表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

一華の剣

一台のスポーツカーを洋館の前に停車させ、男は降り立った。短髪の散切り頭に、ヨレヨレの背広姿。彼はいわゆる運び屋だった。依頼された物を、何も訊かずに届ける。報酬は高いが、仕事はどこより速く正確。それをただ淡々と、粛々と繰り返し、業界では名の知れた存在となっていた。一華は、依頼人の少女に言う。

「お届け物です」

宝剣を手渡し、彼は嫌味たらしく言う。

「大変だったよ。『どこかにある宝剣を私のもとに届けて』って、運び屋の本業とはかなり違ったからな」

「そうは言いながらも結局やってくれるあたり、プロって感じですよね」

「そりゃどうも。てか、なんでガキのくせにこんな報酬払えるんだよ」

「家が金持ちなので」

「この世界って、不平等だな」

「それで、八柄は何と言ってました」

「すでに別の誰かと契約したってよ」

「そう、ですか」

「じゃあ、この辺で」

立ち去ろうとする一華を呼び止め、彼女は言った。

「この剣は、あなたが持っててください」

「なんでだよ。高い金払って運ばせたのに」

「この剣は、あなたが持ってるのがしっくりきます。一華さん」

「え」

一瞬怪訝な表情をしたが、彼はすぐに歩き出した。

「行こうか、沖津」

少女は──遥はそう言ったが、返事が返ってくることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ