第4章 5話
私がレヴィとヨルムンガンドちゃんと居住区に戻るとタカシさんがお風呂にお湯を入れて待っていてくれた。この『露天風呂風のお風呂セット2000P』は私が我が儘を言ってタカシさんにポイント交換してもらったものです。
『千葉ダンジョン』には各部屋にベッドとシャワールームが完備されている。だけど、やっぱりお湯に浸かりたくなるじゃないですか。
このお風呂セットですが、自動的に湯張りする機能がついているけど私たちはそれを使わない。なぜなら私たちにはタカシさんがいるから。
「じゃあ、今日は草津温泉の湯でいくよー水弾」
ちょっと熱めの温度にして出された草津の湯。これがとても素晴らしかった。今ではティア先生もレヴィちゃんも温泉の虜になっている。女子は肌に良いと聞くと試さずにはいられないのです。
「タカシさんありがとうございます」
「ううん。これぐらい何てことないよ。疲れたでしょ。ゆっくり浸かって」
「はい。ヨルムンガンドちゃんも汚れがひどいんだから一緒に入るよ」
えっ……一緒だと。
「えー、俺はいいよ」
「だーめ。においも凄いんだから。いらっしゃい」
手を引かれるヨルムンガンドちゃん。
「うぅぅ、わかったよ」
「私たちも一緒に入るわね」
な、なんだと!!!ティアとレヴィも入るのか!ヨルムンガンドちゃんずるい。ずるいじゃないか……。なんてうらやましい……。
「ま、マスターなんか目がこわいぞ」
「い、いや気のせいだよ。早くさっぱりしてきなよ」
「う、うん。」
なかなか鋭いなヨルムンガンドちゃん。あやうく僕の嫉妬がもろばれするところだったじゃないか。しょうがない。ピースケとお茶でも飲んで待ってるか。僕はお風呂上がりの匂いだけで我慢しよう。
「ほら、ヨルムンガンドちゃん。ばんざーいして」
「うーん。早く入るぞ」
「あっ、ちょっと待って。先に体洗ってあげるから。そのまま湯船に入ったらダメよ」
「じゃ、じゃあ、早く来てくれよ」
いそいで服を脱ぐとレイコもあわてて風呂場へと向かっていった。
「まだ入っちゃダメよー」
「レイコはヨルムンガンドちゃんが大好きね」
「ヨルムンガンドちゃんもレイコさんが大好きですよ。お姉さま」
「そうね。なんだかとっても素敵なダンジョンになってきた気がするわ」
「お姉さま、私たちも入りましょうか」
「えぇ。行きましょう」
「レ、レイコ、シャンプーは目にしみるから早く流せよ!痛ぇーんだぞ」
「はいはい。しっかり洗ってからね」
「も、もう目開けてもだ、大丈夫か?」
「うん。大丈夫よ。顔拭きましょうね」
「よ、よし、泳いでくるぞ」
「あんまり水浸しにしちゃダメよ」
「わかってる!」
全然わかってない。湯船にダイブを決めたヨルムンガンドちゃんを見ながら考える。
ふふふっ。ヨルムンガンドちゃんはかわいいなぁ。私は一人っ子だったから年の離れた弟がいたらこんな感じだったのかな。
「あれっ、お姉さま。腰周りの肉付きが少しふっくらされました?胸も大きくなってます。うらやましいです」
「なっ!太っ、いや、気のせいよ。レヴィと一緒よ」
「ティア先生は最近お菓子食べ過ぎですから少しは運動もした方がいいですよ。今はまだ大丈夫ですけど、あっという間に……」
「ち、違うわ。甘味は食の探求のためなの。ふ、太ってなんかないんだから!!」
「そういえば、タカシさんはどんな女性がタイプなのかな?」
「お兄さまのタイプ気になりますね。お姉さまみたいなムチっとした方がタイプかもしれませんよ」
「ムチっとしてません!」
「でも男性はムチっとした女性が好きと聞いたことがあります」
「レイコ、詳しく」
「男性はおっぱいに弱い生き物なのです」
「お、おっぱい」
「今のところ、ティア先生>レヴィ>私レイコの順番ね」
「レイコは、その慎ましいのが魅力よ」
「慎ましい魅力なんかいりません!」
「一般的な話よりお兄さまの好きなタイプを知る方が大事なのでは?」
「俺が聞いてやろうか」
「「「ヨルムンガンドちゃん!」」」
「もーう、風呂飽きた!早く出よーぜ」
とりあえずヨルムンガンドちゃんを先にお風呂からあげて服を着替えさせてから再度女性陣で話し合いが行われるのだった。
「マスター、フルーツ牛乳冷えてるやつくれよ」
「もう出たのか。はい。どうぞ」
瓶のキャップをとってあげて渡す。
「みんなはまだ入ってるの?」
「うん。なんかマスターのこと話してた」
「何それ、くわしく」
「おっぱいの大きい人と小さい人どっちが好き?」
「へっ」
「どっちが好き?」
「いや、どっちが好きとかないよ。人の魅力は胸だけじゃないでしょ」
まぁ、どちらかといえば大きい方が好きだけど別に慎ましいのも嫌いじゃない。バランスとかあると思うんだ。
「まぁ、そうだなー。女は変なことで悩むよな」
いや、その発言は五歳児らしからぬ達観だが……。
「そ、そうだねー」




