第5章 4話
ピコン!
スキル『痛み耐性』を取得しました。
ピコン!
外部のダンジョンモンスターを新たに配下に加えました。異端マスター特別支援プレゼント『セカンドゲート』を入手しました。
あれっ。マジかっ。
レイコさんに吹っ飛ばされた僕は新しいスキルとプレゼントをもらっていた。まさかの『痛み耐性』、そして異端マスター特典の『セカンドゲート』だ。
「た、タカシさん、あ、あのー、やり過ぎました!だ、大丈夫ですか?」
避けたらダメな気がしたのでまともに喰らったけど、えーっと。これはレイコさんにありがとうでいいのかな。なにはともあれ新スキルゲットだ。
「平気、平気。それよりも今ので新しいスキルを取得したみたい」
さすがはレベル18の威力である。『痛み耐性』スキルは感じる痛みを30%カットできるらしい。何気にありがたいスキルなんじゃないかな。今度マヒト君とリナちゃんにも教えてあげよう。
「ど、どんなスキルですか?」
「痛み耐性スキル」
「ご、ごめんなさい」
「いや、なんというか結果オーライな大発見だよ。あとね、外部のダンジョンモンスターを新たに配下に加えたとかで『セカンドゲート』をもらった」
「ゴブリン達ですね。お兄さま、『セカンドゲート』とはいったいどのようなものなのでしょうか」
「うん。これはね、文字通り『千葉ダンジョン』にもう一つの入口をつくれるようだよ。ただ、入口は場所の指定とか出来ないらしい」
「場所が選べないのは難しいところですが、入口が増えるのは今の『千葉ダンジョン』にとってはいいことですね。お兄さま」
今後も鋸山周辺は徹底的に封鎖されてしまうだろうから二つ目の入口はありがたいと思う。すぐにダンジョンの入口だとバレないように気をつけないとね。
これが初期のダンジョンだったら入口が増えるとか恐怖でしかないんだろうけど今の僕たちは違う。
「レヴィの言う通り悪い話じゃなさそうだね。これといったデメリットはない気がするよ。という訳で早速『セカンドゲート』を使用します!」
………あれっ特に何も変わってない気がするん……だけど、ちゃんと使用出来てるのかな。誰かに外を確認してもらおうか。
「問題なく入口が増えてるっすね」
「ピースケ、どこに入口が開いたかわかるの?」
「んー。ここは、亀山ダムっすね」
「亀山ダムって確か君津市だよね。入口の近くに何があるのかわかる?」
「湖と森林しか見当たらないっすよ。あっ、でも割りと近くにボート小屋があるっす」
ボート小屋かぁ。よし、いいこと思いついたぞ。僕はみんなを集めると明日から行う作戦の話をした。
◇◇◇◆◆
「俺とレイコにまかせとけよ!」
「ヨルムンガンドちゃん、ほら、靴下逆に履いてる」
「だ、大丈夫だよ」
「だーめ。はい、右の足あげて」
またしてもこの母子コンビにお願いすることになった。お父さん一緒に行けなくてごめんね。外出するポイント高いのよ。
「ダンジョンの外では気を抜かないようにね。何かあったらすぐ戻ってくるんだよ」
「今回はそんな危険じゃないですから大丈夫ですよ。それでは行ってきますね」
行ってらっしゃい。ダンジョンを出るときにイメージした方の入口に出れるとのことだった。無事、亀山ダムに出れたかな。
「まずはボート小屋を探すんだよな」
「南側といってたから向こうね。ヨルムンガンドちゃん逆だよ。こっちに来て」
「わ、わかってるよ!」
私とヨルムンガンドちゃんは亀山ダムのダンジョン入口を出て近くにあるボート小屋を目指している。
この周辺にはいくつかのボート小屋が点在しているという。多くは亀山ダムに棲息しているブラックバスを釣るアングラー達が利用しており、週末はそれなりに人が集まる時もあるが、平日ともなると人はまばらだ。
「レイコ。あのボロっちぃ建物がそうか」
「ボロっちぃとか言ったら失礼でしょ。でもあの建物みたいね」
ダンジョンから歩いて15分くらいだろうか。趣のあるとっても年季の入ったボート小屋が姿を現した。




