第5章 2話
「ピースケ、ダンジョンマスターは一人しかなれないんだろ。誰かがマスターになったとして残った二人はどうなるの」
「それに関してはイレギュラーケースかもしれないっす。三人の魂は元々一つだったのを分けて転生してるっす。多分三人合わせてダンジョンマスターの資質がある感じっす」
つまり、三人揃ってダンジョンマスターになるということか。
「あ、あの、柿の種さんがこちらの世界にいるということは私たちがいた世界のダンジョンは無くなっているということなんですか?」
「まぁ、そうなるっすね」
サクラちゃんの質問にピースケが答えた。案内人は転生してないのに異世界間を移動しているのか。
「モフモフはどこ?」
「モフモフっすか。グラスウルフなら三階層にいるっすよ」
「すぐ案内すべき」
僕はレヴィの方を見て同行をお願いした。三階層にはリノちゃんだけ行くらしい。オルトロスちゃんはいないからね。
二人と入れ替えにレイコさんが会議室に入ってきた。ここまでの状況を説明すると案内人のところで質問があった。
「ピースケさん、お兄さんは異世界のダンジョンで亡くなったんですよね。それなのに新潟のダンジョンにいるのは何故ですか?案内人は死なないのですか?」
気になるところだね。きっとレイコさんはワインボトル先輩のことを思い浮かべてるに違いない。
「キャリア組とノンキャリア組でも話が変わってくるっす。兄貴はキャリア組だからチャンスが二回あるっすよ。チャンスが残っていれば案内人は蘇るっす」
「キャリア組って何ですか?ワインボトル先輩はキャリア組だったのかわかりますか?」
「キャリア=特権階級のことっす。生まれた家に左右されるっす。優秀な家系はキャリア組としてチャンスが多いっすよ。ワインボトルも確かキャリア組っすよ」
「じゃあ先輩は生きてるんですか?」
「ワインボトルが何回目のチャレンジだったのかは知らないっす。ただ案内人は一定のポイントを稼げないと評価されないから消滅させられるっすよ」
「先輩が二回目のチャレンジだった場合、消滅している可能性が強いということね」
「そうっすね。一回目で条件をクリアしてる可能性もあるっすけどね。ちなみにクリア条件については案内人もわからないっす」
ミクちゃんもサクラちゃんもポケーっとしてるじゃないか。少し整理した方がいいな。
「案内人について少し話をまとめるよ。ピースケ間違っていたら教えてね」
・案内人にはキャリア組とノンキャリア組がいる
・キャリア=特権階級の家系
・キャリア組はチャンスが一回多い
・次のチャンスがある案内人は蘇る
・条件をクリアできない場合は消滅する
・クリア条件は不明
「合ってるっす」
「あ、あのー。ダンジョンマスターはどうなるんですか?」
ミクちゃんがピースケに訊ねた。
「案内人と一緒っす。条件をクリアしていれば蘇るし、クリアしていなければ消滅するっす」
「ピースケ蘇るってどこで?」
「そのあたりはダンジョン協会から話があるっす。案内人からは話せない機密事項っす」
「ミクちゃん達は今の話を聞いてダンジョンマスターになってもいいの?クリア条件も不明だし、かなりの確率で死にそうなんだけど」
ミクちゃんが言う。
「私たちはカイトの事が気になるんです。だから柿の種さんに会って話を聞くために新潟に向かいます」
サクラちゃんが続けて言う。
「この世界は平和で安全な国です。でも私たちはカイトがいて刺激的な日々を過ごしてきたあの世界の方が生きている実感がありました。またカイトと会える可能性があるならその道を進みます」
「リノちゃんはいいのかな?」
「あの子も普段はあれですけど考えは私たちと一緒です」
「そっか。無事新潟でダンジョンマスターになったら会談を申し込むよ。いろいろと手伝おう。ピースケも兄貴と会えるしね」
柿ピー兄弟とっても揃えたい。
「はい。よろしくお願いします」




