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悪役令嬢の兄に転生しました  作者: 内河弘児
サイリユウム留学編

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ダレンの貴族あしらい方講座

サイリユウム王国の現王都であるサディス。その中心部にある王城から少し離れたところに、エルグランダーク邸がある。

エルグランダーク公爵サディス邸は、公爵夫人が留学中の息子に会いに来るために購入した家なので、扱いとしては別荘に近い。

執事のダレンを始め、貴族の屋敷に必要な使用人はきっちりとそろえられているのだが、そういった事情で家主一家がいない為に普段はあまりやることが無い。

カインとコーディリアが留学中でサイリユウムに滞在中ではあるのだが、二人は基本的に寮生活なので基本的には邸に居ない。休息日も邸に来たり来なかったりだ。

主人不在の邸では、もちろん当主一家の世話をする事が無いし、茶会や晩餐会なども行われないので、来客対応も必要が無い。

若干手持ち無沙汰な使用人達は邸を隅から隅まで掃除したり、食器を日に三回も磨いたり、珍しい草花の栽培にチャレンジしたりとそれぞれに仕事を作っては日々を過ごしていた。

そうはいっても、休息日や放課後にカインが第一王子や第二王子を連れて帰ってきたり、コーディリアが友人令嬢を連れて帰ってきたりするので気は抜けない。

突然やってくる来客が大物すぎて、ゆったりと仕事をしつつもいつ発生するかわからない大物来客対応タイムトライアルにヒヤヒヤドキドキするというスリリングな日々を送っていた。


そんな中、執事のダレンはカインの侍従であるイルヴァレーノと、コーディリアの侍女であるカディナへと指導をしていた。

イルヴァレーノはリムートブレイクの邸でパレパントルから、カディナもネルグランディ城の侍女長やアルディの侍女として働いている母から仕事を教わっているが、仕える対象のお世話の傍らで教わっている為、邸の細々とした仕事などは把握できていない物もまだまだ多い。


「イルヴァレーノもカディナもサイリユウムの言葉で会話が出来ては居ますが、まだまだ使いこなせているとは言えません。主人に付き従っていれば主人の代わりに返答したり問い合わせしたりすることもありますし、主人が忙しくなれば主人の代理で用足しに行くこともあるでしょう。相手が主人と同格の場合は私どもからは目上の人物となります。そんな時に、言葉遣いを間違えれば、無礼であると自分が処罰されるだけでなく、主人がとがめられ、品位を疑われ、侮られる要因となってしまいます」


今日は、ダレンによるサイリユウム語講座が開かれていた。貴族独特の言い回しや、目上に対して使ってはいけない言葉、相手の爵位によって使い分けなくてはならない言葉などについて勉強をしている。


「ダレンさん。伯爵以上の方と子爵以下の方が同じ場に居たときには、その言葉の使い分けってどうしたらいいんですか?」

「上位の方に対して、下位の方向けの言葉を使えば角が立ちますが、下位の方に対して上位の方向けの言葉を使っても失礼とはなりません。伯爵以上の方が同席している場で子爵以下の方に話しかける場合は、伯爵以上の方向けの言葉遣いで話しかければ良いでしょう」

「じゃあ、常に上位爵位向けの言葉を使っていた方が間違いが無くて良いんじゃないですか?」

「子爵以下の方しか居ない場で、伯爵以上の方向けの言葉でワザワザ話しかければ、それは『からかっている』と受け取られかねません。特に、上昇志向の強い子爵家の方などは『まだ陞爵出来ない事をバカにしている』と怒り出す方もいらっしゃいます」

「へぇ」

「あほらしい」

「貴族の矜持というものは、そういうものですよ」


そんな感じでのほほんと、使用人ならではの言葉遣いなどについて勉強していた昼下がり。ダレンが用意してくれた教科書のページをめくろうとしていたイルヴァレーノは、ピクリと肩を揺らすと顎を上げて遠くを見るような仕草をした。


「どうしたの? イル君」

「何か気になることがありましたか?」


カディナとダレンの声に、イルヴァレーノは振り向くと手で椅子から立ち上がる様に示した。


「そこにいると危ない」


そう言ってイルヴァレーノ自身も立ち上がった瞬間、勉強会の会場であったサロンのドアが「バンっ」と音を立てて勢いよく開いた。


「イルヴァレーノぉおお。ディアーナが大ピンチで大変だぁああああ!!」


ドアの開いた勢いのまま、カインが部屋の中へと飛び込んできた。

勢いが殺しきれなかったカインはふかふかの絨毯に足を取られてつんのめり、勢いよく宙を飛んでテーブルの上へと飛び込み、三回転ほど前転をしてテーブルの向こうへと着地した。

ダレンとカディナは目を丸くしてその様子を見つめ、イルヴァレーノはあきれたような顔をして着地ポーズを決めているカインを眺めていた。


「大変だイルヴァレーノ! ディアーナが悪役令嬢になっちゃう!」


ぐるりと上半身だけ振り向いたカインの手には、一通の手紙が握られていた。


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