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ティア先生の子育て日記3

「おぎゃー、おぎゃー、おぎゃー」


「ティア、よく頑張ったね。男の子だよ」


「タカシ様、お、男の子ですの……。ああ、はじめまして私のユート。私がママよ」


名前は私の独断と偏見でユートゥルセインに決めましたの。タカシ様もそれでいいんじゃないと言ってくれたので、それはもうあっさり決定しましたわ。


ユートゥルセイン、これは水竜言葉で深愛を意味する言葉なの。溺れるほどの深い愛をあなたに捧げるつもり。


ユートの体には水竜の証でもある鱗が腕と背中の一部にあったけど、それ以外はタカシ様と同じ人間の姿をしていたわ。


突然水竜になってしまっても大丈夫なように、それはとても広い部屋を用意させましたわ。ユートいつ水竜になっても大丈夫よ。


魔力の適性はかなり高いようで、将来がとても楽しみ。ユートは将来の魔王になるのだものね。その為にも英才教育を施さないとならないわ。


えっ、魔王?


この世界で一番強くなるのだから魔王になるに決まってるじゃない。


現在、ハイポージア公爵領は経済ではトップを独走状態。戦力もぶっちぎりで優勝状態。名実ともにナンバーワンなのよ。


まずはピースケ様を次の魔王にしてしまえば簡単ね。あとは流れでいけちゃうかしら。



「えっ、魔王? そんなの自分やらないっすよ」


「今回の戦争の立役者であるタカシ様の後見人なのですから、特に反対も出ないのではないですか?」


「そういうもんじゃないっす。自分生まれたの後ろの方なんで」


生まれた順番なんて関係ないと思うのよね。実力のあるもの、運のあるものが時代を動かすの。


ピースケ様は強運の持ち主。ダンジョンマスターにタカシ様を引き当てたのですから。それだけでもう第一候補じゃないかしら。


長男は残念な裏限りマンだったし。次男なんて、ただ捕まってた人でしょ。柿の種パイセンは置いといて、やっぱり結構ありそうな話だと思うのだけどね。


「お姉さま、産後エクササイズのお時間だそうですよ」


「レヴィ、あなたもそろそろ大事な時期なのだから、無理しないでいいのよ」


「私は動いていた方が落ち着くといいますか、つわりも酷くないようなので平気です」


「そう、それはうらやましいわ。私なんて……食欲が止まらなかったもの」


「そうですね。いつも以上に食欲が旺盛でした。私はそういうのがないようなので良かったです」


「じゃあ、ユートのことをお願いするわ。さっきお乳をあげたばかりだから、しばらくは大人しくしていると思うの」


赤ちゃんって、お乳を飲むとすぐに寝ちゃうのよね。この子は私が離れるとすぐに泣いちゃうからこのタイミングでしか産後エクササイズできないのよね。


さて、子育ての前にダイエットよ。可愛いあなたの美しい母でいられるように、七キロぐらい落とさないといけないわ。まったく、全部あの美味しい煎餅のせいよね。


お茶と煎餅のループは止めどもないのよね。途中からマヨネーズで味変したのもよくなかったかもしれないわ。


そういえば、そろそろ日記も始めないといけないわね。ユートのこともいっぱい書き綴らないといけないわ。


お産が近づくにつれて、ちょっとだけ日記をさぼってしまったの。産むのって結構体力を消耗するのよ。


ほらっ、水竜って卵生じゃない。卵産むのは割かし楽というか、そこまで体力を消耗しないのだけど。お腹で育てるのがこんなに大変だったなんて聞いてなかったわ。



でも、その代わりユートと一緒に過ごした期間はとても幸せだったから、どちらかと言えばギリギリありね。


生まれた日が誕生日だって言うけど、私のお腹にユートの命が宿った時。それがあなたの誕生日じゃないかしら。だって、ユートは私のお腹の中で間違いなく生きていたのですもの。


私の声に反応してお腹を蹴って。私がお腹を叩いたら、同じように叩いてきて。私がお煎餅をお代わりしたら、もっと食べていいよと暴れていたわね。


「ユートもお煎餅が好きなのかもしれないわね。今度こっそりあげてみようかしら」


「ティア先生、離乳食もまだなのにそんな冒険しないでください!」


「冗談よレイコ。さすがに乳飲み子にお煎餅あげる母親はいないわ」


「この間見たら、よっちゃんイカ舐めてたじゃないですか!」


「あ、あれは、私の食べかけをユートが口に入れてしまっただけよ。きっと本人の意思ではないわ」


「そんなことわかってます! 食べかけを赤ちゃんのベッドに置かないでくださいって言ってるんです」


や、やっぱり、最近のレイコはストレスが溜まっているわね。


まあ、いいわ。せっかくの貴重な時間なのだからエクササイズ頑張ろうかしら。レイコも一緒に身体を動かせばストレス発散になると思うの。

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