いコトがあるって言ったよネ?」
デモお母さんに言われるツモリは無かったです。
「そうは言うけど、内緒話をするのにここ以上の場所はないのも確かでしょう? ユーリさんとのときみたいに」
う。ソレはたしかに。
デモデモ、お父さんが仲間ハズレみたいなのはドーなのカナ。
「そこはまぁ……仕方ないわね。お父さんは秘密を守れる人だけど、“言わぬが花”というのもあるわけだし」
ソレ、ユーリさんのセカイの言葉ー。
ジャなくて。
「ドーシテいつも恋愛バナシにするカナー?」
「うちが貴族だから。当然よね」
イヤマアソレハソウナンデスケドモ。
タダ、シムラクルムの貴族は他の国とは違って「血統の連続性」トカ「職務の継承」みたいなトコロが強いんだよネ。ウチも領地があるワケじゃナイし。
それに、血統のホウはどう出るかわからないんだよネェ。ユーリさんとレインさんは、「“ハーフ”じゃなくて“ダブル”だって主張もありましたよね」「あーあったね」なんて話してたケド、たしかにソッチが近いのカモ。
正直ソノあたりのコトはよくわからないし、ダンナサマは吸血鬼か夢魔だと思ってたのもある。イヤそれ言うとユーリさんがいなかったらリーズさんの相手はダレになってたのかってハナシもあるケド。
ユメちゃんもそうだケド、血統と恋愛はワリとケンカするヨウソだよネ。そういう意味だと人族のほうが楽カモ。
「お母さんは、なんでお父さんのコトを好きになったノ?」
「かっこよかったから」
即答カァ。サスガ。
デモ、エェ……?
たしかにお父さんカッコ悪いってことはないケド、カッコいいかどうかは……エェ?
「こらこらミア。そんな呆れた顔するとお父さんが可愛そうでしょ?」
「イヤデモ……優しいとかならわかるケド」
お父さんがカッコいいって即答できるようなヨウソ、感じたことがナイ。ミンナを初めて招待したトキもアレだったし。
「基本ダメだけどね。昔から、大事なところは絶対に諦めないのヴァンは」
ヘエ。たしかにお父さんの悪いハナシって全然聞かないナァ。
ソレにお母さんがこう言うってコトは、お父さんが頑張ったからお母さんと、
「そこは逆ね。押して押して押し続けたのはお母さんのほう」
「ハナシが繋がってないんですケド?」
イマのナガレだとお父さんがソウしたみたいに聞こえるじゃん。
「うーん、そうね。普段は情けないユリフィアスくんって言ったら想像できるかしら」
フダンは情けないユーリさん。
ユーリさん、意外と情けないっていうか優柔不断な部分と抜けてる部分あるケド。
「そこはそれとして、ね。そうね」
空中に絵が映し出される。ユーリさんが言ってた“テレビ”みたいダネ。
……下に、「※想像による再現です」って入ってるのはなんだろうネ?
「美化があるでしょうからね。それと無窮の愛」
ソレはともかく。迷子の手を引く若いお父さんトカ、ケガしたヒトの応急処置をしてるお父さんトカ、知らないお父さんの姿が映し出される。
思えばアタシ、お父さんが仕事してる姿もちゃんと見たことナイんだ。
ソレ以上に思うコトは。
「ユーリさんの記憶にあったネ。お母さん、ストーカーだ」
アングルがおかしい。柱トカ壁の影が頻繁に写り込んでる。コレはヨクナイナー。
「たまたまだから! 一緒にいたときもあるのよほんとに!」
アヤシイ。
デモ、お母さんがお父さんをスキなのはすごく伝わってくる。こういうのが恋なのカナー。
「アタシにはまだよくわかんないナ」
「そう? 簡単なことよ?」
「ソリャ、お母さんにとっては簡単なことだろうケド」
恋愛脳だっけ? なんでも『好き』に変換できたらそりゃネ。
ナニよりもう手に入れてるワケだし。
「失礼ね。何も考えてないからじゃないわよ? あなたが言ったことそのまま。『力を使いたいけれど、それで好きになってもらいたくない』って思えるのなら、その人が本当に好きな人だと思うわ」
ん、ウン。ソノ理屈はわかる。
「前にも言ったけれど、他の誰がその人を好きでも自分が好きでいることを諦める必要なんてないのよ? もちろん応えてくれるかはわからないし、自分だけが好きでいることが至極ではあるけれどね」
お父さんの魅力はお母さんダケが気づいたってことカナ?
まあ、ミンナがユーリさんに感じてるコトもそれぞれ特別だと思うケド。それこそ無限色に。
「ハー、恋って難しいナァ」
「ほんとは頭で考えるものじゃないんでしょうけどねぇ。理性が伴わないとなんだかね」
理性が飛んでたし飛んでる人が正論言ってる。ナンダカナァ。
「だからそれとこれとは別なの! 最初はきゅーって来るの! その後突然好きだって気づくの! それがヴァンだったの!」
叫びが途中からノロケになってるんですケド。
アー、デモマァお母さんもリーズさんもみんなもいいカオしてるからナァ。アタシだって恋したいなって思うトキもあるヨ。
ドコに転がってるのかナァ、アタシの恋。
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「でも、ひょっとしたらミアより先にユーリくんに惚れちゃう子が出てくるかしらねぇ」
ハ?
「ユメちゃんはもう気づくだけって感じかしら」
ハア?
「セラちゃんとティアちゃんは、何かきっかけがあったらコロっと行っちゃいそう」
…………ソレはわかる気がスル。ゴメンネ二人とも。




