その8 お城での生活 2
こんばんは、にこです。
令和元年になりましたね~
俺の声に駆けつけてきた騎士の人に状況をごまかして伝えると、俺と正太は食堂へと急いだ。
食堂へ着くと、ちょうど昼食が終わったようでみんなが食堂から出てきた。
「あれ? 竜馬君と正太君じゃないか、何かあったのかい?」
今一番会いたくない勇也に見つかってしまった。人一番正義感の強い勇也のことだ、事情を知ったらあの二人に追求しに行くだろう。その場合人目のない場所でのいじめが起きてしまうかもしれない。よくなるかもしれないが、よくならないかもしれないのでとりあえずは他の人には知られないようにしよう。
「いや、2人で自主練をしていたら昼食に遅れちゃっただけだよ」
「う、うん」
とりあえずその場をごまかして食堂に入り、残っていた食材で簡単な昼食を作ってもらった。
昼食を済ませた後、俺と正太は訓練場へ戻ってきていた。
「よし! 強くなるために特訓開始だ!」
「お、おー! ......で、竜馬君。僕は何をしたらいいのかな?」
「......。と、とりあえず≪結界魔法≫を使ってみてくれないか?」
「う、うん」
そういうと正太の周りに白っぽい膜のようなものが現れた。
「僕、まだこの魔法結界しか使えないんだけど......」
「うーん、俺は魔法が使えないからなぁ」
この世界のスキルのレベルを上げる方法は2つある。
1つは魔物を倒して経験値を手に入れること。もう1つは模擬戦のように魔力や力をぶつけ合うこと。
だけど2つ目は1つ目に比べて何倍もレベルを上げるのが大変らしい。実際、いまだスキルレベルが2に上がった生徒はいない。
しかし、模擬戦をすることで少しでもスキルの経験値が手に入ることは確かであり、自分のスキルに慣れ、使いこなす訓練にはなるため、決して無駄なことではない。
だが、魔法結界としか使えない正太と物理攻撃しかできない俺では相性が悪すぎる。せめて何か1つでも魔法を持っていればよかったのだが......
「なら僕が練習相手になろうか?」
最近よく聞く声だなぁ、と振り返ると案の定勇也がいた。しかも悠二もついてきていた。
「僕の光魔法に、たとえ当たってもダメージがない魔法がある。それ自体は魔法だから正太君の魔法結界を通過することもないと思うよ」
(ふむ、確かに魔法系スキルを持ってない俺より勇也の方が正太の特訓相手にはいいかもな)
「ならお願いしてもいいかな? 正太がよければ魔法スキルを持ってる高橋君の方がいいだろうし」
「あ、うん。勇也君、お願いします」
と、いうことで勇也が正太の特訓相手になることとなった。余談だが、その間は勇也という相手がいなくなった悠二の相手をなぜか俺が務めることになった。悠二はどんな武器でも一通り使うことができるが、気に入ったのか格闘術?のような素手の攻撃を主体にやっていくつもりらしい。
こうして正太(なぜか俺も)の特訓は始まっていった。
召喚されてから2か月後、そして特訓が始まってから約1か月。
俺たちはこの世界の最低限の知識を一通り学び、戦闘技術や生産技術?もひと段落したのでダガル大臣に呼び出されていた。
「勇者様方には、次に冒険者登録をしてダンジョンに挑んでもらいたいと思っています。ダンジョンとは地下に存在する、魔物が闊歩する迷宮です。深く潜るほど魔物が強くなり、ダンジョンによってはとても危険なものもあります。しかし、ダンジョンには魔道具と呼ばれるものや宝石、希少な鉱石や何より魔物自体が魔石というものを落とします。これは魔法や魔道具使用時に自分の魔力の代わりに使用することができます。勇者様方をお呼びするのに使用した魔法陣も白魔石と呼ばれる希少な魔石を使用して起動しました」
つまり、俺たちが地球に帰るためにはダンジョンに潜って白魔石を入手するか、地上で白魔石を探して買うしかないようだ。
「ちなみに、ダンジョンは冒険者ギルドという組織がすべてを管理しています。この組織はどの国にも属すことがなく中立を保っています。なので勇者様方には一冒険者としてダンジョンに挑んでもらいたいのです」
その後の話はい近隣のダンジョンについてや冒険者ギルドについてだったので簡潔にすると、
・まずは王都のギルドで登録
・ランクが1~10あり、10から始まるのでダンジョンへの許可がもらえる7級権利者まで上げる
・この国にある5つの初心者ダンジョンに挑んで力をつけてほしい
・国内での必要経費は国が負担するから城にいても旅をしてもよい
と、言った内容だった。
ちなみに、さすがに俺たちだけだと不安がある人もいるので必要ならばのその町の騎士がある程度助けてくれるように手配するらしい。
とりあえず返事は明日ということで今日はお開きとなった。
俺は部屋へ戻ると自分のステータスを開いた。
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イトウ リョウマ
種族:人間
Lv.1
STR 50
VIT 50
AGI 50
LUK 70(90)
スキル:(ユニークスキル ≪製作者≫Lv1)
(ユニークスキル ≪昇華≫Lv1)
(スキル≪刀術≫Lv2)
(ハイスキル≪幽幻≫Lv1)
(ハイスキル≪異世界言語≫)
スキル ≪剣術≫Lv2
ハイスキル≪物質鑑定≫Lv1
スキル ≪アクト言語≫
称号:異世界から呼ばれし者
(作りし者)
(幻影使い)
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そう、≪刀術≫スキルがようやくレベル2になったのだ。ちなみに刀はまだ一度も触っていない。他のスキルも使う機会がなかったためレベルが上がることはなかった。
他のクラスメイトもちらほらレベルが上がった者がいる。勇也なんかは≪剣術≫がレベル3になったらしい。
(さて、お俺はどうしようかな。正太が強くなるまでは一緒にいるって言っちゃったし後で相談しないといけないけど、やっぱり異世界に来たんだからいろんな街にはいきたいな。7級権利者になるまでは王都にいて、ダンジョン に入る許可をもらったら時期を見て他の町にも行ってみよう)
"コンコン"
今後の予定も決まりいざ、正太の部屋に行こうとした時、誰かが部屋のドアをノックした。
次話は金曜日を目指して頑張ります!