小さな友達(HM)
錆び付いた遊具ばかりが並ぶ公園内では、ベンチに腰掛けた友也の紺色のランドセルが一際輝いていた。チェック柄の手提げ袋からビニール袋を取り出すと、中に入っている食パンの耳を眺める。ふわふわした白い部分が友也は好きだった。だが、母親から食べなさいと言われるため食べる振りをし、ちぎって袋に入れていたのだ。
好き嫌いしちゃダメよ。だからお友達も出来ないのよーー
言い方こそ優しいがこの言葉も嫌いだった。“友達100人出来るかな”と歌うあの曲も、“愛と勇気だけが友達”と歌うキャラクターソングも嫌いだった。
またいつもの母親の言葉が浮かぶ前に、ビニール袋を軽く振る。
「ミャー」
近付いた黒い体の子猫を、風船に触れるかのようにそっと抱き、膝の上に乗せる。パンの耳を掌に乗せると、小さな口は夢中で頬張った。
「お父さんとお母さんに聞いたんだ。ちゃんと最後までお世話するって約束出来るならいいって。……だから、お家に行こ」
答えるかのように子猫は指先を何度も舐めた。
「あはは、ザラザラする。今度はパンの耳じゃなくて、ちゃんとしたご飯あげるからね」
友也は口角を上げ、初めて出来た小さな友達を優しく撫でたのだった。