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第22章 4話

「レヴィ、『新潟ダンジョン』へ派遣する在日米軍の調整はついてる?」


「はい、お兄さま。予定通り進めております。明日からポイントが一気に増えていくでしょう」


「レイコさん『山形ダンジョン』の方は?」


「こちらもコウジさんと話をして、自衛隊の派遣を調整済みです。残りは『静岡ダンジョン』と『熊本ダンジョン』にまわせばいいのですよね?」


「うん、それでオッケーだよ。クリアが早そうな所から、どんどん片付けていくからね。レヴィは、次に『佐賀ダンジョン』を優先しておいてくれるかな?」


「もう進めております。お任せください、お兄さま」


 やはり、この二人の事務能力は高い。こちらの意図を汲んで仕事を進めていくし、もちろん途中報告も欠かさずにくれるので非常に助かっている。逆に、事務能力がまるで期待出来ないのがティア先生だ。同じ双子で、何故こうまでタイプが異なるのか、お父さんお母さんに会う機会があるのなら聞いてみたいものだ。


「ティア先生は大丈夫でしょうか?」

「お姉さまは、やる時はやる人なので、きっと大丈夫です!」


 相変わらず姉に対する信頼が厚い。ティア先生には、細かい説明をするよりも実力行使してもらった方が早いので、別のお願いをしている。念のためにウンディーネとジルサンダーをつけているので、上手くフォローしてくれているはず……だと思う。


 お願いをしたのは、『大阪ダンジョン』のガルーダ達を他のダンジョンへ持っていきポイントを稼ぐというミッションだ。討伐したら元に戻らないので、あくまでも滞在ポイントを稼ぐ手段として活用していく。今頃は、『大阪ダンジョン』にいるガルーダを闇の門(シャドウゲート)に集めていることだろう。


「おいっ、マスター! 司令官は俺なんだから勝手に進めるなよな」


 そして、鶏舎のチェック兼、ポイントクリア作戦の司令官を任されているのがヨルムンガンドちゃん五歳だ。難しい調整業務を任せる訳にもいかないし、ダンジョンの外に放り出したらティア先生よりも無茶しそうなので、とりあえず近くに置いておくことにしたのだ。レイコさんとレヴィが近くにいると、大人しく言うことを聞くので助かるというのもある。


「ニワトリさんは大丈夫だったの?」


「ゴブリン達の世話に慣れてきたのか、あいつらスゲー仲良しなんだよ。俺のことは怖がるくせによー」


 どうやら、ニワトリさん達に怖がられて軽くショックを受けていたらしい。見た目的にはゴブリン達の方が怖いんだけど、日々のお世話の成果が出てきているようだ。


「ヨルムンガンドちゃんも、毎日お世話してあげたら仲良くなれると思うよ」


「やっぱそうか! 俺って最近、毒魔法にかかりっきりだったからな。ここは、ニワトリさん達との距離を縮めようかなー」


「こっちのことは副司令官である僕がしっかり面倒みておくから鶏舎の方を優先してていいよ」


「うーん、そうだな。見た感じこっちは順調そうだし、ここは任せるぞマスター。よ、よし、俺は、ニワトリさんのとこに行ってくる」


 これでまたしばらく静かになりそうだな。ゴブリンとニワトリさん達には悪いけど、ヨルムンガンドちゃんのお相手をお願いしたい。


「それじゃあ、僕もダンジョンの外に出ようかな」


「エディですね。ボート小屋で待機してもらってます」


「うん、了解。レイコさん、エディどんな感じだった?」


「信じられないって表情をしてましたけど。この世界だって、既にダンジョンがある世界ですからね。おそらく、そう悩んではいないように見えました」


「そっか」


 一通り、今日の作業は片付いているので、エディと今後の話をしようと時間をとってもらった。僕としては、エディも仲間なので一緒についてきてもらいたいと思っている。少なからず、僕達と一所にいれば危険なこともそうないと思っている。こちらに残るとなると、安全の保証はないし、例えお金があったとしてもどうなるかわからないのだ。


 ダンジョンを出ると観光客用に綺麗に整地された駐車場があり、その道は高橋さんのボート小屋へと繋がっている。既に待ちきれなかったのか、エディが手を振りながら、こっちに走ってきた。


「いやーん、タカシきゅんからデートのお誘いだなんて、エディ、驚きー!」


 本当に気持ちの悪いオカマになってしまったよね。内股気味に走ってくるその姿は、かなりのインパクトがある。


「エディ、ストップ。一メートル以内に近づいたら魔法撃つからね」


「もう! 恥ずかしがり屋さんなんだから」


「話は聞いていると思うけど、確認をしようと思ってね。エディにはいろいろとお世話になってるから、可能な限りエディの意に沿うように手配するつもり」


「私はダンジョン側の人間よ。既に身も心も捧げているの。みんなが他の世界に行くのなら私も連れていってちょうだい」


 誰に身も心も捧げているのだろう。怖くて聞けない。


「こっちに残るなら、てんとう虫さん達にも少し残ってもらおうかと思ってたんだけど、その必要はなさそうだね」


「えぇ、どこまでもついていくわ」


「出発は半年後になる。それまでに会っておきたい人だったり、身辺整理とか頼むね」


「了解よ。あと、お願いがあるんだけどいい?」





 エディからのお願いは、「私、魔法少女になりたいの」とのことだった。どの辺りが少女なのか聞き直したかったが、敢えてスルーさせてもらう。


 とりあえず、レベル三ぐらいに上げてあげようかな。魔法適性があることを祈るよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔法の力であーだこーだすればきっと魔法少女になれるさ!! だって魔法だもの!!(こなみ)
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