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閑話 5-2

 私がダンジョンに入ったのは偶然だった。お墓におばあちゃんの骨壺を納骨するために訪れた墓地の近くに『静岡ダンジョン』があったのだ。


 帰ろうとした時に小太郎が何かの匂いに気づき急に山の方に向かって爆走してしまった。急いで追いかけるもののあっという間に見失ってしまう。


 「小太郎ー!どこにいるのー!!置いていくわよー!」


 意外と小太郎に冷たいアオイであるが、言うことを聞かない小太郎も悪い。どちらもおばあちゃん子だったアオイと小太郎はライバル同士なのだ。主従関係ではない。


 しばらく山を登って行くと洞窟が見えてきた。中を覗くと小太郎が何やらムシャムシャと食事をしている。こいつこんなところに。


 「こら!小太郎ー!こっちに来なさい!!変なの食べちゃダメよ!!」


 声は聞こえているはずなのに振り向こうともしない。食事に夢中だ。まぁいい。ならばリードを掴むのみだ。せいぜい夢中になっているがいい。絶望した表情を拝んでやろう。


 「よーし、つかまえ……きゃっ……えっ?」


 リードを掴もうとしたその瞬間、私は天井からうねうねと下りてきた触手に絡めとられた。それを見た小太郎は驚いて外へ逃げていった。こ、この駄犬逃げたわね。


 チクッ。痛っ!触手から針が出ていて私の太ももに刺さっていた。あれっ、体が痺れて……動け……ない!?


 そこからは酷かった。ここはきっとダンジョンだ。騒ぐ私に触手モンスターは二回目の針を刺してきた。今度は痛みはなかった。というかすごく気持ちよかった!?な、なんだか変な気分になっていった。


 完全に私の動きが止まった頃を見計らって今度はスライムが現れた。まるで前もって決められた流れ作業のように私の体にまとわりつくと服だけを溶かしていく。このエロスライム!でも体が溶けないだけマシなのかもしれない。と、というか、スライムが体を這うのが気持ちよすぎて失神しそうになった……。私の身体がおかしい……。おい、小太郎。ホントに来ないのかよ。


 「ウァンッ?」


 し、下にいるー!!!!!!二メートルくらい下に確かに小太郎がいた。ちょ、ちょっと届かないか。


 「こ、小太郎さーん。い、いや、小太郎様ぁ。た、助けを呼んでくれないかな?」


 「ワフッ!」


 おっ、通じてるの?いけるの?小太郎はきびすを返すとダンジョンの奥に走っていった。おいっ、助けを求めるなら外に行けよ………。


 次に小太郎が現れたのはそれから約5分後だった。しかも人を連れてきた。小太郎偉いぞ!


 「ど、どうも。こ、この犬に連れて来られたダンジョンマスターです。こ、この犬はあなたの?」


 くっ、この駄犬に頼った私が馬鹿だった。この状況で一番連れてきちゃいけない人だよ。な、なんだよ、そのホメてホメてみたいな顔は。しっぽ振りすぎなのよ。


 「ざ、残念ながら、うちの雑種みたいです」


 それからダンジョンマスターと私の話が始まった。私の身の上を話すと大変だったのね。と頭を撫でられた。


 「はぅぁうぁぁぁぁぁん!!!!!!」


 お願いだから今は私の身体には触れないでください。で、でもダンジョンマスターってそんなに悪い人じゃないのかな? ん?あれっ、な、なんか笑顔がこわい……。


 「ちょ、やっ、だ、ダメー!!!!!!!!」


 それからは弄ばれた。散々に弄ばれた。これでもかと弄ばれた。もうお嫁にいけない。私、お姉様なしには生きていけない。


 もっともっと。快楽を追い求めローパーからの注入量はどんどん増えていった。すでに脳が回っていない。最近は会話さえ難しくなっている。どうしよう。このままだとお姉様に捨てられてしまう。最近はなかなか会いに来てくれない。困った。でも、止められない。ローパーが欲しい。いや、もうローパーになりたい。




◇◇◇◆◆



 「………という訳で、タカシにはペット、じゃなくてアオイちゃんを元に戻して欲しいの。いろいろと敏感になりすぎてもう限界みたい。こ、今度はちゃんと飼育する。か、可能であるならばアオイちゃんをローパーに出来ない?」


 「出来るかぁ!」


 ようやく決心して『静岡ダンジョン』を訪れてみれば、リナちゃんが女の子を手籠めにしていた。ローパーも想像通りの大活躍だったらしい。それにしてもリナちゃん、ペットとか飼育するのところで頬を赤く染めるのやめてください。こっちは予想外過ぎる展開にビックリだよ。


 「あの犬は?」


 画面には裸にローパーのアオイちゃんと一匹の犬が映し出されていた。


 「アオイちゃんのペットで小太郎よ」


 「ペットのペットとか、もうややこしいよぉ!」


 落ち着けタカシ。いや無理だ。無理だろう。早いところ最上級の治癒(キュア)を撃ち込んで逃げよう。深く関わらない方がいい。


 「とりあえず治すよ治癒(キュア)!!」


 ビッ、ビックン、ビックン。


 アオイちゃんが瞬間的に跳ね上がり、床に落ちそうになるも寸前でローパーが拾いあげた。な、ナイスローパー。


 「ちょ、ちょっと!殺してないでしょうね」


 「アンデッドじゃないなら大丈夫じゃないかな」


 「お礼はまた今度するわ。悪いけど」


 「うん。早くいってあげなよ。僕はこれで失礼するよ」



 「アオイ!大丈夫なの?」


 「お、お姉様、今の凄いよかった」


 「も、もう心配したのよ」


 「ワフッ!」


 「小太郎も心配かけてごめんね」


 「お姉様、とりあえずワンローパーいっちゃっていいですか?」


 「ちょ、大丈夫なの?で、でもダメになったらまたタカシを呼べばいいか……」


 「ワフッ!」

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