Bridge 本選出場者選抜予選
当たり前だが、「明日、騎士学院と魔法学院の希望者で勝ち抜きトーナメントをやるぞ」などと言われるはずがない。さすがにそれは面倒だとか横暴だとかのレベルの問題じゃない。
告知は一ヶ月前。その間に参加表明をすること……だったのだが、予想外に参加者が増えているらしい。
「正式な場でお前と戦いたいやつが多いんじゃないか? 俺もだし。さすがに敵うとまでは思っちゃいないけどさ」
エントリーしたというスヴィンに何気なく話を振ったらそう返された。いや待て。待ってくれ。
「……どうしてオレが出るって知ってる?」
誰にも言った覚えはないぞ。誘引の二の轍は踏まない。
まさかエルブレイズ殿下から広まってるわけないだろうしリーデライト殿下なんて絶対ありえない。じゃあなんでだ本当に。
「え? 当たり前だろ? お前が出ないわけないし」
「…………」
なるほどこれ情報が漏れてたわけじゃないな。「ユリフィアス・ハーシュエスが出ないわけない」っていうただの思い込みだ。
「っていうか、このクラスの奴はほぼみんな参加希望だぞ。セラとレアの二人も」
マジか。セラとレアも。なんで。
何より、クラスの全員とか。
「……どうするんだそれ。全員参加したらどうなるんだ」
「ん? いや、ギルドランク上位とか法士爵持ちとかは免除らしいけど、予選をやって選抜することになったらしいな。さすがに数百人で総当りとか無理だろうし」
「なんだそうなのか、じゃない。大げさに過ぎるだろ」
数百人って単位、両学院の一学年それぞれくらいじゃないか。いや、下手したら二学年分を超えるのか?
「安心しろ。絶対に予選は突破するからな」
「……うん、そう。そうだな。期待してる」
約束って、しすぎると安っぽくなっていくような気がするけど。まあ、成り行きを見守るしかないな、うん。




