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第4章 15話

 首都高からアクアラインに入る頃にレイコさんが目を覚ました。


 「あ……私寝ちゃってました。ごめんなさい。ずっと運転で疲れたんじゃないですか?」


 「大丈夫だよ。久し振りの運転で楽しかったしね。ティア達にお土産買ってくから海ほたるに寄ろうか」


 僕も少し眠気があったけど、魔力回復薬を飲みながら目を覚ましていた。今日はもうそんなに魔法使わなそうだけど念のためね。


 「あっ、じゃあ三人でプリクラ撮りませんか?」


 「そうだね。記念に撮ろうか」


 「やったぁ!」


 プリクラとか何年ぶりかな。ちょっと恥ずかしいけど三人なら恥ずかしさも半減するだろう。レイコさんの急な女子高生っぽさにドキッとさせられる。援交しているパパ達もきっとこんな感じに青春プレイバックしているのだろう。


 トンネルを抜けるとすぐに海ほたるの入口が見えてきた。ウインカーを出して駐車場へと向かう。車から出ると海の上だけあってかなり風が強い。ここは良いパンチラスポットに違いない。巻き上がる風が意思を持っているが如くスカートを狙っている。いい風だ。


 ヨルムンガンドちゃんがまだ寝ていたがレイコさんが抱っこしたまま連れてきた。この幸せ者め。


 「先にお土産選びますか?」


 「うん。そうしようか。何が人気なんだろうね」


 ショップに入ると様々なお土産が並んでいた。いつもピースケやティアが食べているお菓子もあるけど同じものじゃつまらないもんね。


 「タカシさん、これすごく人気みたいですよ」


 「本当だ。これはしっとりやわらかで美味しそうだね」


 ザラメ醤油ロールケーキと書かれたパッケージに売り上げナンバーワンとポップが付いている。間違いはないだろう。ティアが頬張ってる顔が浮かぶ。千葉は醤油も有名なのである。


 どうやらガソリンもぎりぎり大丈夫そうなのでロールケーキを大人買いしてしまおう。ワンボックスカーの人とハイブリッド車に感謝だ。大量二万円分のお買い上げだ。きっとゴブリン達も食べるだろう。


 お会計が終わるとレイコさんに連れられてゲームコーナーへ向かう。プリクラを撮るためだ。


 「ヨルムンガンドちゃん、起きて」


 レイコさんがほっぺをぷにぷにと突っついて起こす。


 「なんだよ……もう着いたのかよ」


 目を擦りながらヨチヨチとついてくる。なかなかラブリーな動きをするじゃないか。


 「記念に写真を撮るのよ。一緒に撮ろ」


 「いいぞ」


 本当にわかっているのか不明だが、この即答具合がレイコさんへの信頼の証なのだろう。そのあたりの嗅覚は非常に優れている。おそらく、僕やティアが同じ場面で声を掛けても即答はしないだろう。レヴィとピースケは大丈夫かもしれない。


 プリクラの操作はレイコさんにおまかせで海ほたる背景で遠くに鋸山が小さく見えるプリクラを選んで撮った。これはいい思い出になりそうだ。


 撮影が終わったのでプリクラ機から出ようとした時、ふいに手を引かれレイコさんが僕のほっぺにキスをした。


 ヨルムンガンドちゃんも一瞬ガン見していたが、気を効かせたのか出ていった。空気の読める五歳児だ。それにしても、これはまさか……お礼ではなかろうか。


 「急にすみません……今までの感謝と今日のお礼です!」


 そう言うと顔を真っ赤にしたレイコさんはヨルムンガンドちゃんを追いかけ外に出て行ってしまった。


 お礼は胸枕と決めていたのに、まさか先手を打たれるとは……。胸枕してって言いづらくなっちゃったな。ひとり軽くショックを受けながらも、女子高生のほっぺチューも悪くないなとか考えてたらプリクラが出来上がった。なかなか良い出来だった。今日はいい日だ。


 海ほたるから鋸山までは40分くらいで到着する。近隣は封鎖されてるだろうから少し手前で車を乗り捨てることになるだろう。そして待ちに待ったラストおんぶの時間だ。胸枕が怪しくなったからには背中に全神経を集中させたいところである。


 それにしてもあれだな。特侵隊の制服姿をあまり見かけない。なんなら自衛隊員の方が多いね。まぁ暴れ水竜が『千葉ダンジョン』周辺を氷の世界にしたし、『山梨ダンジョン』も富士山コールドプレイでおそらく全滅と思われる大打撃。今はダンジョン周辺を封鎖するので精一杯なんだろうね。


 おんぶしたのも最初だけ。僕たちは拍子抜けするくらいあっさりと『千葉ダンジョン』に……あれっ?何かいる。


 「どーもー。私たちダンジョンにすべてを捧げたいアイドル」


 「ダンジョン愛が止まらないミクです」


 「魔法大好きサクラです」


 「モフモフが至上……リノ」


 「「「三人合わせて『モンスタードールズ』です!」」」


 いや、知らんがな。

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