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第22章 5話

 さて、僕は僕でポイントを稼ぐための戦略を練ろうと思う。一応、ガズズさんからヒントはもらっている。それは『ペナンダンジョン』の『ブラックシャーク』だ。


 『ブラックシャーク』は、リノちゃんのスキルで心を改変することで、アイシャちゃんに忠誠を誓っている。改変しなければ、普通のダンジョンモンスターと違ってマスターに忠誠を誓っていないモンスターだ。ボスモンスター超級のステータスを持っているので、討伐したら美味しいポイントを手に入れることが出来るのではないかと踏んでいる。


「それで、なんで私まで呼んだんだよ」


「いや、ほら、雪蘭さんってアイシャちゃんの親代わりっぽいとこあるじゃん」


「アイシャも、雪蘭お姉さんがいた方が頼りになるし、嬉しいですよ」


 今日は『ペナンダンジョン』に会談で呼んでもらっている。雪蘭さんを呼んだのは、どちらにしろ二人は情報を共有するだろうし、だったら包み隠さずに全てオープンにした方が印象がいいと思ったのだ。


 現状、全員が第一世界に来てくれるかはわからない。僕の手が届かなくなった世界でどう生存戦略をとるかは各々の努力だとは思うんだけど、知り合ってしまった以上は全員を助けたいと思っている。


 そうした場合にこの状況のなか、コソコソと活動するのは変な噂が拡がりかねない。タカシはみんなを騙しているのではないだろうか? 本当は第一世界なんて無くって、ポイントを集めようとしているだけなのではないか? とか思われてしまうのは避けなければならない。


「『ペナンダンジョン』は、新しいダンジョンだけど、今やポイントをものすごい勢いで稼いでいるからさ。他のダンジョンマスターの為にも、協力を得られないかなと思ってね」


「お、お前、アイシャに、何をさせるつもりだ」


「アイシャちゃん。取り急ぎ、雪蘭さんのダンジョンを助けてみない?」


「雪蘭お姉さんのダンジョンをですか」


「私のダンジョンの話を勝手に進めるな! うちはなんとか……する」


 おそらく、新人ダンジョンの中でも一番ポイントを稼げていないのが雪蘭さんの『鏡泊湖ダンジョン』だろう。何とか出来るなら頑張ってもらいたいところだけど、中国に自衛隊や在日米軍を向かわせるのは、かなり無理があるし、てんとう虫さんと菜の花さんの洗脳を進めるにしても時間が掛かりすぎる。


「どうすればいいですか?」


「アイシャ、勝手に話を進めるな!」


「雪蘭お姉さんのダンジョンはとても苦戦しています。いつも、うちで三食の食事をとってますし、お夜食用のガパオライスもお持ち帰りしてます!」


「言うなぁー! は、恥ずかしいから言わないでくれっ!」


「そこで、アイシャちゃんにお願いなんだけど、『ブラックシャーク』をポイントで召喚して、雪蘭さんのダンジョンで討伐しようと思っているんだ」


「『ブラックシャーク』をですか?」


「うん、改変される前の状態なら敵意丸出しだから、ちゃんと敵として認識されるんじゃないかなと思っているんだ」


「な、なるほどですね」


「ちょっと待て! 『ブラックシャーク』が何ポイントすると思っているんだ!」


「屠殺も順調に始まっているし『ペナンダンジョン』なら問題ないよ。既に十分な戦力も整っているし、ポイントもかなり回せるはずでしょ?」


「はい、かなりのポイントを回せると思います」


「そうと決まれば、本当にポイントを稼げるかやってみよう。とりあえず一体召喚してもらえるかな?」


「わかりました!」


 さて、問題はここからで、出してもらった『ブラックシャーク』をどうやって雪蘭さんのダンジョンに運ぶかがポイントになる。さすがに、いきなり闇の門(シャドウゲート)に入れて、持っていけるのかという不安もある。効率がよくないなら別の方法を考える必要も出てくるだろう。


 暗闇の浜辺に到着すると、すぐにアイシャちゃんがポイント召喚してくれた。海ではなく、浜辺に召喚された『ブラックシャーク』は怒りまくっている。通常だと、すぐにリノちゃんがスキル『改変』を使用して海へ返してあげるのだけど、今回はとりあえず眠らせておこうか。


 いつもの麻酔ガスを『ブラックシャーク』の顔の回りに発生させると、眠るように静かになっていった。


「雪蘭さんは闇魔法はまだ覚えてない?」


「ま、まだだ」


「じゃあ、僕が持っていこう」


 『ブラックシャーク』は、何の問題もなく僕の闇の門(シャドウゲート)に入った。お持ち帰りオッケーらしい……。


「雪蘭さん、いったんダンジョンに戻って、僕とアイシャちゃんを会談で呼んでくれるかな? もちろん、魔法は使える状態で呼んでよ」


「わ、わかった」

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