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第20章 13話

 どうやら魔力を奪う拘束具を装着したところで目が覚めたらしい。ウンディーネの回復魔法がちゃんと効いていたようだ。イムレアちゃんの今の姿は魔女っ娘のアイデンティティともいえるローブを脱がされ、下着姿というか、いわゆるドロワーに薄めの白いシャツという完全犯罪モードになっている。


「へ、変態! 私に何をするつもりなの! ふぁ、ファイアボール!」


「ちょ、ちょっと目覚めるのが早いってば。拘束具を先に装着しておいてよかったです」


「な、な、なんで魔法が使えないの!?」


「残念だったわね。あなたには魔力を封じ込める拘束具をつけているの。そして、ここはダンジョンの最奥よ。あなたはもうここから出ることは出来ないわ」


「そ、そんなー」


「でも安心して。あなたのことはタカシ様がきっと可愛がってくれるはず」


 ドロシーが目を細めながらイムレアちゃんにそう言い放っていた。そういう言い方は大いに誤解を招くからやめて頂きたい。ほらっ、イムレアちゃんの僕を見る目が性犯罪者を見る目になってるじゃないか。


「わ、私は抵抗も出来ずに、あの男にされるがまま快楽のはけ口にされてしまうのね……」


 やはり、盛大に勘違いされている。何もしていないのに犯罪者として見られる。冤罪いくない。そんな怯えるような目で僕を見ないでもらいたい。


「たまには私も可愛がってあげるわ。一応、簡単にここの説明をさせてもうわよ。あなたはここの牢屋から一歩も外に出ることは出来ない。そして、足の拘束具は自分で外そうとしたら電撃を受けることになるから気をつけることね」


「そ、そんなー」


「あとはそうね、奥の扉には浴槽付きお風呂と化粧室が完備されているわ。24時間いつでも使用可能よ。寝る時はそこのポケットコイルマットレスの高級ベッドと低反発枕でぐっすり寝なさい。食事は朝昼晩と自動でそこのテーブルに用意されるから残さず食べるのよ。栄養管理の行き届いた且つ、カロリーバランスの整った食事が提供されるわ」


 おそらく、ドロシーのベッドよりも良い物なのではないか。設備設定がいろいろとおかしい。


「な、何なのよっ! このベッドふっかふかじゃない! あれっ、街での暮らしよりも相当いい!? しかもお風呂なんて毎日入れないわよ」


「浴槽には常に40度のお湯が張られているわ。シャワー付きでミストサウナも完備されているから、じっくり楽しむといいわ。もちろん、シャンプーからボディーソープまで最高級のものが使い放題よ」


「ミストって何なのよ、こ、ここは天国? い、いや、これも、あの、いやらしい顔のダンジョンマスターの性のはけ口にされるためのものなのね。私はこれから、ここで何度も何度も絶望を味わうのだわ……」


 確かに僕はダンジョンマスターだけど、ここのマスターはドロシーだ。いやまぁ、勘違いさせておいた方がいいのか。


「あっ、タカシ様。たった今、イムレアに設備の説明を終えたところです。何か彼女に聞きたいことがありますか?」


「あー、うん。そうだね、元気そうだし少し時間をもらおうかな」


「ひぃっ!」


 ドロシーのせいで完全に性犯罪者として見られることになってしまった。思い込みとはすごいもので、自分では普通の表情をしているつもりなのに相手にはいやらしく見えてしまうらしい。イムレアちゃんは僕の股間を凝視したまま後ずさりしている。


 いや、君の方が失礼だからね!


「何か勘違いしているようだから言っておくけど、僕には好きな人がいるし、将来を誓った人が三人、いや四人いる」


「よ、四人もいるのに、さらに私まで加えるなんてとんだ性獣だわ。す、好きにすればいいじゃない。私はこんなことでは屈しない。何度蹂躙されても諦めないわ」


「諦めないって……ここから逃げることだったら、相当厳しいと思うよ。メルビル君も助けにはこれないだろうからね」


「そ、そういえば、メルビルは? メルビルはまだ生きているの?」


「メルビル君生きているよ。気球を壊したから地上には戻れないだろうけどね」


「メルビルが生きている……。私、まだ助かるかもしれないのね」


「へぇー、いち早く逃げようとしたイムレアちゃんにしては、メルビル君への信頼が厚いんだね」


「な、何でそのことを!?」


「ダンジョン内で起こったことは全て把握している。そして、君たちに魔法を撃っていたのは僕だからね。万が一この牢屋から出れたとしても、イムレアちゃんがダンジョンを出るまでに僕なら魔法を数千回撃つことができるとだけ言っておこうか」


「あ、あの突然発生する魔法をあなたが……」


 急激に顔を青くしてしまったイムレアちゃん。とりあえず、これで逃げようなんて気はなくなるだろう。


「さて、それじゃあイムレアちゃんが知っていることを全て話してもらおうかな。従順な子は嫌いじゃないよ。情報によってはちょっとしたご褒美を用意してもいいかな」

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