第6章 3話
リナちゃんも『栃木ダンジョン』に行きたいとか言っていたけど、もちろん外出できるほどポイントが貯まっている訳もなく、あえなく断念せざるをえなかった。ちなみに、マヒトくんに伝言を頼まれた。
「ばぁぁぁぁぁか!!」
以上とのこと。伝える意味があるのかわからないけど、この言葉の奥に秘めた意味は僕にはわからない。
『栃木ダンジョン』の場所の絞り込みについてはある程度できている。今までのマヒトくんとの会話の中で出ているのもある。宇都宮市内にあるやや大きめの山。おそらく古賀志山で合っているだろう。例のごとく近くまで行けば特侵隊が目印になってくれるはずだ。
さて、栃木への遠征メンバーだけどレヴィから強く立候補があった。ちょっとめずらしい。
「理由はどうあれ、裏切るなんて許せません。あれだけお兄さまが親身に魔法やダンジョンのことをお手伝いしてきたのに。そうでしょ!お姉さま」
「そ、そうね。コウモリさんも心配かしら」
ティア先生はコウモリさんが心配な様子です。コウモリさんもかなり減ってしまったもんね。
『栃木ダンジョン』への侵攻が見つかってしまった段階で『千葉ダンジョン』への侵攻も逆に考えられる。やはり念のために戦力は分けた方がいいね。
「栃木遠征のメンバーだけど、山梨の時とは逆でレイコさんとヨルムンガンドちゃんは留守番よろしく。ティアとレヴィは一緒に行ってもらうよ」
「お兄さま、私頑張ります」
「次はミサイルも跳ね返してみせるわ」
「いや、当たっちゃダメだからね」
遠征メンバーのことについてはヨルムンガンドちゃんが若干拗ねていたけどレイコさんも同じ留守番と知ってなのか渋々ながら納得してくれた。
「まぁ、『養鶏場』も作らねーとならねーしな」
実際に作業するのは『ゴブリン』達で、指示するのはレイコさんである。材料と図面はエディ。あと、手先の器用な『フォレストエイプ』にもお手伝いをお願いしている。
「うん、頼むよ。レイコさんをしっかり手伝ってあげてね」
「おう!海ホタルみてぇなでっかい『養鶏場』つくるからよ」
それは困るが、レイコさんがいるから大丈夫だろう。
「お、おぅ。」
コウモリさんのお持ち帰りを考慮して忘れない内に闇属性魔法で闇の門を習得しておいた。
「レイコさん、僕たちが『栃木ダンジョン』に侵攻したのがわかったら『千葉ダンジョン』へ特侵隊が侵攻してくる可能性が高い。その時はいつも通りみんなに指示してもらいたいんだ」
「はい。任せてください」
ちなみに改めて僕たちのステータスを見ていただこう。みんなレベルは上がりにくくなっているけど全体的に向上している。訪日ダンジョンツアーのみなさん大事な養分をありがとう!君たちの分も強く生きるよ。
タカシ(ダンジョンマスター)
レベル45
体力510
魔力1100
攻撃力230
守備力235
素早さ232
魔法:水、土、雷、闇属性初級、氷属性中級
スキル:魔力操作レベルMAX、痛み耐性レベル1
ティア(水竜)
レベル25
体力570
魔力530
攻撃力345
守備力540
素早さ315
魔法:水属性初級、氷属性中級
スキル:魔力操作レベル1
レヴィ(水竜)
レベル25
体力530
魔力365
攻撃力305
守備力500
素早さ550
魔法:水属性初級、氷属性中級
スキル:魔力操作レベル1
レイコ(元ダンジョンマスター)
レベル20
体力240
魔力250
攻撃力98
守備力103
素早さ100
魔法:土、闇属性初級
スキル:魔力操作レベル1
ヨルムンガンド(大海蛇)
レベル21
体力400
魔力200
攻撃力430
守備力420
素早さ460
魔法:水、闇属性初級
マヒトくんのレベルはどのくらいだろう。仕留めたのが野生動物だけだとしたらたいして上がっていない。よくて5か6ぐらいなはず。日本政府と組んでいるならポイントはかなりあると見ておいた方がいいね。
宇都宮までの交通手段だけど、ボート小屋の高橋さんの車を借りて僕が運転することになった。電車も考えたけど宇都宮でダンジョンを探すことを考えると現地で動きやすい車がいいかなって思う。
「二人とも、そろそろ出発しようか。宇都宮に着くまでに作戦的なことでも考えよう」
「はい。お兄さま」
「タカシ様、おやつは何を持っていくのですか?『落花せんべい』と『落花生パイ』は外せませんわ」
「ちゃんとあるから大丈夫だよ」
「さすがタカシ様ですわ」
食の探求に全くぶれのないティア先生に一人心が和みながら、こうして僕たちは亀山から宇都宮へと車で向かうのだった。




