閑話 2
どうもティアでございます。
水竜です。
双子の妹レヴィの姉でございます。
別に閑話レギュラーという訳ではございません。
千葉ダンジョンではタカシ様の側室をしております。
残念ながらまだお手付きにはなっておりません。
えぇ、ノータッチでございます。
若干のさみしさを感じながらなんとなく理解しています。
まだ私自身がその高みに至っていないからでしょう。
この間、レヴィと一緒に氷属性魔法を覚えました。
氷結という初級魔法です。
水属性と近い同系統の属性のため割りとスムーズに取得出来たようです。
氷属性魔法を覚えたのには理由がございます。あるプロジェクトの締めに必要だったからでごさいます。
そう。心臓の動きを止めるため。
慣れない内は胸部全体を凍らせてしまっていましたが、何百人、何千人と繰り返すうちにピンポイントに心臓のみ凍らせることが出来るようになりました。なんなら弁膜のみも止められます。
その時に聞こえたのです。
ピコン!
スキル『魔力操作』レベル1を覚えました。
か、神の声です…。
これがタカシ様の魔力操作の高みに近づくための第一歩!
主は、私の光、私の救い。だれを私は恐れよう。主は、私のいのちのとりで。だれを私はこわがろう。悪を行なう者が私の肉を食らおうと、私に襲いかかったとき、私の仇、私の敵、彼らはつまずき、倒れた。たとい、私に向かって陣営が張られても、私の心は恐れない。たとい、戦いが私に向かって起こっても、それにも、私は動じない。
アーメン。
素晴らしい。
タカシ様についていけば更なる高みにいけることでしょう。
そういえば、最近ピースケ様が変わったものを召し上がっておりました。
茶色くねっとりした固形物です。
いつだったかご馳走になった定食についている味噌汁の香りが仄かに漂っています。
しかしながら味噌独特の発酵臭はなく、どちらかというと甘く煮詰めたような匂い。そしてこの艶々としたテカり具合。
間違いありません。これは甘味ですわ。
甘味は乙女の嗜み。これは毒味の必要がありますわね。
「ピースケ様。その甘味、もとい、その茶色いのは食べられますの?」
「これっすか?うまいっすよ!味噌ピーナッツっす」
これはまさかの共食いでございます。
完全にカリっといかれています。
食の探求者とはこれほどまでの覚悟が必要なのですね。
昔聞いたことがあります。海に生きるプクという魚。攻撃されたり怒るとプクっとふくらみ愛らしい表情を見せるのです。
しかしその表情とは裏腹にこのプク、致死性の猛毒をもっており食べられないと言われていたのです。
しかしある日、食の探求者が現れました。
食の探求者はプクの部位を細かく切り分け少量を舌で転がし痺れを楽しみながら分類していきました。
そして、プクの猛毒は内臓にのみ含まれており、その他の部位は美味しく食べられるということを告げたのです。
しかし、少量とはいえ猛毒の内臓を食しなぜ平気だったのでしょう。どちらかというと後半は内臓中心に召し上がっていたという。
きっと特殊な訓練を受けたか、特殊な趣味をもった人なのでしょう。よいこは真似しちゃいけないのです。
食の探求者いわく、「舌がビリビリして気持ちいぃのぉ」とのこと。
奥が深そうに思えます。なんかすごくいい。
憧れます。それはもう劇的に憧れてしまいます。
食の探求者にすごくなりたい。
「味噌ピーナッツいるっすか?」
私もピースケ様のように食の探求者を目指そう。
なんかもうビリビリしたい。
「そうですね。レヴィが欲しがるかも知れませんわ。10パックくださいませ」
「結構食べるっすね。まぁいいっす。あげるっす」
ふぅ。少し欲しがってしまいましたわ。
あぶないあぶない。
早くコウモリさんの部屋へ行きましょう。
あの部屋は暗くて落ち着きます。
それにコウモリさん達、まもなく食事に出られる時間です。
お見送りした後に美味しくいただきましょう。
コウモリさんの部屋に到着してもう大分時間が経ちます。なかなか食事に出られませんね。今日はお腹一杯なのでしょうか?
まさか味噌ピーナッツを狙っ!てる訳ないですわね。
なんだか様子がおかしいですね。
こ、これは!まさか、低い体温で眠りに入っています!と、冬眠ですわ!
いけません。コウモリさんフィーバーが終わってしまいますわ。
こ、これはタカシ様に報告をしなければ!事件です!




