第20章 14話
「こう見えて私も勇者パーティの一員なの。そう簡単になんでも話すと思わないことね」
イムレアちゃんが少しだけ胸をはり、強気な態度をみせる。どこに強気になる要素があったのか意味不明だけど、どうやらそれなりにメルビル君への信頼が厚いということなのだろうか。真っ先に逃げたくせに。もう少しわかりやすく絶望を与えないとダメらしい。
「この世界には勇者パーティってどのくらいの数いるのかな?」
「早く答えた方がいいわ。じゃないと、タカシ様があなたの服を一枚ずつ脱がしていくことになるわ」
「ひいぃ! や、やっぱり、私が五人目なのね!」
ドロシーが本気でそう思っているのかはわからないが、被害妄想の激しいイムレアちゃんがそれなりにビビってくれているので、遺憾ながら、とりあえずはこのまま進めてみようと思う。
「五人目になるか、ならないかは、イムレアちゃん次第かな。それで、僕の質問には答えるの?」
「……私たちを入れて三組だったわ」
「三組だった? それはどういうこと?」
「文字通りよ。最初の勇者パーティはダンジョンマスターとの戦いで相討ち。つまり、現在は二組、いや私たちも壊滅したようなものね」
「つまりは、現在この世界にいる勇者はメルビル君と、あともう一組だけということか」
思ったよりも勇者が増殖していなくてよかった。ここでメルビル君をしっかり始末しておけば、注意するのは残りの一組だけでいい。相討ちした勇者パーティというのはカイトさんやモンスタードールズと戦った勇者君だろう。
「そのもう一組の勇者のレベルはどのくらいか知っているか?」
「何でも私が簡単に話すと思った?」
「ドロシー、やっちゃっていいよ」
「はいっ、タカシ様。ほらっ、そんなにタカシ様に肌を見せたかったの? このメス猫がっ!」
ドロシーも何故かノリノリなようだ。
「ちょっ、や、やめ、やめて! 鬼畜よ、鬼畜変態マスター!!」
ドロシーの選択はスカートだった。白いドロワー姿の下半身にさせられて涙目で僕を見上げてくる姿は、僕の隠れたSっ気を刺激してくる。
「あれっ、イムレア。あなた少しお漏らししているんじゃない?」
「ち、違う。こ、これは染みじゃなくて、あ、汗よ。汗なんだからっ!」
今日だけで死にそうになったり、捕虜にされたりとイムレアちゃんにとってはそれなりに苦労の絶えない一日であったことから、多少漏れてしまうのも致し方ない気もしないでもない。
濡れた股間を手で隠しながら僕を見上げてくるイムレアちゃんの姿に、次はどうやっていじめてやろうかと考えてしまっている自分がいる。
「それで、レベルは教えるの、それとももう一枚脱ぐの?」
「……く、詳しくは知らないけど、レベル30は超えていると思うわ」
レベル30か。それなりに高いレベルに成長しているようだ。勇者の場合、成長するごとに様々な耐性を覚えてしまうことが一番厄介だ。積極的に関わりたくないが、何かしら対策を考えておいた方がいいだろう。
「次の質問だ。勇者を育成する仕組みはあるのか?」
「よくはわかっていないけど、可能性を秘めた子供たちを集めて戦い方を教える学校はあるわ。私のように優秀なね」
わざとなのか、まだ立場を理解していないのか、一言多いイムレアちゃん、M気質でもあるのだろうか。
「ドロシー、やっちゃって」
「次は上ね。早くその小さい膨らみをタカシ様にみせるといいわ」
「ひいぃ! や、やめ、み、見ないで―」
ドロシーも悪役っぷりが板についてきている。これで、お互いに良い関係性とか築けるのか不安になる。もういろいろと遅い気がするけど、これが捕虜の扱いとしては一番わかりやすいともいえる。
イムレアちゃんは上着を脱がされて、薄い白地のシャツに染みの付いたドロワーという姿になっている。次に脱がされることは、イムレアちゃんの尊厳が失われる時だ。
「ドロシー、その学校というのはどの辺りにあるか知ってる?」
「は、はい。セントポールの学園都市にあります。勇者候補を集めて訓練をしているようです」
さすが、よく調べられている。これなら、ワインボトル先輩のことも割かし早く発見できるかもしれないね。
「よし、この『空島ダンジョン』をセントポールの近くまで移動させることは出来る?」
「もちろん出来ますが……さすがに危険ではないでしょうか」
「下の声や望遠鏡で見えるギリギリの位置で構わないよ」
「そ、それぐらいならば大丈夫でしょうか……。了解です」
勇者育成学校とか怖いから早めに潰しておくに限る。適当に魔法をぶっ放して、全部メルビル君のせいにしよう。イムレアちゃんを上手く利用できればさらに良質な噂が流せる気はする。
「それから、ドロシーには調べてもらいたいことがあるんだけどいいかな」
「はいっ、お任せください。指示いただければ、イムレアのホクロの数からスリーサイズまで事細かに調べ尽くしますです」
「ひいぃっ!」
「お、おう」
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