表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
354/355

ティア先生の子育て日記2

「まあ! 今日はいつもよりお腹を蹴るのね。あなたが元気に育ってくれていることを感じられる、これが幸せというものなのね」


ぱりぱりっ


「お姉さま、少し体重が増えすぎではないですか?」


「レヴィ、あなたわかってないのね。私の体にはタカシ様のお子がいるの。水竜族とタカシ様の間に産まれるお子よ。これでも栄養が足りないぐらいだわ」


ぱり、ぱりっぱり


「そ、そうなのでしょうか。妊娠中でも適度な運動は必要だとレイコも言ってたじゃないですか。最近のお姉さまは部屋に篭もりきりでちょっと心配です」


体が重くなったせいか、外に出るのが億劫になってきているのは確かだ。


最近は心配してレヴィとレイコが代わる代わる私の身の回りのお世話に来てくれる。


動かなくていいというのは最高の贅沢ね。


「レヴィ、このおせんべい、妊娠中の体にとてもいいみたい。十袋おかわり持ってきてくれるかしら。あと、温かい紅茶のおかわりもお願い」


「わかりました! 今日は天気もいいのですから、あとでゆっくり散歩にでも行きませんか?」


「そうね、たまにはこの子に外の音を聞かせてあげないとかしら」


すると、レヴィが不思議そうな顔をしながらたずねてくる。


「お腹の子は音が聞こえるのですか?」


「ええ、聞こえているわ。私が声を掛けると、たまにお腹を蹴ってくるのよ」


レヴィは私のお腹を撫でながら耳を近づけると、納得したかのように頷いた。


「本当ですね。私が撫でたところを叩いています。お腹の中にいてもわかるのですね」


そう言いながら、レヴィは自分のお腹を愛おしそうに抱える。


そう、レヴィにも懐妊の兆しがあったのだ。


私の紅茶を持ってきた時に、急に吐き気を催したようだったから、もしやと思ったのよね。


レイコとアモナが舌打ちしていたわ。


どうやら水竜チームの勝ちかしら。

いや、圧勝ね。


私とレヴィが出産となるとハイポージア公爵領の戦力がガタ落ちするから、レイコはしばらく後にした方がいいわと伝えたところ猛反対されてしまったのよね。


まぁ、今は平和だし、ヨルムンガンドちゃんが張り切ってるから問題ないと思うけど……。


それに、よく考えてみればハイポージア公爵領には各世界のダンジョンマスターやボスモンスター達がいるわけで、今なら簡単に魔王を倒せるわね。


アモナの顔が引き攣りそうだから言わないでおくけど。


まあ、なんだかんだ言って魔法石を使用した武具や甘味の売上に一番貢献してもらってるのは魔王城からだし。


まだ魔王討伐は考えなくていいわね。


最近はお金が余りまくって、どれだけ開拓しても減らないとタカシ様が話していたわ。


このまま貿易戦争を仕掛けたら圧勝してしまうかしら。



さてと、そろそろ今日も日記を書き綴ろうと思うの。



最近は少し気温が下がってきて寒空が広がっているわ。あなたが風邪でもひかないように、お腹を温めておかなきゃならないわね。


夜は空気が澄んでいるせいか星空がとても綺麗に見えて、蒼く光る水竜座も美しく輝いているわ。とても綺麗な星なのよ。早くあなたにも見せたいわ。


水竜座? 昨日私が名付けた星の名前よ。ほら、蒼く輝く星が二つ並んでいるの。私とレヴィみたいじゃない?


あなたも私とレヴィのように、レヴィのお子と仲良くするのよ。


一人でつらいとき、悲しい時一緒に乗り越えてくれる仲間がいることは何よりの財産なの。


もちろん、そんなことがないように私とタカシ様であなたを育て上げるのだけどね。



でも、私、聞いたことがあるの。



ライオンの親は我が子を千尋の谷に落とす習わしがあるらしいのよ。


水竜の子は、どこに落とせばいいのかしら。


今度レイコに聞いてみようと思うわ。


ライオン程度で崖から谷底なら、水竜なら上空一万メートルから落とすぐらいは必要よね。


そうだわ、どうせなら水竜座まで飛んでいこうかしら。あなたなら、あの蒼い星からでもきっと戻ってこれるわ。


「あ、あらっ、急にお腹を蹴りはじめたわ。もう、元気な子ね」


あなたが生まれて最初の旅行は宇宙旅行になるのかもしれないわね。


旅行のお弁当は何を用意させようかしら。


久し振りに菜の花弁当を用意させてもいいわね。ダンジョンの思い出が詰まったお弁当ですもの。


みんな最初はあれを食べて強くなっていったのよ。


そぼろご飯にアサリ串がアクセントになって、すっごく食が進むの。思い出しただけで十箱はいけるかしら。


それにしても、レヴィ遅いわね。おせんべいを食べすぎで口の中の水分がカラッカラっよ。早く戻ってこないかしら。


しょっぱいおせんべいの後は、甘いケーキが欲しくなるわね。お子のためとはいえ、今の私は食べるのも仕事。


この子のためにもっと栄養をとらないといけないわ。


今日の夕食は何かしら。


ふぅー。子育てって本当に大変。

新作投稿しています。

不遇スキルの錬金術師、領地を開拓する ~貴族の三男に転生したので追い出されないように辺境を開拓してみた~

https://ncode.syosetu.com/n1247go/

下からリンクでも飛べますので是非ご覧下さい。出来ればブクマと星評価もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ちなみに日記は今後も続きますか?!
[一言] 番外編投稿お疲れさまです 水竜姉妹が懐妊できてよかったですこれが配合スキルの力ですね 能力引き継げるならめちゃめちゃ強そうです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ