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第22章 2話

 魔王城に到着すると、珍しくダンジョン協会のガズズ氏、サイゼス氏、オランズ氏もいた。一番奥の席には魔王様が深く椅子に腰掛けていてその表情を見る限りはとても満足そうな顔をしていらっしゃる。これは褒められる系の話しに違いない。安心していいだろう。


「魔操タカシよ、この度はご苦労であった。其方たちの働きのおかげで人族の内戦も早期解決ができ、民の疲弊も少なく済んだことであろう。新しい王となったベルサリオ王からも、お主らに感謝の意が伝えられている。今後は貿易や交流の話も復活していくことであろう」


「僕は最終決戦の前で第二世界に飛ばされちゃいましたので、実際に上手くいったのは仲間のおかげです」


「どうしたって、不慮の事故(・・・・・)というのは起きるものだ。致し方あるまい。それまでの準備が整っていたからこそ短期決戦を進められたのであろう」


 そう言いながら、不慮の事故のところでダンジョン協会の三人と頷き合っているあたりがちょっと怪しい。何かあったのか?


「それで、僕を呼んだのは内戦の短期決着を労うからではないのですよね?」


 ギクリと顔が強張るのを感じる。そんなにヤバい案件なのだろうか……。さすがにまた危険なお願いとかだったら断らせていただこう。第一世界にも大分力を貸している。それぐらい断れるだけの結果は残しているはずだ。


「そのことについては、わしから説明しよう」


 そう言って話はじめたのは、『ダンジョンとパラレルワールドについての研究』をしているガズズ氏だった。


「実は、パラレルワールドの状態がとても不安定な状態にあることが判明したのじゃ」


「パラレルワールドということは、ダンジョンのある第二世界、第三世界ということですか?」


「うむ、その通りじゃ。第一世界との繋がりがとても希薄になってきている。このままでは半年も経たずに世界が切り離される恐れがある。そうなるとじゃな、二度とダンジョンのある世界には戻ることができなくなるのじゃ……」


「そ、そんな! あと半年でポイントをクリアできないダンジョンマスターや案内人はどうなるのですか?」


「残念ではあるが、第一世界に避難することは出来ぬのじゃ。切り離された世界で生き続けることしか……」


「そんな……」


 第二世界でも知り合ってしまった人達がいる。ドロシーやルーナちゃん、それにボトル先輩。いや、彼らは半年もあればポイントのクリアも可能かもしれない。ドロシーの『空島ダンジョン』はすでに数千万のポイントを取得している。問題があるとしたら第三世界になるか。ダンジョンマスターやボスモンスター個々のレベルアップは出来ているけど、圧倒的にポイントの取得が出来ていない。半年では誰もクリアできないだろう。まだ可能性があるのはリリアさんのいる『熊本ダンジョン』、モンスタードールズのいる『新潟ダンジョン』、リナちゃんの『静岡ダンジョン』ぐらいか。


「魔操殿、可能な限り案内人とダンジョンマスターを助けていただけないだろうか」


「第一世界に連れてこれるのはダンジョンマスターとボスモンスターのみ。他のモンスター達は置いてこなければならないのでしょうか?」


「残念ながら、例外はなくポイントクリアした者の出入り口は魔王城の中にある、あの小屋のみですじゃ」


「ちょっとよいか、ガズズ。魔操殿が新しく手に入れたスキルについて確認したいことがある」


 言葉を挟んだのは、『魔法とスキルの研究』をしているサイゼス氏だった。


「第二世界に渡ったそのスキルはボスモンスターでない個体も行き来できていなかったか?」


「ボスモンスターでない個体……ジルサンダーか!」


「転送のスキルについて、詳しく教えてくれぬかのう」


 スキル『転送』

 膨大な魔力と引き換えに世界を渡ることができる。魔法陣は二つのパターンで描くことができ、一定の魔力が溜まるまで発動しないものと、膨大な魔力をその場で使用して発動させるものに分かれる。スキルは連続使用することはできず、再び発動させるには1ヶ月程度の期間が必要となる。


 この説明を見る限り、特に世界を渡るのに制限はないように思える。膨大な魔力さえあれば、その人数も増やせるのかもしれない。


「もしも魔操殿のスキルが使えるのであれば、第一世界と切り離された後でも、他のダンジョンマスターや案内人なども回収可能なのではないかと思うのだが、どうであろうか」


「オランズ、それはさすがに話が飛び過ぎておらぬか? もしも転送できなかったら、行ったはいいが、魔操殿が戻ってこれなかった場合なども考えるべきじゃろう。あまりにも危険すぎる」


「いったん、そこままでにしろ。タカシ、パラレルワールドとの繋がりが無くなってしまうまでに、転送スキルの検証をダンジョン協会と進めてほしい。それから出来る限りのポイントクリア者を出せるよう、それぞれの世界で手助けしてもらえぬか」


「ダンジョンマスターと案内人については全力でフォローしますし、もちろん検証もご協力させていただきます」


「うむ。第一世界に敵はいなくなった。カイトやタカモトなどの実力者も動員できるであろう。次に転送スキルが発動可能になる時から一緒に送り込んでくれ」


「かしこまりました」

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