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第三幕
<第三幕>
未の刻
薬売り、おっかなびっくり緊張した面持ちで境内に入っていく。
薬売「誰か、居てまへんか」
虚無「誰だ」
薬売「わては薬売りでおま。何やら道に迷うて、困ってますねん。ここはどこですねん」
老女「お若いの、ここは寺にきまっておろう」
薬売「いや、婆さんや、わての言いたい事、そうちゃいまんねん」
虚無「薬売りよ、今からだと、里に下りるなら日が暮れるぞ」
薬売「そりゃ、困るなぁ。皆さん、どうしはるん」
虚無「わたしと、そこにいるお侍様は九尾の狐を退治をする。婆様はその手伝いをしてくれる」
薬売「いま九尾の狐って言いはりましたか」
浪人「そうじゃ、化け狐を殺すんじゃ」
薬売「そりゃ、勇ましいこって。わては手伝いまへんで。荒事は苦手ですねん」
虚無「九尾の狐が出たら、すぐ逃げてくれ」
薬売「そうさせてもらいま。ちょっくら、休ませてもらいまっせ」
薬売り、荷を下ろし、老女の横にだらしなく座り込む。