第3章 8話
ボスモンスターのことをすごい聞きたそうにしていたが、時間も大分遅くなっていたので今日のところはいったん解散。
続きはまた明日にということにして各々のダンジョンに戻ってもらった。
あと、二人ともコウモリさん部屋を用意してくれたようなので約2500匹も無事巣分け出来ました。早めに巣分けした方がポイント貯まるしね。
巣分けされたコウモリさん達は冬眠から目覚めたら知らない場所にいて、さぞ驚くことでしょう。
強く生きてもらいたい。
サヨナラ、コウモリさん。そして向こうでも頑張ってください。
ピースケがお土産に明日の朝食べるようのお弁当と日持ちのするお菓子や飲み物をチョイスしたセットを用意してくれていた。
なかなか気が利く落花生である。
「お兄さま一日お疲れさまでした。私たちもお手伝いできればよいのですが……」
おーレヴィ。なんか久々の癒しだ。癒しの時間が来たぞ。
「しかたがないよ。会談中はマスターと案内人しか同じ部屋にいられないからね」
魔力操作で冷たくしたお水をそっと差し出してくる。
レヴィが入れてくれた水。レヴィ水とっても美味しい。
「ありがとうレヴィ。魔力操作が上手になってきたね」
さりげない感じで、ごく普通の表情をキープしたままレヴィの頭を撫でる。
目を細めて気持ち良さげにしている。
よ、よし嫌がられてはいないな。セーフだ。お兄さまならこれぐらいはやる。そう。至って普通のことなのだよ。
「そういえばティアはどうしてるの?」
大抵こういう場面で、私も私も!って騒ぐのが残念系美少女ティアのはず。
「お姉さまは……。コウモリさんに最後のお別れをした際に感極まっておりまして。しばらく一人にしてほしいと、そのままコウモリさん部屋に」
半分も巣分けしてしまったからな。あれで結構可愛がっていたようだしね。悪いことをしちゃったかな。
「ちょっと様子を見てこようかな」
「やっぱりお兄さまはお優しいのですね」
ティアを励まそうとコウモリさん部屋に近づいていくうちに何か音が聞こえてくることに気づいた。
……チュパチュパ
ん?なんだこの音は。
……チュパチュパ
何の音なんだ…。
……チュパチュパ
あれは、ティアだな…。
後ろ向きにしゃがみながら…何をシテイル?
僕はそっと近づいてティアの肩を叩いた。
ビ、ビクッ
わかりやすくビクつきながら振り返ったティアは何か小さなパックをチュパチュパと吸い上げていた。
おい、何食べている。
「ち、違うんです。こ、これは。そう。ど、毒味をしていたのです」
僕は足元に散らばった食べ終わったパックをゆっくりと数える。
「えーっと、7パックも毒味が必要なの?」
ちょっと意地悪な聞き方をしてしまったな。
そう。ティアが食べていたのは『味噌ピーナツ』。そんなに好きなのだろうか。
なんかちょっと涙目になってるし、ここらで許してあげよう。
「ティア。お仕置きが必要だね」
ビ、ビクッ
な、なんだこの条件反射行動は。
「レヴィやレイコさん、ヨルムンガンドちゃんにも分けてあげなきゃ可哀想でしょ」
「はい。すみません」
「お仕置き……」
ビ、ビクッ
なんだこの心の奥底から湧いてくる熱い欲求は。
コンコンと湧き出る温泉の如く熱い情熱は。
「それに、みんなで食べた方が美味しいでしょ」
「はい。おっしゃる通りですわ」
「お仕置き……」
ビ、ビクッビクッ
まさか、これが加虐嗜愛。サディズムか。
って、おい!なんてものに目覚めさせてくれちゃってるの!
「お、お仕置きだー!!」
ビ、ビクビクビク、ビックン。
いやマジなんなの。




