第5章 14話
今日は水の神殿に集合しての魔法練習二日目です。昨日と同じ組み合わせでマンツーマンレッスンを受けている。感覚派のリナちゃんは教えるのが苦手なようで苦戦しているみたいだ。
「み、ミサキ、そこで右手にブワッと力を入れるのよ!」
「ぶ、ぶわぁー」
「ち、違うわ!ブワッよ」
「ぶ、ぶわぁー」
見事に魔力が霧散していく。ダメそうだ。僕より教えるのひどいんじゃないかな。これは時間が掛かりそうだ。
一方、マヒトくんはじっくりと親身になって教えている。僕もリナちゃん同様に感覚派のタイプなのでとても勉強になる。
「コウジさん、ゆっくりでいいので魔力を動かしていきましょう。時計回りに………うん。いい感じです。では、右に集めてー次は左側です」
「マヒトくん、大分自由に動かせるようになってきたかな」
「はい。バッチリですね。魔法は魔力操作とイメージが重要です。次は魔力を右手に集めるようにして土棘!」
「よし、土棘!で、出来た……。う、うわぁすごいね。これが魔法か……ちょっと感動だよ」
マヒトくんに比べるとやや小さめな土棘であったが無事に発動した。一度撃てたなら大丈夫だろう。後は練習あるのみである。
「ぶ、ぶわぁー」
「み、ミサキ、気合いが足りていないわ」
「ぶっわぁー!!」
気合いでは魔法は発動しません。しょうがない。リナちゃんよりはまだ僕の方がマシだろう。少し手伝おうか。
「ミサキさん。僕もお手伝いします」
「な、何よ! 私に任せときなさいよ」
マヒトくん達を指さすとコウジさんが何回目かの土棘を決めていた。
「なっ! ま、マヒトの癖にやるじゃない」
「僕もそうだけど感覚派の人は教えるのが下手なんだよ。だから強引に発動させて身体で覚えさせるしかないんじゃないかな」
「ふ、ふーん。み、ミサキのいい鳴き声が聞けそうね。い、いいんじゃない」
「ちょ、ちょっとー、二人とも危ないのはダメですよー。私、ゆっくり覚えますよー」
少しずつ後ずさるミサキさん。僕が頷くとリナちゃんが後ろからミサキさんを羽交い締めにした。よくやったリナちゃん。
「り、リナちゃん!」
「ミサキ、あきらめるのよ」
「い、いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ちょ、あっ、私までぇー!!!!!!」
「「はぅわぁぁぁぁぁ!!!!!」」
結論から言おう。ミサキさんは見事に水弾を放つことが出来た。僕の魔力を流し込みながらミサキさんの魔力を動かし強引に発動まで持っていった。
予想外だったのはミサキさんの体を羽交い締めに押さえていたリナちゃんの魔力も一緒にかき混ぜてしまったことだろう。くっついていたせいで影響を受けてしまったようだ。不可抗力だ。
二人とも体力の消耗がはげしい。自分の意思とは別の力で魔力が動かされるのはそれなりに負担がかかるようだ。しばらく休憩にした方がいいだろう。
ハァハァいいながら胸を押さえているのはとてもエロい。ミサキさんは胸が大きいのでリナちゃんの倍エロい。大きく動くおっぱいはエロさに比例するのだ。
「た、タカシの魔力はやっぱり変態」
「こ、このことを言ってたのねぇ。た、確かにこれは刺激が強いわよぉ」
大事なことなので何度でも言っておこう。僕が変態なのではない。僕の魔力が変態なのである。あー、魔力が変態なのを認めてしまった………。
「いやぁ、それにしても魔法が発動出来てよかったです。魔力も減ってますし、少し休憩にしましょう」
『魔力回復薬』と銘菓『ピーナッツ最中』を用意した。疲れたときは甘いものがいい。決して甘すぎない絶妙な餡が美味しい『ピーナッツ最中』千葉を代表する銘菓だ。
こちらが休憩の準備を始めたのを見たのだろう。マヒトくんとコウジさんも休憩しに来た。
「タカシさん差し入れ持ってきたんですよ。どうぞ、みんなで飲みましょう『れもん牛乳』です」
気遣いの男、マヒトくんが飲み物の差し入れを用意していた。リナちゃんも『ウナギパイ』とか持ってきてもいいんだよ。
魔力回復薬があるため、かなりハイスピードで魔法練習は進んでいった。順調なんじゃないかな。




