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第3章 12話

薄暗く狭い通路を進んでいく隊員。


ダンジョン内は1メートル程度の幅で一人ずつしか進むことができない。『山梨ダンジョン』とは違い、かなり狭く細長い通路が続く。


洞窟の中だというのに通路の両脇にはご丁寧に黄色い花が植えられている。まるで奥へ奥へと誘うかのように不気味に感じられる。


ヘッドライトを付け確認しながら進んでいくがカーブや上下の坂も多いため、どうしても歩みは遅くなってしまう。チッ、また曲がり角だ。


いまだ敵とは遭遇していない。いつ出てくるかわからない敵というのはそれだけで精神力を削られる。


30分ぐらい進んだ時だろうか。

ようやく何者かの気配を感じるようになる。

しかし、それは隊を混乱させる始まりに過ぎなかった。


ふと、隊員の耳元に風がよぎる。


「ひっ!」


「フフフッ」「クスクスッ」


「だ、誰だー!」


上方から笑うような声が聞こえて来た。


「上方注意!何かいるぞー!気をつけろ!」


銃口を天井に向け構えるが何もいない。


「何もいないじゃないか。まったく驚かせやがって」


「い、いや、確かに声が聞こえたんだが」


「……クスクスッ」


すると後方から隊員の叫び声があがった。


「ぐぅあー!!」


「どうした!」


「あ、足が。ふくらはぎを刺されました」


「だ、大丈夫なのか?敵は?」


「す、既に、いません。傷も大したことはなさそうです。大丈夫です。問題ありません」


レベルが上がった恩恵で防御力が高くなっているからこの程度ですんでいるのかもしれない。もしそうでなかったら……そう考えると背筋に冷たいものが走る。


「念のため『傷薬』を使っておけ。いいか、しっかり確認しながら進め。気を抜いているんじゃないぞ!」


すると別の隊員の耳元に羽音がブーンと当たり天井に飛び去っていく。


「うわぁー!」

天井に向かって発砲する。

ズバババッバババババッ!


「っのぁ。お、おい!何してる!」


「何か上にいる!飛んでるぞ!」


「落ち着け!あわてるんじゃない。もっと集中せんか!」


隊員の注意力が散漫になっている。

落ち着かせたいが、この狭い通路の中では出来ることも限られてしまう。早く、早くここを抜け出さなければ危ないかもしれない。




そこからは地獄といってもいいだろう。


上から下から攻撃を受ける。


混乱が混乱を呼び隊列は間延びしていき、至るところで銃声が響いている。最悪の状況だろう。

敵の攻撃は死角からの一撃離脱のみ。振り返るとそこには何もいない。


攻撃自体はなんてことないものだが、狭く暗い場所では嫌な想像を膨らませてしまう。



そして、足下から『一角ウサギ』の攻撃を受けた一人の隊員が短機関銃を乱射してしまう。


「このっ!うおぉー!」


ズバババッバババババッ!


『一角ウサギ』は他の隊員の足下に向かって逃げこむと銃口もそのまま追いかけてしまった。

普段ならあり得ないだろう。


ズバババッバババババッ!


「うわぁー、や、やめろー!ぐぅあっ」


これにより周囲の隊員が負傷してしまう。うち、二名が重傷となり『傷薬』でも治らない状態であったことから二名が付き添いをしダンジョンの外へと計四名が離脱することになった。


「青木、高柳すまない。こんなところで戻らなければならないとは」


「気にするな。次の攻略に繋げよう」


二人の応急措置を終えると背負いながら入口へと戻っていく。


『千葉ダンジョン』は『山梨ダンジョン』とは明らかに何か違う。なんというかダンジョンマスターのいやらしい意思を感じさせる。


この場に長くいたくない。不謹慎ではあるが今は早く戻れることを嬉しく感じてしまっている。

もう一度気持ちを作り直して来なければなるまい。

ようやく入口が見えてきたところで、フッと息を吐いた……気が緩んだその時を見逃されることはなかった。


魔法が遠隔操作され地面から鋭い刺が出現する。


土棘(アースニードル)


ズシャー!ズブッ。ズシュー!ジュサー!

「……のぁ」


ピコン!侵入者を討伐しました。


討伐ポイント40万P取得。


4名討伐。


残り26名。

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― 新着の感想 ―
[一言] ~ズバババッバババババッ! ~ズシャー!ズブッ。ズシュー!ジュサー! これまでもそうでしたが、効果音の多さが主人公の説明下手とかぶって、妙に納得してしまう謎の空気感。
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