第4章 4話
ダンジョンの前にようやくたどり着いた頃にはすでに何人も集まっており、何故か行列が出来ていた。
特侵隊が来る前に入らなければならないのになんで行列してんだよ。ドラゴン出てきたんだから中は広いはずだろ。
「ちょっと何で進まないんですか?」
「わからないけど、狭い通路でもあって詰まってるんじゃないか」
前に並んでいる人に聞いてみたけどよくわかっていないようだった。
「マジかよ。ドラゴン小さくなるの?」
「ミニドラゴンならいけるんじゃね」
「サブマシンガンも手に入れたしな!」
「な、なんだか急に安心してきたよ。ミニゴンなら倒しちゃうか」
中に入った人数はわからないけど、並んでる人数は200人を超している。
とにかく、早くダンジョンに入りたい。こんな時でもちゃんと並んでしまう日本人イズム。どうかしてるよな。
まぁ、特侵隊が見えたらさすがに我先に入口に向かうだろうけど……。そんなことを考えていたらようやく列が進みだした。
「ようやく夢に見た初ダンジョンだな」
「おー、マジで通路狭いぞ。」
「こりゃ渋滞するのもしゃーねーな。つかモンスターいねぇじゃん。先に入った奴らに全部倒されちゃってんじゃね」
「ったく、早く進めよ」
狭い通路は結構長く続いていたが、徐々に前方のスペースもとれ始めスピードも上がりいつの間にか軽いジョギングくらいのペースで進んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ、モンスター、本当にいるのかよ」
息が切れ始めた頃に僕達はようやく大きな広場に出ることが出来た。しかしらそこは赤い部屋。むわっと鉄のにおいが充満した血の部屋だった。
「お、おい。なんだよここ……」
「も、モンスター……いるのか」
警戒しながら部屋の中央に向かって歩き始めるが、下を見ると人の手や足、顔が落ちている……。こちらを向いた顔と目が合った。
思わず胃から酸っぱいものがこみあげて嘔吐する。気持ち悪い。何がいるんだ。どうやったら人をここまでバラバラに出来るんだよ。
すると話し声が聞こえてきた。よかった。生きてるやつがまだいるようだ。
「早くダンジョンに吸収されないかなぁ。ちょっと臭うよね」
「一回水弾で洗い流すか?レイコ」
「ダメよ。『菜の花』さんが一緒に流されちゃうじゃない」
「あっ、そうだった。じゃあ我慢するか闇矢」
ドサッ
隣を歩いていた仲間が頭に矢が刺さったまま倒れていった。えっ……。
土棘
複数の棘が地面から伸びてきて僕の足を手をバラバラに、そして棘は僕の心臓と首を貫いた。
ピコン!侵入者を討伐しました。
討伐ポイント4万P取得。
「レイコさん魔力は大丈夫ですか?」
「大丈夫よレヴィちゃん。この部屋は土属性と相性がいいから。ヨルムンガンドちゃんの方が魔力厳しいんじゃないのかな?」
「うん。もう魔力あんまないぞ」
「少し休みますか?もう三百人くらい討伐してますもの」
「いや、俺は肉弾戦の方が得意だから。こっからは蹴りとパンチでいく!」
「フフッ、二人とも無理はしないでくださいね」
「レベル上がるチャンスだから頑張ります。強くなってタカシさんの力になりたいもの」
「そうですね」
最初は人数も多くレヴィも手助けしながらの討伐だったが、レベルが上がった効果も相まってか、いつの間にか二人で対処可能となっていた。
すぐに逃げ出せないように奥までしっかり引き込んでからの魔法による一撃であっさりと仕留められていく。
様子がおかしいと後退りしたり、逃げ出そうとする者も僕の遠隔魔法で会議室の映像越しに討伐されていた。
「少なくなってきたっすね」
「次の団体さんで最後か。いやぁ、いいレベル上げになったようだね。ズズー」
「レイコもヨルムンガンドちゃんもかなり強くなりましたわ……ボリボリ。ズズー」
あー、お茶が美味しい。
「三人とも血のにおいとか汚れがついちゃってるからお風呂にお湯入れてくるよ」
「了解っす!あとは何か冷たい飲み物でも用意しておくっす」
「うん。よろしく」




