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第22章 11話

 盛大な地響きと共に、建設予定地である街の方角から青い閃光が走っていた。あの魔力は……ティア先生とレイコさん!? 知らない間に、何だかとんでもない破壊力の魔法が完成している雰囲気がある。


「嫁の力にビビッてる場合じゃないっすよ」


「そ、そうだよね。まだ、嫁じゃないけど……」


「はい、はいっす。最後の石はそれでいいっすか?」


「うん、これで全部だね。それぞれのイメージに合う石を集められたかな」


「原石をカット、研磨する作業はこちらで手配するっすか?」


「いや、あとは僕が全部やるよ。ちょと試してみたいこともあるからさ」


「了解っす。じゃあ、建設予定地の方に顔出すっすか」


 ちょっと先ほどの地響きが気になるので、街の方に行ってみようかなと思う……。まだ、整地作業とかが中心だから、あんなどでかい魔法を使う必要はないはずなんだけどね。


「うん、行ってみようか」


 僕は手に入れた原石を闇の門(シャドウゲート)に放り込むと、ピースケと一緒に建設予定地となっている場所へと向かうことにした。


 それにしても、なかなかに凄まじい魔法を放ったようだ。空気中にも霧散しきれてない魔力が漂っている。知らない間にみんなも成長しているということか。これなら僕一人で頑張らなくても大丈夫なのかもしれない。


 まぁ、レイコさんとレヴィあたりが僕の仕事を減らそうとしてくれているのだろうけどね。確かこんなことを言っていた。領主が一人で全てを解決するような場所に未来はありません。タカシさんが居なくても成り立つ領地経営が望ましいのです!


 全くもってその通りだと思う。やはり、楽だからといって何でも自分でやってしまうのはよくない。


「マスター、何だか街の方はもう目処がついてるようっすね」


 今日の仕事内容としては、ダム建設と街の整地、水路造りまでの予定だ。正直、今日の完成は難しいかなと思っていたのだけど、街の方はバッチリ仕上がっていた。


「ティア先生に細かい作業は向いてないと思っていたけど、意外にしっかり出来るようだね。さすがに魔力は空っぽみたいだけど」


 視線の先には、魔力欠乏でぐったりと倒れてしまっているティア先生と、それを労るように背中をさすっているレイコさんがいた。


「二人ともお疲れさま。ティア先生は魔力回復薬は飲んだの?」


「それが、すぐに気を失ってしまったので飲んでないんです」


「そっかぁー、それじゃあ目覚めてからでいいかな……。それにしても、よくここまで精密に完成させたね」


「はい。ティア先生が凄まじかったのです!」


 身ぶり手振りでティア先生の無双振りを説明するレイコさんにほっこりする。


「なるほど、これなら手直しの必要もないかな。驚いたよ」


 レイコさんからティア先生を預かり、背中に背負う。改めて、まっ平らに固く整地された土地と水路が綺麗に設置されている。


「道路の下には砕石層を設けていますので、雨水の浸透が促されるようになっています」


「えっと、それってどういうことなのかな?」


「大雨が続いても、地中に雨が浸透しやすいようにしているのです。災害に強い街にしなければなりませんからね」


 なるほど、よく考えられているらしい。地盤を固くすれば安定するだろうとか、深く考えずにやらなくてよかった。水路もそれなりに深く掘削されているようだし、大雨で水が溢れてしまうということが無いように設計されているっぽい気がする。


「ダムからの水も川を大きく枝分かれさせていますので、大量の水が押し寄せることもありません。レヴィとヨルムンガンドちゃんが頑張っているはずですから」


「そっか、ありがとう」




「う、ううん……。ふぇっ?」


「目が覚めた? レイコさんからティアの頑張りを聞いていたとこだよ。立てる? 魔力回復薬を飲んだ方がいいよ」


「や、やだ……。ここで飲む」


 どうやら甘えたい年頃らしい。最近、僕の単独行動が多いことに文句を言っていたらしいからね。いつもと違うティア先生に、ちょっとドキっとするものの、それはそれで頑張って冷静を装おうと思う。


「何だかズルいですね。でも、今日は頑張ってくれたので許してあげましょう。はい、魔力回復薬です」


「ふ、ふんっ。タ、タカシ様の背中は落ち着くから、気分がよくなるのも早いと思うの……多分……」


 僕にそんな機能はないと思うけど、本人がそう思っているのなら、それはそれで構わない。ちゃんと甘えさせてあげよう。


「そうしたら、明日からは建設工事の開始だね。材料はダムチームが集めているんだっけ?」


「はい、そうです。様子を見に行きましょうか」


「そうだね。行ってみよう」

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