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Not Found  作者: れい
高校生編Ⅰ -出会いと始まり-
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新学期、新しい風③


始業式から2週間程たった。クラスの子もだいたい名前を覚えて席の近い人たちを中心に、かなり話すようになった。

この2週間で気づいたことは、クラスの女子たちは翼と同じクラスになれた事がうれしいのか、昼休みはだいたいグループで集まって翼の話をしている。数学の授業の時に、窓の外を見つめる横顔がとてもかっこよかった。とか、世界史の授業で寝てる間に指されていてこっそり答えを教えてあげたら、さんきゅって口パクされた。とか、その寝顔を見つめてたら、睫毛がふさふさだった。とか。少女漫画に出てくる王子様キャラのような扱いをされていて、翼ってそんなやつだっけ? と疑問に思う。まあ、かっこいいのは分かるけど。

一方男子はというと、男子高校生特有のアホな会話をしてるいるところもあれば、担任の話をしていたりする。担任は苗字が内山だから、なんの捻りもないあだ名のうっちーと呼ばれているか、陽キャの男たちは面白がってひかりちゃんと名前で呼んでみたりしている。それで、英語の授業中にひかりちゃんと呼んで「内山先生と呼びなさい!」と叱るところまでがワンパッケージだ。そんな反応を見て楽しまれている先生もちょっと可哀想だな、と思うけど、本人は案外楽しそうで、俺たちと歳が近いからなのか、若い高校生にチヤホヤされて嬉しいのかは分からないけどそれなりに新担任としての滑り出しを満喫しているようだ。


2限が終わり、購買でお昼を買っていると、始業式の日と同じ声に話しかけられる。

「お、あいちゃんだ〜」

やっほ、と言われ振り向くと、純平と翼。こいつらクラス離れても一緒なのか、仲良いな。あいちゃん、呼びのツッコミは疲れるのでやめておく。

「二人仲良いね」

「そうなのよ、翼が俺のこと大好きでねえ〜」

「はあ? なんでだよ」

と、思わぬギアでキレている翼をひらりとかわす純平が面白くて、微笑ましいコンビだなと思う。

「あいちゃんひとりなのー?」と焼きそばパンを手に取った純平に質問されるので

「え、まあ」とこたえると、じゃあ一緒に食べよ、と言われ、そのままの流れで屋上で3人お昼を食べることになった。


屋上でお昼ごはんなんて初めてだし、スクールカーストトップ層のこの2人と俺って、結構珍しい絵面になってると思うけど、こういうところを気にしないからこの2人はモテるのか、という結論に至る。

「翼またそれ買ったの」

「これがいちばんうまい。」

翼の手の中には学校名物のめんたいフランス。

明太子がのったフランスパンで学校一の人気メニューだ。

「たしかに、それ美味しいよね」

「相澤もよく食べるの?」

「お弁当忘れちゃった時とかそれ買うよ。今日は違うのにしちゃったけど」

「お前忘れ物とかするんだ」

とか言われるけど、アンドロイドじゃないんだから忘れ物くらいするし、俺の事なんだと思ってるんだろう。

「翼、りなちゃんにお弁当作ってもらえばいいのにー」

純平が焼きそばパンを頬張りながら言う。

「いや、そういうのはいいわ」

「りなちゃんって?」

「んー、翼の彼女」

あ、翼って彼女いるんだ。まあ、当たり前か。これだけたくさんの女子たちにイケメンって騒がれてたら彼女くらいいるだろう。

「翼ってモテるもんね。いつもクラスの女子たちが話してるよ」

「え、そうなの? なんて?」

と聞かれるので、クラスの女子たちにとって、翼が王子様みたいなキャラになってる話をすると、純平はゲラゲラ爆笑し、翼は飲んでいたミルクティーを吹き出しそうになっていた。

「めっちゃ恥ずいわ」

と少し赤ら顔で話す翼を見て、クラスの女子が見たら相当嬉しい瞬間なんじゃないかと思った。

翼が王子様はやばいわ、とかいって爆笑してる中で、

「まあ相澤もかっこいいと思うけどね」

という爆弾を投げられ、「はえ」という素っ頓狂な声が出てしまった。

「なに今の(笑)」と純平に笑われてるけど、翼はいたって真面目そうに、

「だって頭いいし、背も高いし顔も整ってると思うけど」と学校一のイケメンに言われるもんだから変な感覚になる。それに便乗してか、隣にいる純平まで

「あいちゃん陰キャぶってるけどモテるよね」と言ってくるから、そんなモテる事実どこにもないんだけどな、と否定しつつやっぱりキラキラは怖いと思った。



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