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第21章 11話

 ポルンガダンジョンに会談で、正式にお断りの連絡をしてもらっている。ガリオン君はまさか断られるとは思っていなかったようで狼狽している。


「それで、断る理由はなんだ? せっかく僕がルーナのこと嫁にしてあげるって言ってるのに酷いじゃないか」


「ごめんなさい、ガリオン。私はここでみんなと共に生きていきます」


「生きていくのはいいけど、最初に話した通り傘下に入らないのなら、僕たちの栄養になってもらうよ。僕のダンジョンだって生きていくのにポイントが必要なんだ。とても残念だけど、『クリスタルマウンテンダンジョン』に宣戦布告させてもらうことになる。本当にいいのか? 今ならまだ間に合うぞ」


「ええ。もう決めたことなので構わないわ。ガリオンが攻めてくるというのなら、こちらも宣戦布告させていただくわよ」


「なんだよ、ずいぶん強気じゃんかー。そこの案内人に何か言われたのか? ついこの間まで、食料を分けてもらえないか相談していたルーナちゃんと同一人物には思えないよ。まぁいいよ。すぐに謝ってくるのは目に見えている。これから攻撃に向かうから、せいぜい楽しませてくれよ」


「そうですか。では、こちらも『ポルンガダンジョン』を敵として攻めさせてもらうわ」


「はいはい、じゃあ交渉決裂ね。とっても残念だよルーナ、頑張ってこっちの攻撃を防いでみてよ。何時間もつかな」


 会談を終えたルーナは少し緊張はしていたが、言ってやったぜ的な清々しい表情をしていた。彼女的にもこの歳で嫁と言われても、ピンとこないというか気持ち悪いし、何よりダンジョンのみんなを守れるのだから喜んでいるように見えた。やはり、食事をとって頭が働いてくると生きる活力というものが湧いてくるのかもしれない。つまり、『菜の花弁当』は偉大だということか。


「それで、タカシさん。私たちはどうすればよいですか?」


 ダンジョンポイントがあればカメラの設置とかをお願いしたいところだけど、残り数ポイントしかないのでそんな余裕はもちろんない。


「とりあえず、今は僕たちに任せて戦況を眺めてもらえればいいよ。ポイントが溜まってきたら、いろいろと相談させてもらうよ」


「わかりました。では、その時までしっかり勉強させてもらいます」


 と言われても、レベル差がありすぎて勉強になることなんて無い気がする。僕が何をやっているかもわからないだろう。本来なら魔力操作とか教えてあげる時間もとってあげたいんだけど、残りの日数を考えると覚えられるか微妙かもしれない。


「とりあえず、攻撃はウンディーネとジルサンダーで。ダンジョンの防御については僕がやるね」


「タカシ、本当に一人で大丈夫なのか? ボスモンスターが複数で来るだろう」


「大丈夫ですボトル先輩。何が入って来てもすぐに眠らせてしまいますよ、あっルーナちゃん、一回層のモンスターは全て二階層以降に移動させておいてね」


 一応、ボスモンスターはこのダンジョンの味方になる可能性が高いので生かしておかなければならないだろう。ここは麻酔のガスでダンジョンに入り次第ぐっすり眠ってもらおう。僕の仕事は定期的に麻酔ガスを一階層に吹き入れるだけの簡単な作業だ。


「本当に一人で迎え撃つのですね……」


「たいしたことはしないけど、たいていのモンスターなら迎え撃てるんじゃないかと思う」


「それで、『ポルンガダンジョン』の場所はわかるのか?」


「それは『空島ダンジョン』がすでに捕捉しているから問題ないですよ。ウンディーネ、ジルサンダー任せるよ」


 ウンディーネは既にジルサンダーにまたがりいつでも出発OKなようだ。ジルサンダーは少し眠そうにしているけど、外を走れば目も覚めることだろう。一応、レベルを上げるチャンスでもあるんだから頑張ってもらいたい。


「あっ、でもボスモンスターと元ダンジョンマスターについては討伐禁止だからね」


 二人は深く頷いてから、すぐにダンジョンの外へと走り去っていった。やり過ぎないか少し心配になるけど、ティア先生よりは安心できる。いや、ウンディーネはティア先生の教え子だったか。急に不安になってきたけど、無茶をするタイプではないのでジルサンダーの面倒を見ながら上手くやってくれるはずだと信じよう。


「まるで、ちょっと散歩に行ってくるかのように出ていきましたね」

「レベル二十五となると復活組のダンジョンマスターぐらいのレベルはあるからな。ここら山岳地帯では敵になるような奴はいないだろうぜ」


「タカシさん、侵入者です! は、早すぎる。まさかガリオンは最初から攻め込むつもりでボスモンスターを配置していたのでは!?」


「一階層のモンスターは全員退避している?」


「そ、それは大丈夫です。でも、これではタカシさんの準備が」


「あー、大丈夫だから。じゃあ、ちょっと行ってくるけど一緒に来る?」


「は、はい」「俺も一緒に行く」


 さすが、前に出る案内人ボトル先輩だ。しかし今回に限っては、本当に見てるだけになるだろう。

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― 新着の感想 ―
[一言] これは次辺り俺の好きな展開!! 待ち遠しい!!
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