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第5章 8話

 夕方の記者会見は荒れていた。どのニュース番組も佐野首相の会見を生中継するために集まっているのだが、肝心の首相がなかなか現れないのだ。ドラゴンがダンジョンから出てきたということも相まって場はかなりピリついていた。


 控え室では、佐野が会見に行きたくなさそうにテレビを見ていた。


 「どのテレビ局も生中継とかやめてもらいたいよね野崎さん」


 「そろそろ行かないと怒られますよ。大丈夫だとは思いますが内閣支持率落とすような発言は控えてくださいね」


 「心配するなら官房長官が行ってくださいよ。マスコミ対応は野崎さんの方が慣れてるでしょうに」


 「ドラゴン対応は首相しか出来ませんから諦めてください」


 「はぁぁぁ。しょうがない。そろそろ行くか」


 現在時計は午後六時五十分。ニュースの時間はだいたい五十八分まで。生放送を極力少ない時間で逃げ切ろうとするセコイ気持ちが丸出しなのだ。


 「佐野さん、ちょっと待って!」


 「なんだよ。そろそろ行かないと本当に支持率落ちちゃうよ」


 「今、緊急の連絡が入った。ダンジョンマスターの協力者を得ましたよ!間違いなく本物です」


 「野崎さんでかした!とりあえず今日の会見はそれで乗りきる。話はちゃんと進めといてくれよ」



 パシャパシャッ パシャパシャパシャッ


 カメラのシャッター音とフラッシュが光る中ようやく佐野首相が会見場所に現れた。


 「えー、まず『千葉ダンジョン』から出てきたドラゴンについてですが、ミサイル攻撃に一定の効果があったことを確認しました。今後、ドラゴンがまたダンジョンから出てきた際にはすぐさま数百発のミサイルで攻撃にあたります。ミサイルの攻撃エリアとなりうる半径10キロメートルの範囲を災害指定地域とし、半径30キロメートルの範囲を警戒区域とします」


 「続きまして、『山梨ダンジョン』の状況についてですが、未知の攻撃を受けたとして現在進行形で調査を進めておりますが……状況としては最悪の事態である部隊の全滅が確認されています。また『山梨ダンジョン』が消滅した可能性があると報告が上がっておりまして、こちらに関しても現在進めている調査結果が出しだい皆さまにお伝えいたします」


 「総理、ミサイルで本当にドラゴンを倒せる保障はあるのですか?」


 「在日米軍とも協力して陸、海、空あらゆる方向から狙いを定めています。一方的なものになると信じていますし、確信もしています」


 「『山梨ダンジョン』が消滅した可能性があるとの発言がありましたが、今後隊員のレベルアップは出来ないということでしょうか」


 「現在調査中ですので、その結果をもって報告させていただきます。また隊員のレベルアップにも関連する話ですが、日本政府は国内のある地域に出現したダンジョンのダンジョンマスターと秘密裏に打合せを行っており協力関係を築きあげることに成功しました」


 パシャパシャッ パシャパシャパシャッ


 「つまりダンジョンマスターが味方になったということですか?」


 「そうなります。詳細についてはこれから詰めていくことになりますが、隊員のレベルアップ、ダンジョン産物の獲得はもちろん防衛協力の面なども期待をしています」


 「そ、そのダンジョンはどこにあるんですか?」


 「機密事項のため話すことができません」


 「そのダンジョンマスターは信じることが出来るのでしょうか?裏切る可能性はないのでしょうか?」


 「えー、そのあたりにつきましても機密事項になりますが、あー、いたいた。野崎さんバトンタッチ」


 「ちょっ!えーっとですね。裏切る可能性ということですが、もちろんゼロではありません。ただ、我々はダンジョンマスターの弱みを握っており、ダンジョンマスターも我々の弱みを理解しています。利害関係が一致しているため、良い協力関係を築き上げることができると信じています」


 「以上で時間となりましたので会見を終了させていただきます」




◇◇◇◆◆



 「マスター、新潟とは別に新たにダンジョンマスターが三名現れたっす」


 「あの三人はまだダンジョン見つけられてないの?」


 「まだみたいっすね。場所が弥彦山としかわかってないっすからね。時間はかかるっすよ。それで、他の三名のマスターには会談を申込むっすか?」


 「そうだね。前回と同じように申し込んでおいてよ。リナちゃんみたいに面倒くさくないといいんだけどね。ちなみに場所はどこなの?」


 「山形、香川、佐賀の三県っす」


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