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第22章 9話

 あれから数日が経ち、ポイントクリア作戦は軌道に乗りかけている。いや、かなり順調といってもいい。既にいくつかのダンジョンでは、無事に十億ポイントをクリアしているのだから。この調子でいけば、新人さんのダンジョンも含めて何とかクリアにもっていけそうな目途が立った。やはり『ブラックシャーク』のポイントが美味しく、『ペナンダンジョン』が順調にポイントを稼いでいることが功を奏している。


 平行して、第一世界の情報共有、クリアしたダンジョンマスターからの話などもあって、今のところ全員が移動することに前向きになってきているのは嬉しい誤算でもある。これを機に、様々な情報交換が進んでいるようで僕としても助かった。




 現在、僕たちは第一世界にいて、新しくもらえる領地を見学させてもらっている。案内していくれているのはピースケと隣国の聖女ソフィア様だ。この領地は今まで緩衝地帯でもあったので自然がいっぱいの手つかずの土地というか、つまり何もない場所ともいえる。しかしながら、隣国との貿易で繁栄していく大事な領土になるはずであるわけで、これからじっくりと開発していき両国の懸け橋になれたらと思っている。



「タカシ様、多くの馬車が通れるように道幅は大きくしていいただけるとよいかと」

「聖女様、そんなことを許したら容易に魔王軍の進軍を許してしまいます!」


「リズ、黙っていなさい。もう戦争は終わったのです。それに内紛で迷惑をかけたのは、わが国の方なのです。これからは共に歩みを進めていく仲間なのですよ」

「は、はい。失礼いたしました」


 聖女様の護衛ということで、ゴリズも一緒にきている。一応、ここは魔王領ではあるのだけどベルサリオ公爵領と隣接する場所にもなるため、相談をしながら開発を進めていこうという話になっているのだ。


「ソフィアさん。とはいえ、ゴリズの言うこともあながち間違いでもないでしょう。道幅を大きくすることは私も賛成ですが、お互いに検問する砦を作ることにしてはいかがでしょうか。名目としては、違法な貿易の取り締まりをすることとして、もう一つは大量の軍隊が進軍できないようにするためです」


「経費が掛かり過ぎてしまいませんか?」


「必要経費ですよ。私がここを治めている間はベルサリオに進軍など許しませんが、数十年後、数百年後は情勢がどうなっているかわかりませんからね。慎重を期した方が無難といえましょう」


 元々が緩衝地帯という土地柄、魔王様からは基本的に領地の運用は任されている。ということなので、自由にやらせてもらおうと思う。一応、後からくるダンジョンマスターの意見も取り入れながらになると思うけど。


「タカシ様がそう仰るのであれば」


 こうして、国境にはベルサリオ公爵領側に砦が一つ。ハイポージア公爵領側にも砦を設けることとなった。ちなみにハイポージア公爵領とはこの領地の名前で、僕の名前がタカシ・ハイポージアになったことを意味している。つまり、これで僕は魔王様の義理の息子で、ピースケが義理のお兄さんということになるわけだ。婿養子というやつだね。まだアモナ姫とは婚約段階なんだけど、公爵領が先に立ち上がってしまうので名前だけは先に変更することになってしまった。


「あ、あの、それで、あちらの方で魔法が爆裂しまくっているのは、その大丈夫なのでしょうか? 魔王軍の演習か何かですか?」


「あー、違う違う。あれは僕の仲間が街づくりをしているんですよ。雄大な自然を残しつつ、街としての整地作業だったり、あとは全体に水を張り巡らせるようにしているんです」


「全体に水をですか?」


「ハイポージア公爵領は水の都市にしようと思っているんです。僕や仲間たちは、どちらかというと水属性の魔法に明るいので」


 水を張り巡らすことは、多くの物を運ぶ物流の面、上下水道の整備で衛生的な環境づくり、そして動力源としても、しっかり活用していくつもりだ。魔法世界である第一世界にはなかった動力を水力発電にて科学的に取り入れる考えでいる。


 現在、レイコさんとエディ協力のもとダム工事と治水工事が行われている。ストレスが溜まっているらしいティア先生を筆頭に作業はすこぶる順調に進められている。近くを大きな川が流れていることもあり、上手く街づくりに利用できそうな場所を選ぶことができた。


「水の都市ですか。それはとても素晴らしいですね! ベルサリオも水神ポセイドン様の街ですからね」


 筋骨隆々のポセイドン。神殿にそびえ立つ像を頭に思い浮かべてしまった。あのゲイには気をつけなけらばなるまい。


「そ、そうですね……。第三世界の技術を活用した街になると思いますので、楽しみにしていてくださいね。完成したら新しい領主様と一緒にご案内させていただきます」


「まぁ、それは楽しみですわ」


「ピースケ、それで例の場所というのはこの辺りなのかな?」


「そうっすね。自分が探しに来たのは、確かあの山っすよ」


 ピースケの指し示す方角には大きな山がそびえたっている。あれは鉱山で、ピースケがプロポーズした時に宝石を採掘したと聞いてきたのだ。


「それでは、僕たちは宝石の採掘に向かうのでここで失礼いたします」


「まぁ! みなさんがうらやましいですわ。披露宴も楽しみにしておりますね」


「はい。美味しい料理をたくさん用意してお待ちしております。では、ここで」




「リズ、聖女は魔王領の方と結婚しても大丈夫なのかしら?」

「い、いけません! それだけはいけません!」


「ちょ、ちょっと聞いてみただけよ……。でも、両国の橋渡しとなるのではないかと思うのですよね」


「な、なりません!」

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