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第5章 9話

 ボート小屋に戻るとダンジョンの入口に向かって綺麗な一本道が完成していた。さすがティア先生にレヴィちゃんです。


 帰り道に山田エドワードことエディから早速明日の夕方伺いますと連絡がありました。ここまではおおむね順調ではないでしょうか。あっ、レヴィちゃんがいました。


 「レイコさんおかえりなさい。ヨルムンガンドちゃんは……寝ちゃってますね」


 「レヴィちゃんただいま。車の中だと暖かいからすぐ寝ちゃいますね」


 「ツアコン探しは上手くいったのですか?」


 「はい。お恥ずかしながら私たちは何もしてないです。てんとう虫さんが全部やってくれました」


 ダンジョンの入口の方に向かうと菜の花&てんとう虫さん達が隊列を組んで出てくるところでした。みなさんなんだか誇らしげです。マスターの役に立っているのが嬉しいのでしょう。


 どうやら三交代制で『ボート小屋』、『ダンジョン内警備』、『休憩』を繰り返すローテーションを組んでいるとのこと。休憩の時は他の階層に遊びに行くこともあるそうですが、草原のフロアが人気らしいです。


 「そういえば、ティア先生は何をしているんですか?」


 「お姉さまは最近仲良くなったグラスウルフ達を率いてキャットフードを使ったレベルアップ作戦を実行中です」


 「なんですか?それ」


 「お兄さまが以前に行っていた作戦で野性動物をキャットフードでダンジョンに引き込んでは仕留めてを繰り返してレベルアップしていたことがあったんです」


 「おーなるほど。キャットフードって効果あるんですね。この辺りは野性動物って多いのでしょうか?」


 「猿と野鳥が多いらしいですよ」




◇◇◇◆◆



 「次のグループ定位置に移動。待て!」


 キャットフードの四方を囲い、岩場に隠れたグラスウルフが定位置についている。するとエサに釣られて猿が三匹近づいてきた。周りの様子を伺っているようだが既に逃げ道はない。


 猿は不穏な気配を感じたのか、キャットフードを手で掴むとすぐさま入口に向かって走り出した。


 「ゴー!」


 ティアの合図に入口付近にいたグラスウルフが先に飛び出し道をふさいだ。


 足の早い猿が一匹脇を抜けようとするが、横に飛んだグラスウルフは前足で猿を払い上げ、倒したところをすぐさま首筋に噛みついた。


 それを見た残りの猿は後ろに下がろうとするが後方にもグラスウルフがいることに気付く。壁に向かって上に登ろうと走り出すが、時既に遅し。すぐに横から飛びかかってきた二頭のグラスウルフに仕留められた。


 「集合!」


 何やらダメ出しを行っているようです。バレてはいなかったが猿に気配を気取られていた。注意するように!的な会話がボディランゲージを加えながら行われていたように感じます。


 反省会が終わると10頭のグラスウルフが一列に並びティアは順番にグラスウルフをモフりはじめた。


 「よーしよーしよし。ここがいいの。そうなの。気持ちいいの。可愛いわねー。よーしよーしよし。お腹モフモフねー。よーしよーしよし」



 「レヴィちゃん。あれは?」


 「おそらくというか間違いなくモンスタードールズのリノちゃんに影響を受けたと思われます」


 「あー。あの変わった子ね。でもグラスウルフ達もまんざらでもないように見えますね」


 「いくらお姉さまでもいきなりモフりテクニックが上達するなんてことはありません。どちらかというとグラスウルフの方がリノちゃんに変えられてしまったのではないでしょうか」


 「モフられずにはいられない体にされてしまったということですか。それはなんとも恐ろしいですね」


 「えぇ、本当に」


 あっ、他の猿達がキャットフードを掴み持ち去っていきます。野鳥も次々にやってきて啄んでは飛び去っていく。


 このアイドルタイムはとてももったいないように思えるのだけどティア先生はモフるのに夢中のようですし、グラスウルフはお腹丸出し待機中のようです。まぁいいのかな。


 「レヴィちゃん。私タカシさんに報告にいってくるね」


 「あっ、じゃあ私も行きます」



 「はぁー。モフモフを堪能したわ。さて次のグループの用意は出来てるのかしら」


 グラスウルフをモフり終わると大量にあったキャットフードが全部無くなっていた。ティアはグラスウルフを見てため息をつくと。


 「あなたたち、いくら野性動物さんがまっしぐらだからって食べちゃダメじゃない。えっ、食べてないって?隠さなくてもいいのよ。ん?骨付き肉なら食べるけどあんな細かいのはいらないって」


 まったくしょうがないわね。そんなこと言ってあなたたちも、まっしぐらされてしまったのね。魅力的だものね、わかるわ。


 「これは私の分にとっておいた物だけど使うわ。今日だけよ」

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