第1章 4話
翌朝起きてから『モーニングセット(並)6P』のサンドイッチとコーヒーのセットをいただきながら今後のことを考えていた。
ちなみに、ピースケとティアにはそれぞれ別の部屋とベッドをポイント交換で用意した。
ティアはものすごい遠慮していたが、プライバシーは大事。女の子だからちゃんと気を使わないとね。
まずは、戦力として不明な『菜の花』と『てんとう虫』を1体ずつ召喚して、ステータスを確認してみよう。
どちらにしろポイントは有限だ。大きなことができない以上、しばらくは、ティアがこのダンジョンの最大戦力であることにかわりない。
そう考えるとティアに有利なフィールドは用意した方がいいだろう。僕自身も水属性と相性がいいなら尚更だね。
そう、僕自身。ポイントが有限なら魔力200ある僕が戦力になるという手段も考えるべきだろう。どちらにしろ、ティアが倒れたら僕が最後の砦なのだから。このあたりはティアに相談かな。
何より魔法使ってみたい。小さい頃からロールプレイングゲームに慣れ親しんだ者ならみんな一度は思ったことがあるはずだ。
無詠唱でクールにサンダーボルト撃ちたい。
全然、力入ってない感じで一面氷の世界にしてみたい。
身体強化で無双したい!
でも使える属性が水属性だけだったらどうしようとか考えてしまう。何はともあれ、前進あるのみだよね!
しばらくすると、コンコンコンとノックする音が鳴り二人が入ってきた。うむ。
「では、はじめよう!第二回ダンジョン会議!」
「いきなりどうしたっすか。朝からテンション高いっすね。」
「おはようございます。タカシ様。今日も一日頑張りましょう。」
とりあえず、僕の考えを伝えると二人はすぐ賛成してくれた。ただ、やはり1Pで召喚できるモンスターはその程度の力しかないらしい。あまり期待しちゃいけないかもしれない。
では、『菜の花』×1、『てんとう虫』×1を召喚。早速、ステータス確認すると。
菜の花(植物系)
レベル1
体力2
魔力6
攻撃力1
守備力1
素早さ1
てんとう虫(昆虫系)
レベル1
体力1
魔力2
攻撃力2
守備力1
素早さ4
うん。まぁこんなもんだよね。わかってたよ。ちょっとしか期待してなかったから平気さ。
召喚された菜の花とてんとう虫を見ていたら何か伝わってくる。言葉はしゃべれないけど、なんとなく意思疎通ができる感じ。おー不思議な感覚。
どうやら菜の花は、軽い催眠効果のある魔法が使えるらしい。よかった。普通の菜の花じゃなかった。
醤油をちょちょいとかけてお浸しにして召し上がるところだった。試しに僕に魔法をかけてもらったけど、なんとなく注意散漫になる程度か。
つぎに、てんとう虫だけど、あれっ、なかなか面白い特技を持っているかも。ふむふむ。これなら上手くいけばなんとかなるかもしれない。実験が必要だな。
「あとは、僕の魔法だね。ティア、お願いできるかな?」
「かしこまりました。タカシ様。ただ、ここでは少し狭いので……」
「うん。大きな部屋を作ろう。僕の練習場所、兼ティアのボス部屋に!」
そうして、僕はポイント交換から『水の神殿(小)500P』を選択した。
ここはグッと堪えて画面をタッチ。必要経費だ。もう一度言おう。必要経費なんだぁー!と、自分に強く言い聞かせてみる。
ピースケとティアは唖然とした顔をしているけど、これはやっちゃったのかな。とりあえず、なんでもないよって顔をしておこう。気にしたら負けな気がする。勢いで高い買い物をしちゃうような痛い子じゃないんだからね!
実際、この神殿は水属性1.5倍強化がある部屋なのだ。ティアにはすこぶる相性がいい。きっと活きてくるはず……だよね。
「うはっ!思い切りがいいっすね!なんの迷いもなく500P使っちゃう新人マスターはマスターぐらいのもんっすよ」
いや、結構迷ってたのよ。
「タカシ様、このような素晴らしい部屋を、よろしかったのでしょうか」
「構わないよ。うちの最高戦力はティアだし、僕の得意属性もおそらく水属性。シンプルに強化できるのはありがたいよ」
「そういうことでしたら、私も期待に沿えるよう精進いたします。では早速ですが魔法の使い方をお教えいたしますわ」