第4章 1話
「では、行って参りますわ」
「久々に水竜の姿に戻りますね。お姉さま」
「ほんと無理はしないでよ。外はミサイルだって飛んでくるんだから。麻酔銃とか大丈夫かな」
「そんなもの刺さらないから大丈夫ですわ」
刺せるものなら刺してご覧なさい的な態度が不安にさせる。
「様子見も兼ねてますから危険を感じたらすぐに戻ります。外で討伐されたら消滅しちゃいますからね。油断はしません」
「うん。レヴィ頼むよ。じゃあ作戦通りに!あと、ティア。攻撃はちゃんと避けること!」
ティアが刺さらないもんって小さい声で言ってるがホント試さないでもらいたい。水竜の巨体に効果のある麻酔量とか見当もつかないけど、少量でも気持ちよく効いてしまいそうなティアクオリティ。あるかもしれない。
今回、ダンジョンの外で二人には水竜の姿になって暴れてもらおうと思っている。
目的は封鎖が無意味なものだと理解してもらうため。あとは二人のダンジョンが開通するから注目をこちらに向ける意味合いもある。
まぁ、竜とか出現した日にはテレビのニュースはもちろん強烈なインパクトを残せそうだしね。一人だと不安なので二人にお願いした。
ちなみにヨルムンガンドちゃんはお留守番だ。外で好き勝手に暴れられても困るし、かなりの確率で迷子になるだろう。レイコさんが眠るヨルムンガンドちゃんを抱っこしながら二人に手を振っている。よく寝るやつだ。
どうやったら僕も抱っこしてもらえるのだろうか。後ろから匂いを嗅ぐだけでもいいんだけどな。誰かいい方法があったら捕まらなくて違法じゃないやつで教えて欲しい。
そうそう。あの二人だけど、すでに『千葉ダンジョン』にはいない。無事にご卒業です。
マヒト君とリナちゃんは自分のダンジョンに戻って開通に備えて準備を進めている。マヒト君は大丈夫だろう。きっとチャオ太郎と仲良くゴーレムしてるに違いない。
リナちゃんは趣味に走りそうでちょっと心配だ。ダンジョンがローパーだらけになっているのすごく目に浮かぶ。ま、まぁとにかく頑張ってもらいたい。
実は僕も二人に感化されて階層を追加することにした。これで『千葉ダンジョン』は五階層となる。べ、別に今までさぼってた訳じゃないんだからね。
階層状態は『大森林7500P』にしてみた。『森林5000P』より広そうだし、召喚出来るモンスターに期待もしていた。
大森林で召喚可能になったモンスターは、『ヘカトンケイル500P』、『エント300P』、『フォレストエイプ200P』。
『ヘカトンケイル』は、巨人族で怪力の持ち主。体に似合わずスピードもそこそこある。動ける巨人とか強すぎる。
『エント』は、木の精霊。木に干渉することで複数の木はもちろん大木も手足のように動かすことが出来る。
『フォレストエイプ』は、森に住む猿人。木の上に潜み、集団で狩りを行うのが特長である。
さすが大森林だね。あたりまえだけど自然がいっぱい、木がいっぱい。なんか空気がとても濃い気がするよ。これはいい昼寝&散歩フロアになりそうだ。川の字親子プレイ昼寝しよう。
さて、そろそろ二人がダンジョンを出る頃かな。大丈夫だとは思うけど無事に怪我なく戻ってもらいたい。
「では、お姉さま。入口を出たらすぐに竜の姿に戻ってくださいね」
「大丈夫よ。入口周辺の人間と機械っぽいのとかバリケードは全部残らずふっ飛ばせばいいのよね」
「はい。一気にいきましょう」
「氷属性中級魔法でぶっ飛ばすわ」
「絶対零度ですね」
「ダンジョンの外で殺すのはもったいないけどしょうがないわよね」
「この魔法はお兄さまのお気に入りですから盛大に披露いたしましょう。お姉さま」
「えぇ。では行きましょうレヴィ」




