第5章 13話
「出た!『菜の花弁当』食べ放題。これ大好きです。このあさり串のアクセントがたまらんですね」
マヒトくんが久々の『菜の花弁当』にご満悦のようだ。千葉県産の素材をふんだんに使用したお弁当は千葉で人気の駅弁だ。
開通前のダンジョンマスターはお腹ペコペコだからね。リナちゃんもムシャムシャ食べている。君たちはメインじゃないんだけどな。
「こ、この弁当を見るとあの頃を思い出してお腹が減るのよ」
なるほど、条件反射的な行動に近いのか。コウジさんとミサキさんが驚いているじゃないか。
「二人もおかわりはいっぱいあるから好きなだけ食べてください。開通前はポイント厳しいですからね」
「すまないね。いつか『千葉ダンジョン』に恩返し出来るように頑張るよ」
「タカシ君は優しいのね。私もお返しできるようにまる子と頑張らなきゃね」
二人のステータスを聞いたらどちらも魔力適性が高かった。ダンジョンマスターに選ばれる条件に魔力ってやっぱり関係あるのかもしれないね。ステータスは以下の通り。
コウジ(ダンジョンマスター)
レベル1
保有ポイント780
体力60
魔力54
攻撃力7
守備力5
素早さ6
ミサキ(ダンジョンマスター)
レベル1
保有ポイント920
体力50
魔力62
攻撃力5
守備力5
素早さ6
今日のところは魔力を身体に流すところまでで明日から場所を変更して二階層の水の神殿で魔法の練習をすることにした。
「それにしても最初に魔力を流す時って変な感じになると思ってたんですけど、なんか普通でしたね」
「そ、そうよ。ミサキの様子を楽しみにしていたのに普通だったわ」
マヒトくんとリナちゃんが睨んでくる。だからその万引きGメンのような目線はやめてもらえないかな。
「た、タカシの魔力は変態よ」
「ですね。間違いないです」
二人の評価がとっても辛辣だ。いや、これは僕に対してではなく僕の魔力に対してだからいいのか?いやそんな訳ない。チッ、本気の治癒を撃ち込んでくれようか。
「二人の時はどんな感じだったのかしら?なんだか気になるわ」
「み、ミサキはそんなこと気にしなくていいのよ」
「そうです。誰しも知られたくない黒歴史があるんです」
なんか話題を変えた方がいいな。この話題は誰も得しない。
「そういえば、二人の属性はわかったの?」
「自分は土属性だそうだよ」
「コウジさんは土属性ですか。土棘は使い勝手がいい魔法ですよ」
「でもちょっと地味かな。やっぱり雷属性か氷属性とか使いたいよね」
コウジさんとは仲良くなれそうだ。男の子のロマンは稲妻だよね。
「あとからポイントで属性は補完出来ますから今は魔力に慣れておきましょう」
「おーそうなんだね。少しやる気が出てきたよ」
「ミサキさんは何ですか?」
「私は水属性と風属性だそうですよ」
「二属性持ちですか。よかったですね。水属性には治癒という回復魔法があるので当たり属性じゃないかな」
「あらぁ。しっかり練習して覚えなきゃね」
「タカシ君、土属性はやはり外れ属性なのかい?」
「そんなことないですよ。防御と攻撃の両方が使えるので初期では助けになる魔法になるはずです。そういえば、ボスモンスターって聞いてもいいですか?」
「山形は『マザーウォーム』という大きいミミズのようなものをイメージしてもらえればわかりやすいかと」
「あ、あら素敵じゃない」
リナちゃんの食い付きが半端ない。そっち系か。
「ウォームは意志疎通は出来ますが会話はしないし……駒吉もわりと無口だし、ダンジョンが静かで割りとさみしいです」
イケメンにも悩みはあるらしい。いいことだ。
「佐賀のダンジョンは『オークソルジャー』がボスモンスターです。豚さんですよ」
「オークですか。なんかエロ強そうですね」
マヒトくんが直球を投げた。
「そうねぇ。大きくて頼りになるし……あとはうん。ヒミツ」
ミサキお姉さんが大人な感じです。豚さんにブヒブヒ言わせていると個人的にはうれしいです。




