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第6章 14話

 「あー、兄貴が来るっすよ」


 とうとう新潟と千葉のナイスな組合せがここに完成するのか。お兄さんお待ちしてました。


 「どーもー。私たちダンジョンにすべてを捧げたいアイドル」


 「ダンジョン愛が止まらないミクです」


 「魔法大好きサクラです」


 「モフモフが至上……リノ」


 「「「三人合わせて『モンスタードールズ』と!」」」


 またそれか。その自己紹介は毎回やるんだね。少しは変化を求めたいところだ。


 「With柿の種!」


 ごめん変化あったわ。お兄さん意外にノリがいいのね。ポーズまでしっかり決めている。明らかに練習した感でてるよ、この暇人め。


 「柿の種さん。いつも弟さんにはお世話になっています。これよかったらお酒のおつまみにどうぞ『蛤とあさり串のセット』です」


 「おめさんがタカシかぁ。おつまみありがとう。話は聞いてる。弟もいいマスターと出会えたようで安心したんさ」


 「な、なんなのよ。この子達まさか」


 あー、そういえばみんなに説明するの忘れてた。急に現れてアイドル挨拶されても困るよね。


 「『モンスタードールズ』じゃないか!! あ、あの、ファンなんです。握手いいですか?」


 「はい! いつも応援ありがとうございます」


 コウジさん『モンスタードールズ』のファンらしい。アイドル生命としてはかなり短かったはずだけど、ダンジョンや魔法に興味津々だったコウジさんは知っていたのだろう。


 「彼女達は新しく出来た『新潟ダンジョン』のマスター。ちょっと特殊な事情で三人一組なんだ」


 「ま、まぁこの場所に来れるということはダンジョンマスターよね」


 「はじめましてー、ミサキです。『佐賀ダンジョン』のマスターです」


 「あっ、『静岡ダンジョン』のリナよ。よ、よろしく」


 「コウジです。『山形ダンジョン』のマスターで推しメンはサクラちゃんです」


 コウジさんにまさかのロリコン疑惑が発生してしまった。べ、別に構わないけどさ。趣味は人それぞれだよ。世界に一つだけの自分、目指して欲しい。今日はイケメンの弱点を知れたようでとてもうれしいよ。


 「ちょうどよかったよ。実は開通前後のダンジョンの強化を話し合いたいと思ってたんだ」


 「『コウモリ』さんを増やすのぉ?」


 うん、ミサキさん。普通はそう考えるよね。


 「もちろんそれもある。『千葉ダンジョン』では更に養鶏場を建設中で二万羽のニワトリを飼育する予定もあるよ。でもね、僕が提案したいのは根本的に別のことなんだ」


 「タカシはモフモフを飼育して楽園を築けと言っている」


 「いや、違うから。リノちゃんは少し黙ってようか」


 な、なんだ、その心底驚いたような顔は。モフモフしやすい大型犬とかエサ代半端ないんだからね!


 「まぁまぁ、まずはタカシ君の提案を聞こうよ」


 コウジさんがメガネをクイっと上げ、サクラちゃんを見ながら言う。ドン引きです。


 「僕の提案はね、『積極的な防衛』をすることなんだ。ある程度準備をしていても『栃木ダンジョン』のようにすぐに発見されてしまったら潰されてしまう」


 「じ、じゃあ、どうするのよ!」


 リナちゃんは答えをすぐ欲しがる。元々人見知りだから最短で会話を終わらせようとする癖があるのかもね。もう少し自分で考えてみた方が成長するんじゃないかな。


 「みんなのダンジョンが軌道に乗るまでの間、『千葉ダンジョン』のモンスター『菜の花』&『てんとう虫』さんを貸し出そうと思うんだ。その代わり、みんなのダンジョン入口周辺とダンジョンに入ってから続く細い通路100メートルを借りたい」


 「つまり、第一発見者を逃がさないようにしようってことなの?」


 さすがミサキさん。話が早くて助かる。


 「そうだね。まずは野生動物を催眠状態にしてダンジョンに人を近寄らせないようにする。普段は他の野生動物をダンジョンに追い込むのもありだね。間違ってダンジョンに人が入ってしまった場合も大量の『菜の花』で催眠状態にして仕留めやすくする。また、異変に気付いて逃げ出してもダンジョン外の野生動物で仕留める」


 そのためには野生のクマさんを押さえておきたい。イノシシでも数がいれば。最悪でも毒蛇や野犬あたりでもなんとか出来るだろう。


 「な、何よ、この一石三鳥、四鳥の構えは! た、タカシらしい嫌らしい作戦ね。でも賛成よ。わ、私はローパーとアオイを守らなきゃならないもの」


 「『新潟ダンジョン』も賛同するわ。もう姉妹ダンジョンでいいんじゃない」


 ミクちゃんが代表して答えてくれた。姉妹都市みたいに言わないで。新潟にはマヒトくんのところから持ってきたコウモリさん達を持って帰ってもらおう。


 「タカシ君、『山形ダンジョン』も賛同するよ。というか正直助かる」


 「ミサキさんはどうかな?」


 「そうねぇ。よく考えられてると思うわ。申し訳ないけど、お願いできる?」


 「もちろんです。近日中に向かわせるからダンジョンの詳細な場所とか打ち合わせさせてください」



 よし! これで他のダンジョンがマヒトくんのように裏切ることは出来なくなった。まぁ今のところそんな考えはなさそうだけど。『菜の花』&『てんとう虫』さんにはしっかり仕事してもらってダンジョンマスターが妙な動きをしないように監視してもらおう。

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