その2 王女様
こんばんは、にこです。
3話目は無事投稿できました。
5/9 レーメル→ルーメルに変更
両側に開いた扉から入ってきた数人の騎士に囲まれるようにして一人の15歳くらいの女の子が入ってきた。ウェディングドレスのような真っ白なドレスに金色よりは少し黄色に近い髪色のロングヘアー、晴天の空のような済んだ青色の目に男子だけでなく女子も見とれていた。
「これで全員目覚めたようですね。改めてようこそいらっしゃいました勇者様方。ここはアクトという大陸のルーメル王国の城内です。皆様からしたら異世界ですね」
「私はこの国の第2王女、ククル・ルーメルです。気軽にククルとお呼びください」
王女様の一番近くにいた勇也が代表として王女様と会話をした。
(おお〜、やっぱり王女様だったか〜。やっぱり異世界の王女様は可愛いいんだな〜)
「王女様、ここは日本でも地球でさえもないってことですか?」
「はい、ここは勇者様方のいた世界とは別の次元にあり、かつて女神様が絶滅寸前だった人間のために用意して下さった勇者召喚陣の力で呼ばさせていただきました」
(この世界には女神様がいるのか? そうなると女神教とかありそうだな。あんまり深く関わらないのがお約束か)
「分かりました。では王女様、私達は元の世界に帰ることができるのですか?」
「はい、この召喚陣は双方に通じてますので勇者様を元の世界に返すこともできます。ですが……実は勇者様を召喚する際に大量の白魔石を使いまして……もう一度召喚陣を使うには集めるのに最低でも5年はかかってしまうのです」
「そうですか……そう言えばまだ私達が呼ばれた理由を聞いていませんでした。先程勇者と言っていましたが魔王のようなものがいるのですか?」
「はい、この大陸の反対側に魔大陸と呼ばれる大陸がありまして、約600年前女神様に選ばれた異世界の勇者様が魔大陸から侵攻して来た魔王を返り討ちにし、女神様の力で封印したのです。ですが、近年魔大陸だけでなくこの大陸も魔物が多くなり、魔王の復活が怪しまれていました。そして一月前に王国唯一の時魔法師がここ一年以内に魔王が復活すると予言をしたのです」
「本当はこの世界とは関係の無い勇者様方をお呼びせずにこの世界の人だけで立ち向かわなければならないのは分かっているのですが増加した魔物でさえ既に手一杯なのです」
「そうですか……少しみんなと相談してもいいですか?」
「分かりました、それでは私達はこの後の謁見の準備をしてまいりますので準備ができましたらまたお呼びいたしますね」
そうして王女様と勇也の会話が終わり勇也が戻ってきた。
「みんなそれぞれいろんなことを考えているかもしれない。僕はみんなの意見を尊重したい! だから勇者として戦いたい人と戦いたく無い人で別れようと思う。何か意見がある人はいる?」
「戦いたく無い人はどうするの?」
ある女子が質問した。
「戦いたく無い人は王女様に頼んでお城に住まわせてもらおうと思っている。魔王討伐を目指すグループがいれば他の人は養ってくれると思う。もしくはこの世界で収入を得られるまでのお金を出してもらえるように頼もうと思っている」
「勇也っ、俺は戦うのはいいんだが勇者って言われても俺たち元はただの学生だぜ。実際勝てるのか?」
悠二が疑問に思ったことを口にした。
すると残っていた騎士の一人が近づいてきた。
「それについては心配は無用です。勇者様方はこちらの世界に来る際、体をこの世界基準に作り替え、そこに特別な力や才能を授かると聞いています。“ステータスオープン”と言ってみてください、自分の前に現れる半透明の板が勇者様方それぞれのステータスとなります」
それを聞いたクラスのみんなは次々に“ステータスオープン”と唱え自分のステータスを確認した。
「すみません、このSTRとかVITって何ですか?」
「STRは攻撃力、VITは防御力となります。また、AGIは速さでLUKは幸運度となっています。Lv1の時点ではすべての生き物が幸運度を除き50となり、幸運度は平均が50最高が100と言われていますが実際のところ確認されている最高値は68ですね。その方は生涯擦り傷以上のけがをせず寿命で亡くなったと聞いております」
(え?俺幸運度90なんですけど?これこそ異世界転移って感じだな)
「幸運度を除く3種に関しましては1つレベルが上がるごとに上昇していきます。この時の上昇数は人によって異なり、私たち騎士団もこの上昇数が多い傾向があります。勇者様方ともなると私たちよりもさらに多いと思われます」
(ふむ、基本値はみんなおんなじでレベルが上がるごとに差が開いていくのか。これは結構ハードなシステムだな)
「次にスキルについてお話させていただきます。幸運度の下に表示されているのがスキルとなります。スキルのは無印のスキル、ハイスキル、スペシャルスキルと一番上がユニークスキルになっています。それ以外にも一部の種族のみが持つ種族スキルや複数のスキルや魔法が組み合わさってできる複合スキルというのもございます」
「最後に称号です。これは特定の地位に就いたものや行動をとった者に与えられるものでスキルが手に入る称号やステータスが強化されるもの、逆に特定のスキルが入手できなくなったりステータスが低下するものもあります。大体が特に何もない称号なのであまり気にすることもないでしょう」
「ご説明ありがとうございます。みんなっ、これで僕たちが戦えることが分かったと思う。もちろんスキルが生産的だったり戦いたくない人もいると思う、それでも僕と一緒に戦ってくれる人がいたらぜひついてきてほしい」
「勇也!俺はもちろんお前についていくぜ!」
悠二が返事をするとほかのクラスメイトも次々と言葉を発した。
「俺ももちろん戦うぜ!」
「おいおいそんな無理しなくていいんだぜ。ま、俺は余裕だけどな」
「お前こそ無理せずに城で待ってろよ」
「「なんだとー!!」」
「勇也君っ、私たちも戦うわ」
「そうだね、早くおうちに帰りたいしね」
それはまるで波紋のように広がり、誰もお城で待つ選択をしなかった。
今回は説明回でした。
誤字脱字や文におかしいところを感じましたら感想欄で指摘していただけるとありがたいです。
では次話で会いましょう。