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悪役令嬢の兄に転生しました  作者: 内河弘児
サイリユウム留学編

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相談しようそうしよう

「そもそも、カインお兄様が嫌われているというのがわからないのですけども」

「ケーちゃん?」


夏の日差しが柔らかくなり、過ごしやすくなってきた庭園の一角。花の花弁のような小さな葉が可愛らしい色に染まる生け垣がきれいに見える東屋で、ディアーナはケイティアーノとお茶の時間を楽しみつつ、カイン好感度アップ作戦の相談に乗ってもらっていた。


お茶のカップをゆっくりとソーサーに戻しながら、ケイティアーノがおっとりと目を細めた。


「私もあのときの個別お茶会にお誘いいただいてましたけど、和やかに楽しい時間をすごしましたでしょう? カインお兄様を嫌う要素が思いつかないのですよ」

「ケーちゃんは、お兄様より私と沢山おしゃべりしていたもんね」

「そもそも、年の差が大きいのでお見合い対象ではないというのもあるのでしょうけれど、刺繍の会でお会いするときと変わらず、お優しいお兄様でしたから」

「ノアちゃんやアーニャちゃんとのお茶会も、問題なかったんだよね」


カインのプレお見合いお茶会は、同年代の令嬢の前にディアーナの友人でもある刺繍の会メンバーとも行われていた。

ケイティアーノはディアーナの一番の友だちで、お茶会一番のりだった女の子だ。

ノアリア(ノアちゃん)やアニアラ(アーニャちゃん)も刺繍の会で仲良くしているディアーナとおんなじ年齢の女の子で、家族以外の女性とのお茶会でカインが失敗しないようにとの配慮で、最初の数回では顔見知りの令嬢である彼女たちをご招待したという背景がある。


「私やノアちゃんやアーニャちゃんは、そもそも刺繍の会でカインお兄様と顔見知りですしね。緊張することもありませんでしたし、共通の話題もありますから、しらけてしまうこともありませんものね」


そうケイティアーノがつぶやくとおり、カインは刺繍の会に参加している『アルンディラーノ殿下のご友人たち』と仲が良い。アルンディラーノ世代の女の子達からは「カインお兄様」と呼ばれて親しまれ、男の子達からは「カイン様」と呼ばれて頼りにされている。ちなみに、男の子達がカインお兄様と呼ばないのは、カインが呼ばせないからである。

男の子がカインお兄様と呼ぼう物なら「ディアーナの婚約者を狙っているのか?」「ディアーナと結婚したければ、俺の屍を超えていけ!」とカインに威嚇される。

それを面白がってわざと「お兄様」と呼んでカインに飛びかかっていく小さな男の子達を、カインは柔道や合気道の要領でコロンと転がしたり投げ飛ばしたりしていた。もちろん、お子様遊びコーナーのふかふかラグマットの上や柔らかクッションの上にである。

それが楽しくて、また男の子たちはわざとお兄様と呼んだりもするのだが、ほどほどにしておかないと王妃様に刺繍の会から追い出されてしまうので、普段はお兄様と呼んだりしない。


「カインお兄様はなぜ、お姉様方に嫌われてしまったのですか?」


ケイティアーノからのその質問に、ディアーナは渋い顔をした。顔のパーツが中央に寄っているように錯覚するような渋々した顔になっている。


「まぁ、ディちゃん面白いお顔」


クスクスと笑うケイティアーノに、「差し支えなければ、私から」と後ろに立っていたサッシャが説明をした。


ディアーナを退席させようとした令嬢に冷たく接し、ディアーナを無視した令嬢をカインも無視した。


端的なサッシャの説明を聞いたケイティアーノは普段は細い目をまん丸くして「まぁまぁ」と驚き、ディアーナは益々渋い顔になった。


「ディのせいでお兄様が嫌われた……」

「お嬢様のせいではございませんよ。『お嬢様を共に愛し、お嬢様を優先しても嫉妬しない女性』を選ぶ為とはいえ、アレはカイン様の態度が悪うございました」

「そうよ。カインお兄様なら、一緒にディちゃんを愛でましょうという方向に誘導することだってできたでしょうに。……カインお兄様は、本当にディちゃんが絡むと仕方がない方ね」


渋い顔のままうつむいたディアーナに対して、サッシャとケイティアーノはそろって優しい声をかけた。

当時、カインは十一歳だったがディアーナは七歳だった。兄の行動を当時のディアーナが諫めようというのは無理があっただろうと思われる。

また、プレお見合いお茶会の前にケイティアーノ達顔なじみとのお茶会では当然ディアーナが参加しても誰も文句を言わなかった訳だから、その続きだと思っていたディアーナがお茶会参加を遠慮するという考えに思い至る事は難しかった。

『ディアーナを溺愛しすぎたせい』でカインが令嬢から嫌われたといえばその通りなのであるが、それでイコールディアーナのせいということにはならないだろう。


普段から刺繍の会でカインとディアーナの仲の良い姿を見ていて、男の子がディアーナにちょっかいをかけようとする度に返り討ちにしていた姿も見ていたケイティアーノは、サッシャの端的な説明だけで当時のお茶会の様子を想像出来てしまっていた。


自分たち妹分たちには優しくて頼もしいカインお兄様。たった一回、冷たくあしらわれてしまった事でカインの事を嫌ってしまったご令嬢たちに、どうやって誤解をといてもらうべきだろうか。

ケイティアーノとディアーナはそろって「うーん」とうなって思案した。

そうしてしばらく思案していた二人だが、やがてカップの持ち手を優しく撫でながら思案をしていたケイティアーノがポンと小さく手をたたいた。


「お茶会の仇はお茶会でとりもどすことにいたしましょうか」


その言葉を合図に、ディアーナとケイティアーノは顔を寄せ合って作戦を練り始めた。


実写映画版のしおしおピカチューの顔

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