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第6章 2話

 今晩の夕食は『なりたこラーメン』と『ホワイティ餃子』。普段だったら一緒には食べられない違うお店のメニューをセットでいただくというミラクルを可能にするポイント交換に感謝しながら舌鼓を打っていた。


 餃子のパリパリの食感と溢れ出る肉汁ジュースがたまらない。そして、背油の甘い旨味とニンニクの香りが更に食欲を促す。麺を啜るのが止められない。うん、うまい。


 「マスター、『山形ダンジョン』のコウジから会談依頼が来てるっす」


「コウジさん?どうしたんだろ。じゃあ、会議室に呼んでよ」


 リナちゃんの呼び出しが終わったと思ったら今度はコウジさんか。まさかとは思うが流れ的にコウジさんがあっち系だったとしたら、場合によってはエディの投入もやむ無しか。僕は戦々恐々としながらコウジさんが来るのを待った。


 コウジさんはピースケが連絡するとすぐに来てくれた。そんなに我慢できなかったのだろうか。


 「タカシ君、急にごめんね。ちょっと相談というか、話があってね。どうしても二人きりで話をしたかったんだ」


 ヤバい。これアウトな展開かもしれない。


 「どうしたんですか?」


 「じ、実は、マヒトくんのことなんだけど……彼のこと、どう思う?」


 おいおいおい。ターゲットはマヒトくんか。もしくは僕を含めたプレイをお望みなのだろうか。さ、先が読めないぜ。


 「マヒトくんは真面目で隠し事とかしないオープンな性格だと思うけど」


 攻め方をご所望なのだろうか。僕に聞かれてもすごく困る。


 「そうか。『千葉ダンジョン』の魔法練習が終わったあとに、マヒトくんから会談をしたいと言われ『山形ダンジョン』で会ったんだが……彼はみんなを裏切っている。日本政府と組んでいるんだ」


 マヒトくんが日本政府と組んでいる……!?


 「彼は一緒に日本政府と組まないか?って聞いてきたんだ。返事は保留しているが、断ったら間違いなく敵対することになるだろう」


 「そ、そうですか」


 まだ開通していない『山形ダンジョン』のコウジさんが嘘をつくメリットはない。エディの情報からも整合性がとれる。せめて顔を知らない『香川ダンジョン』とかだったらよかったんだけどな。顔見知りが敵になるとかあまり考えたくなかった。しかも仲間だと思っていたマヒトくんか。


 「おそらく彼は私が断るとは思っていないだろう。断ったら開通とともに特侵隊が攻略に来るだけだ。私がダンジョンを放棄してどこかのボスモンスターになるならそれはそれで構わないとも言っていた」


 「それにしても、マヒトくんは『千葉ダンジョン』を敵に回すことを何とも思っていないのかな?」


 「彼は『千葉ダンジョン』のことは入口を封鎖されているから先がないと言ってたよ。外に出ようにもミサイルが何百発も狙いを定めているとか。政府にうまく乗せられているのかな。タカシ君『千葉ダンジョン』は大丈夫なのかい?」


 「あー、なるほど。大丈夫ですよ。まったく問題ないです」


 早く手を打たないとリナちゃんやミサキさんも狙われることになるか。


 「つまり、彼を、マヒトくんを止められるんだね」


 「彼と『栃木ダンジョン』のモンスターがどこまで成長しているのかにもよりますけどね。とりあえずリナちゃんとミサキさんにも話しましょうか」




◇◇◇◆◆



 しばらくしてリナちゃんとミサキさんも会議室に集まった。ちょっとピリピリしてる。


 「た、タカシ! マヒトが裏切ったとか本当なの?」


 リナちゃんがキレている。ちょっとローパーが足りていないようです。


 「さっきコウジさんが話した通りだよ。間違いないよ」


 「あいつ本当バカね」


 すると、ミサキさんが気になったことを聞いてきた。


 「理由はどうあれマヒトくんは人類と手を組んで生き残ろうとしているのね。タカシくんはどうなの?」


 「僕は利用することはあっても手を組むつもりはないですね」


 「理由を聞いてもいい?」


 「人類が求めるものはレベルアップ、ドロップアイテム、あとは魔法もかな」


 「そうね。それがどうかしたの?」


 「わからない? それらを手に入れるためにはダンジョンモンスターを討伐しなきゃならないんだ。何度も何度もリポップしては殺され続けるんだ。消滅することも許されない。リナちゃんはローパーが殺されても平気?」


 「ありえないわ」


 「ミサキさんはオークが殺されても平気?」


 「許せないわ」


 「そう、無理なんだよ。人類と相容れるなんて。特にダンジョンモンスターに仲間意識を持ってしまった僕らには。利害関係がなければ手を組むなんて考えられない。だからこそ、マヒトくんが日本政府と手を組むことに違和感を感じる」


 「タカシ、どうするの?」


 「このまま黙って見ている訳にはいかない。人類が力をつける前に『栃木ダンジョン』を落とす。まぁその時に一応、マヒトくんの話も聞いてみるよ」

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