第1章 9話
みんな『水の神殿』の噴水を喜んでくれてよかった。遠隔操作で回廊の下から小さな水弾を飛ばしてみました。
「そういえばピースケ、僕、家に戻らないと家族が捜索願いとか出して大変なことになりそうな気がするんだけど何かいい案ある?」
「そんなことっすか。問題ないっす。ダンジョン適合者はマスターになった段階で徐々に世の中から忘れ去られていくっす。もう誰もマスターのこと覚えていないっす」
ちょ、えっー!ま、まぁ、いいか。僕自身、家族や、会社の同僚のことがあまり思い出せなくなってきている気がする。これもマスターになった影響なのだろうか。ならば警察が僕を捜索に来ないだけマシと考えるとしよう。
「なるほど。そんなことだろうとは思っていたよ。」
くやしいから、とりあえず意味なく、クールに知っていたかのように振る舞ってみる。
「さすがタカシ様です」
フィッシュ!オンフィッシュ!早速ティアが食いついた。この娘、エサなくても釣れそうだよ。爆釣間違いなしだよ。将来に不安を感じさせる程、妄信ぶりに磨きがかかってきてるね。
「タカシ様には私たちがついております。どうか気を落とさず。そうだ。私のお兄さまになってほしいです」
レヴィがかわいい。美少女ツインテールからお兄さまとか呼ばれるの素敵です。お兄さま頑張りたいです。
「レヴィありがとう。僕もみんなを新しい家族だと思って一緒に成長していきたい。これからもよろしくね」
「それなら私は、た、タカシ様の妻に、い、いや先ずは側室に!」
とか、ティア先生が家族ごっこを楽しみはじめているが、いきなり家族ごっこで側室やりたいとか、そのチョイス。ビッチ感丸出しのティア先生、とってもラブリーです。
「あっ、じゃあ自分はペット枠でお願いするっす」
そして何のためらいもなくペットになる落花生。何この家族ごっこ!カオスだよ!妹、側室、ペットって。ハードル高いっすわ。普通なの妹だけだよ。
「ところでティア先生、水属性の魔法について聞きたいんだけど、回復魔法ってあるんですか?」
回復魔法のイメージは水属性と光属性っていったところか。ダンジョンは基本的に防衛戦である以上、回復魔法か回復アイテムは欲しい。
「はい。タカシ様。水属性には『治癒』という回復魔法があります。『水弾』とは違い、慈愛に満ちた表情と気持ちで発動します。『治癒』!」
あたたかな青い光に包まれる。なんだか心が安らぐ。これが治癒か。怪我してないから効果がわからないけどなんか効きそう。あと、見逃すとこだったけど、慈愛に満ちた表情は別にいらない気がする。
まぁ、やってみよう。「『治癒』。」
慈愛に満ちた表情と気持ちをティア先生へ向けて発動。
「ふぁ、た、タカシ様ぁ。と、とっても、あたたかくて、気持ちいい。こ、こんなのはじめてです!」
頬を赤く染めながら上目遣いでエロい発言をするティア先生。すでに側室が板についています。
「お、お兄さま、私にも『治癒』をお願いします。」
お兄さま頑張りたい。かわいい妹のために張り切りますとも。
「『治癒』!」
「はぅーぅわぁー!」
レヴィが内股ぎみに座りこみ顔を赤く染めている。なんだか息が少し荒いけど大丈夫だろうか。
「レヴィにだけ強い『治癒』とかズルいです!私にも、私にも強い『治癒』を!救いを!」
僕の治癒には変な成分が含まれているのだろうか。ええぃ!
「『治癒』!」
「はんっ。やぁ……いっ……はぅー」
これ、戦闘中に使えないんじゃないだろうか。どうやらもう少し抑えた治癒を覚えるべきだろう。今の感じだと自分に使うのがちょっとこわい。
その後立ち直った二人とピースケに僕の考えたダンジョン戦略を伝えたり、話し合いをしながら修正を加えていった。
うん。かなりおもしろい感じになってきたと思う。とはいえ、実質の戦力はティアとレヴィと僕。レヴィの分が増えたとはいえ、まだまだ足りない。
それに開通してみなければわからないこともある。できる限り準備を進めておこう。
ポイント残160
ダンジョンモンスター
●菜の花×120(119追加)
●てんとう虫×10(9追加)
●ティア(水竜)
●レヴィ(水竜)