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第5章 7話

 レイコさんとヨルムンガンドちゃんが成田空港へ向かっている頃、亀山ダムの入口からボート小屋に向けて道路工事が行われていた。作業員はティアとレヴィだ。四階層のヘカトンケイルに来てもらったら早かったかもしれないが、さすがに目立ちすぎるのでもしもの場合を考えてNGとなった。


 二人には近くに人はいないと思うけど念のため帽子を深くかぶって綺麗な青い髪の毛は目立たないようにしてもらっている。


 「水弾(ウォーターボール)!」


 「水弾(ウォーターボール)!」


 ティアです。レヴィにはボート小屋の方から、私はダンジョンの入口から水弾(ウォーターボール)している。真っ直ぐに最短ルートの道をつくるため山肌を削り、木々を倒し岩を砕きながら水弾(ウォーターボール)していく。タカシ様から横幅を五メートル程度とるように言われています。なんでも観光バスとかいう大型の車が通るそうです。


 それにしてもこの森は意外と野性動物さんが多いようですね。先程から遠巻きにサルや野鳥達が様子を伺っています。キャットフードを置いたら取り合いの喧嘩になること必至ですわね。みんなあの食感に翻弄されることでしょう。野性動物さん達を軒並みまっしぐらにさせるに違いありません。


 ようやくレヴィが見えてきましたわ。あとは地面を固めて平らに仕上げていく作業で終わりね。岩を砕いた砂利を敷きつめると水はけがよくなるそうですが、森にはそこまで岩がありませんでした。このままだと雨が降る度に水たまりだらけの道になってしまうので、固めた道の中央を基準に緩やかな勾配をつけていくことにしたわ。もちろんレヴィの案よ。ご褒美にレイコの闇の門(シャドウゲート)に保管してある落花せんべいをあげようかしら。


 そういえば、この間ピースケ様が食べていたラーメンなる食べ物も惹かれるわね。千葉名物『なりたこラーメン』とか言ってました。ギラつく背油とニンニクの香りが強烈に胃を刺激したのを覚えています。中太麺にスープが絡みつく様は見事な芸術作品を思わせるかのようでしたわ。


 「お姉さま、ヨダレが垂れていらっしゃいますよ。もうお昼にされますか?」


 「そうね。レヴィ、ピースケ様に『なりたこラーメン』二人前、背油多め味濃いめ麺かためニンニクトッピングで大盛とお願いしてきてちょうだい」


 「え、えっと油と味が多め?濃いめ?わ、わかりました」


 「背油多め味濃いめ麺かためニンニクトッピングで大盛ですわ」


 「は、はい。忘れないうちにお願いしてきます」


 まったく大丈夫かしら。レヴィももう少し食に興味を持ってくれるといいのだけど、まだ難しそうね。あっ、半ライスつけるの忘れてたわ。私としたことがケアレスミスをしてしまったわね。ご飯に濃いスープを浸して食べたかったのに!まぁしょうがないわね。次回の楽しみにとっておきましょう。

 さて、レヴィが『なりたこラーメン』を持ってくるまで道路整備を進めておきましょう。


 水弾(ウォーターボール)


 勾配を意識しながら道を削り固めていく。午後の早い時間には完成しそうね。それにしても魔力操作スキルを発見したタカシ様は偉大だわ。同じ魔法でここまで応用が利きまくるとは想像できないわ。今まで魔法を扱ったことがない方とは到底思えません。逆にそうだからこそ私たちでは考えつかないような発想が生まれるのかもしれませんね。温泉は良いものでした。


 私たち竜族も水浴びをする習慣はありましたが、湯浴みはしたことがありませんでした。あんなに心も体も休まるものだとは思いませんでした。


 特にあの『草津の湯』という水弾(ウォーターボール)はヤバいですわ。最初は匂いにクセがあって馴染めるか不安だったのですがすぐに馴れてしまったわ。肌がつるつるになっていくし、長風呂すると体の芯から疲れが抜けるような気がしてならないわ。


 今日も草津にしてもらいましょう。労働のあとは温泉に限るわ。それにしても『なりたこラーメン』まだかしら。もう胃が待てないかしら。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公たちのこのあくまでも自然に狂ってる感じ(もちろん人間側から見て)が良いですね、他の小説では中々いない状況です。 [気になる点] レイこ、リナ、マヒトら他のダンジョンマスタも皆案内人に…
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