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第4章 11話

 木の陰からそっと様子を伺うと入口には結構な数がいた。四、五百人は優に超えているな。これ、やっぱダンジョン内で殺したらレベル上がるんだろうか。


 「ダンジョン内で殺したらレベルアップするかもしれない。外では殺さず防御に徹してダンジョンの中に入ろう」


 「了解だぞマスター」


 「はい。行きましょう」


 木陰から飛び出すと銃口が一斉にこちらを向く。が、撃っては来ない。あれっ?


 「撃つなー!モンスターじゃない。人だ!」


 「いや、でもあのスピードはおかしい!ダンジョンに入るつもりだぞ!」


 上空への威嚇射撃をしている。おいおい笑っちゃうぞ。甘い、甘すぎる。さすがにダンジョンの入口近くになったら撃ってくるのだろうか。


 でももう遅いんだ。土棘(アースニードル)! 僕は足下に魔法を放つとダンジョンに向けて土の棘が伸びていく。足の裏から伝わる力を推進力にして呆気にとられる隊員達を横目に僕たちは無事ダンジョンに飛び込んだ。


 「ヨルムンガンドちゃん、入口を頼む。外に出たらダメだよ」


 「まかせろマスター」


 「レイコさん、僕と一緒に中にいる隊員を片付けるよ」


 「はい。闇矢(ダークアロー)!」


 ダンジョン内には隊員が10人いたが、たった今9人となった。すぐさま銃を構える隊員に僕は稲妻(サンダーボルト)を二つ放ち感電死させると残りの隊員は逃げ腰になり、散開しながらずるずると下がっていく。


 木の後ろに隠れた隊員が様子を伺いながら銃口を向けるが、その後ろから闇矢(ダークアロー)が貫く。そしてまた貫く。レイコさんお見事です。


 意を決して特攻してくる隊員には稲妻(サンダーボルト)。外の隊員よりレベルが高いのだろう。少しだけスピードはあるようだが誤差の範囲だった。もう大丈夫だろう。僕はレイコさんに目配せをして後ろに下がる。


 入口の方を眺めるとそこはヨルムンガンドちゃんによるダンジョン殺戮劇場が開幕していた。相変わらずというかエグい殺し方をする子です。


 ダンジョンに入ってくる隊員の首を片っ端から刈っている。蹴ったり、殴ったりで確実に首を飛ばしている。君の前世は首狩り族なのかな?


 「おっマスター。そっちは終了か」


 「うん。あとはレイコさんに任せておけば大丈夫かな。それにしても足の踏み場もないな」


 「次から次に殺されにくるから、なっ!」


 そういってまた首を蹴り飛ばしている。首をとれば動かなくなるとわかっている五歳児。躊躇いもないな。


 「一度この死体を入口方向に流しちゃうよ。こっちおいで」


 ヨルムンガンドちゃんがこちらにくると僕は大きめの水弾(ウォーターボール)で押し流した。ダンジョンの外は大騒ぎだろう。


 ゴブリンは一体もいなかった。リポップまでの時間は読めないがしばらく防衛しながら休憩にしよう。


 「ヨルムンガンドちゃん、しばらくレイコさんと休憩してて。レイコさんから水筒もらうんだよ」


 「おう!じゃあ、しっかり頼むぞマスター」




◇◇◇◆◆



 『山梨ダンジョン』は騒然としていた。彼らはいったい何者なのだろう。二十代前半の青年に小さな男の子、若い女の子。家族とは違うな、年の離れた兄弟か。


 人間離れしたあの動きは間違いなくレベルアップの恩恵だろう。彼らの目的は何だ。また、彼はどこでレベルアップしたのだ。疑問はつきない。


 「桜井隊長、応援要請が入ってます!甲府駅前の百貨店で無差別テロと思われる事件が発生。レベルアップした『特侵隊』30名を要請されています」


 「甲府でテロとか何の意味があるんだよ」


 「テロをやる人間の考えなんてわかりませんよ」


 「まぁ、そうだな。レベル3なら20名回せるか………」


 その時、大量の水とともに首のない死体がダンジョンから流されてきた。先程追いかけて入った50名の隊員と思われる。


 「……………」


 「す、すまん。残念だが一人も回せそうにないな。こちらも緊急事態発生だ。本部に連絡をしなければならない」

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