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第5章 12話

 「マスター、会談を申し込んでいた三名の内、一人はNG。二人はいつでもOKだそうっす」


 「あらら、NGの人の理由は何かな?」


 「香川県のマスターっすけど、既に開通しており一人でやるから構わないでくれと言ってるっす」


 「そうか『山梨ダンジョン』のこととか攻略されたらどうなるかとか魔法のこととか伝えてるんだよね?」


 「全部伝えてるっす。なんか馴れ合う気はないと言ってるっすよ」


 「そっかぁ。まぁ無理にとは言わないよ。自力でなんとか出来るならそれが一番だからね。万が一攻略されたのならその時対応を考えようか」


 「じゃあ他の二人を呼ぶっすよ。山形県がコウジで案内人は将棋の駒吉っす。佐賀県がミサキで案内人は丸ぼうろのまる子っす」


 「ちなみに聞くけど香川県は?」


 「香川県はショウで案内人はうどんの釜揚げさんっす」


 「やはりうどん県。釜揚げでしたか。あっ、ピースケ。マヒトくんとリナちゃんにも声掛けておいてよ」


 「了解っす」




◇◇◇◆◆



 一時間後に『千葉ダンジョン』会議室に全員が揃うと、リナちゃんが僕の隣に座って話し掛けてきた。相変わらずフードを深くかぶっている。


 「た、タカシ、『静岡ダンジョン』にも今度き、来なさいよ」


 ちょっと自信満々な感じが怖い。間違いなくローパーだらけのダンジョンに仕上がっていることだろう。なんか行きたくない。


 「そうだねー。今度遊びにいかせて」


 「か、必ずよ、来週までに来なさい」


 「う、うん」


 人見知りの癖に圧が半端ない。万引きGメンのような目線だ。女子って共感したがる時あるよね。でも思うんだ。ローパー愛の共有はハードルが高いんじゃないかな。


 「タカシさんお久し振りです。タカシさんが外で暴れてくれたお陰でダンジョン造りも順調ですよ」


 「た、タカシ、どういうことなの?」


 「二人が開通する頃に少し『千葉ダンジョン』に注目を集めたんだよ」


 「そ、そうだったのね。ありがとう」


 あー、新人さんを置き去りにしていた。まずは自己紹介からかな。僕はコウジさんとミサキさんを見ながら声を掛けた。


 「こっちで話し込んじゃってゴメンね。コウジさんとミサキさんですね。はじめまして『千葉ダンジョン』のマスタータカシです」


 「『静岡ダンジョン』のリナよ」


 「マヒトです。『栃木ダンジョン』のマスターです」


 「ミサキです。佐賀県でダンジョンマスターになっちゃいました。二十歳です。こちらが、まる子です」


 丸ぼうろのまる子がお辞儀している。丸ぼうろサイズでミサキさんの肩に乗っている。ちょっとかわいい。ミサキさんは、ほわほわとしたゆったり口調で全体的に程よくふっくらとした体つきは正にお姉さんといったイメージだ。


 「コウジ。二十八歳です。山形の天童でダンジョンマスターさせてもらってます。よろしくお願いします。ほらっ駒吉」


 「おはよっす。駒吉す」


 短髪にメガネを掛けシュッとした体型のコウジさん。モテそうだ。声も低くていい。モテそうだ。めっちゃ声高かったらよかったのに……。駒吉は駒の形をした無口な職人さんのようなイメージだろうか。


 「うん。よろしくね。早速だけど二人には選んでもらいたい。ダンジョンマスターを一生続けるか、それとも辞めるかを」


 二人にはマヒトくんやリナちゃんにも話したようにこれからの選択を迫った。これはもう踏み絵みたいなものだろう。やる気のない人には退場願うけど、少しでもやる気があるのならお手伝いしようと思う。


 そうして確認した二人の意思はダンジョンマスターをやるということだった。


 ミサキさんは自分がマスターを辞めることでまる子がその後どうなるかを聞いたことで決心をしていた。優しいけどきっかけはそんなことでもいいと思う。


 コウジさんは好奇心が強い感じだった。元々『千葉ダンジョン』や『山梨ダンジョン』のことをテレビで見ていたようで探索者になりたかったそうだ。


 「探索者じゃなくてダンジョンマスターだけどいいんですか?」


 「レベルアップや魔法に興味があったんです。まぁその人間辞めてしまうことに罪悪感が無い訳でもないですが、日が経つ毎にそういった感情が薄れていってるんですよね」


 あー、それはダンジョンマスターあるあるですね。共感できます。ローパー愛より断然共感できますよ。



 その後、マヒトくんとコウジさんペアとリナちゃんミサキさんペアに分かれて魔法の勉強をすることになった。毎回僕が教えるのは大変だし、私たちにやらせなさいとリナちゃんが張りきっていらっしゃいました。


 暇だ。『菜の花弁当』とお茶を用意しよう。

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