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第21章 9話

 翌朝目覚めると、ベッドにはウンディーネとジルサンダーもいてぼくの顔にべったり貼り付いていた。

 自分の部屋があるというのに、いつの間に入ってきたのか。まぁ、寂しかったのかもしれないな。


「おはよう、ウンディーネ、ジルサンダー。顔を洗って朝ごはんにしようか」


 僕の顔は、ジルサンダーの涎でべちょへちょになっている。一緒に寝てもいいんだけど、これは勘弁してもらいたい。


 どうやら、僕の顔についた涎に気づいたウンディーネが、ジルサンダーに説教をしているようにみえる。さすが、教育係が板についてきている。その調子でお願いしたい。


「タカシ様、おはようございます。午前中にはクリスタルマウンテンに到着できますよ」


「おはようドロシー。とりあえず朝食をとりながら情報をいろいろ教えてほしいんだ」


「はい、もちろんです」


 クリスタルマウンテン、ここが現在ワインボトル先輩が案内人を勤めるダンジョンの名前だ。名前の通り、この周辺の山々では水晶が多く産出されるようで、その名前の由来となっている。


 ちなみに、周辺には人は住んでおらず、ダンジョンの立地場所としては厳しいと言わざるをえない。そして、現在進行形で近くのダンジョンから、傘下に加わるようにちょっかいをかけられているそうだ。


「ドロシー、そのちょっかいをかけているダンジョンというのは高レベルのダンジョンマスターなのかな?」


「立地が悪いのは同条件ですので、そこまで高レベルということはないと思います。ただ、攻撃的なダンジョンのようで、すでに周辺のダンジョンを二ヶ所傘下にしています」


「ダンジョンポイントを稼ぐには周辺のダンジョンを傘下にしていくしか手段がないってこと?」


「そうですね。険しい山々が多いこの地域は、人も動物も少ないのです。定期的にダンジョンポイントを獲得するのは至難と言わざるを得ません」


 ボトル先輩の運の無さよ。セカンドチャレンジにおいても厳しい条件からのスタートらしい。思えば山梨ダンジョンだって立地条件としては微妙だった気がする。


「まずはクリスタルマウンテンのダンジョンマスターに会ってから方向性を考えようと思うけど、周辺の情報も教えてもらえるかな」


「はい。クリスタルマウンテンのダンジョンマスターはルーナ。十代半ばの女の子です。次に、ちょっかいをかけているのが『ポルンガダンジョン』のガリオンです。ルーナとは歳も近いようで傘下にすることで結婚を迫っているようです」


「二人とも十代半ばなんだよね? いきなり結婚を迫るって、なんだか順序が間違ってない?」


「二人が良いなら、それも生きる道かと思うのですが、ガリオンは傘下にしたダンジョンマスターの二人も妻にしているようです」


 そういうことか。というか、周辺のダンジョンマスターは全て女性だったのか……。


「ゲスいな。まぁ、ダンジョンがあって魔法とかモンスターがいる世界だから、倫理的なものが緩くなるのもわからなくはないけどさ」


「妻にされた元ダンジョンマスターも、嫌々従っているという感じかと思われます」


「今はボスモンスターになっているってことだね。そうなると、ルーナさんには『ポルンガダンジョン』と戦ってもらう方向が理想かな」


 『ポルンガダンジョン』のボスモンスターを支配下に置くにはダンジョンマスター権限で譲り受けるか、そこのマスターを倒す必要がある。


「『クリスタルマウンテンダンジョン』側としてタカシ様が参戦するんですね」


「一応ルーナさんやボトル先輩の意見と、相手の強さを見てからの判断だけどね」


 『ポルンガダンジョン』が、そこまで強くないようなら、ウンディーネとジルサンダーに任せてもいいかもしれないしね。


 それよりも、『クリスタルマウンテンダンジョン』の今後のポイント運用をしっかり組み立てておきたい。

 また、メルビル君を出動させて街を壊滅させるのも手だけど、近くに人が住んでないんだっけね。何かポイントを稼げる良い手段があるといいんだけどな。

 まぁ、どうしても見つからないようならメルビル君出動ということでいこう。


「『クリスタルマウンテンダンジョン』の上空に到着しました」


「よし、じゃあウンディーネ、ジルサンダー、一緒に行くよ」


「どうかお気をつけて、いってらっしゃいませ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 周りのダンジョンから嫁をかき集めるポルンガダンジョンのマスターと、 元ダンジョンマスターのレイコさんを嫁に迎える予定のタカシさん。 相思相愛かどうかで、こうも印象が違うんですね。 [気…
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