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第20章 8話

 洞窟を抜けた先には多くのダンジョンモンスターの亡骸が先の道へと誘導していくかのように続いている。ダンジョンに吸収されていないところをみると、まだそこまで時間が経過していないように思える。


「あれっ?亡骸といっても中身がないね……」


 そう、ダンジョン内で倒れていた魔物は『鎧の魔物』という動く鎧だった。通路には空っぽの兜や鎧、そして剣が散乱しているけどその中身は何もない。


「これはこれで、どうやったら鎧が動かなくなるのか攻撃に悩みそうなところだけど、やっぱりこの状況を見る限りだと足を攻撃されているよね」


 機動力を奪われた後に魔法攻撃を受けた倒され方をされているように思える。動いている鎧は一つもなく全て完全に沈黙しているようだ。ウンディーネが髪の毛をくいくいと引っ張てくる。


「あー、そうだね。先を急ごうかウンディーネ」


 近くに人の気配は感じられないけど、この状況は割とすぐに戦ったばかりのように思える。この先に侵入者がいるはずだ。少なくともこのダンジョンが攻略されているというのは間違いない。


 スピード重視で進んでいこう。まだ最終階層まで攻略されていないことを祈るしかない。




 2階層、3階層と進むにつれて討伐された『鎧の魔物』の数もその大きさも進行に比例して増えていく。僕とウンディーネが侵攻するパーティに追いついたのは4階層の中ほどまで進んだところだった。


 そこには4人組のパーティが連携して『鎧の魔物』を危なげなく討伐していた。


「デニス、前に行きすぎるな! ロイス、支援魔法を!」

「おー、すまねぇ、メルビル了解だ」「守備力上昇(プロテクション)!!」

「みんないったん離れて! 魔法いっくよー」

 稲妻(サンダーボルト)


 メルビルというのがこのパーティのリーダーのように思われる。デニスと呼ばれた前衛が一緒に片手剣で『鎧の魔物』をけん制しており、後方組はロイスと呼ばれたプリーストと今、魔法を放った女の子だ。


「イムレア、ナイスだ! 魔物の数が増えてきている。周辺に気をつけてくれ」


「うん、オッケー」


 魔法使いはイムレアというらしい。メルビル君が勇者の可能性は否めないが、今は居住区へ急ぐとしよう。ダンジョンマスターの力になりたい。


 4階層には5階層から次々と大型の『鎧の魔物』が向かっていた。完全に総力戦、物量で押していく感じのようだ。4階層で終わらせようとしているのだろう。この分だと5階層にボスモンスターでその上が居住区になっているのかもしれない。


「予想通りというか、5階層既に空っぽか……。ボスモンスターも見えないな。まさか、4階層に一緒に行っちゃったパターンか」


「そ、そこにいる侵入者、姿を現しなさい。いるのはわかっているの。これ以上進むというのなら、とんでもないことになるわよ。……多分、私が」


 僕の独りごとが聞こえたようで周辺を探すように警戒している。5階層の出口には大きな杖を抱えた女の子が足をブルブルと震わせながら立っていた。おそらくだが、あれがダンジョンマスターで間違いないだろう。僕はスキルを解除して女の子の前に降り立った。


「いきなりダンジョンにお邪魔してごめんなさい。実は僕も君と同じダンジョンマスターなんだ。ここに来たらダンジョンが侵攻されているようだったから、もし困っているようなら助けてあげようかと思ってね」


「う、うわっ、ほ、本当にいた! というか、ダ、ダンジョンマスターなの? あ、あなたは味方? なぜ私の味方をするの?」


「間違っていたらごめんね。ひょっとして君の名前はドロシーかな?」


「う、うん、そう。でも何で私の名前を知っているの?」


 よし、ビンゴ! ここで恩を売っておけば、しばらくここで生活させてもらえるだろう。1か月間無防備に勇者の相手とかしてられない。空に浮かぶ島ならかなり安全だろう。気球が飛んで来たら途中で全部落としてやる。


「ここに来た詳細は後で話すけど、僕はリリアさんの仲間なんだ。リリア・ツェペシ知ってるよね?」


「えっ!? リリアはまだ生きているの? よ、よかった……。急に連絡がとれなくなったから心配していたの。リリアは、リリアは今どこにいるの?」


「よかった。君がドロシーだったんだね。とりあえず説明は後で。今は侵入者をどうにかするのが先だよね」


「そ、そうだった……。でも、あいつら結構強くて、もうダメかもしれない。あなたの仲間は、その頭の上の小さい子だけなの?」


 多分、僕の頭の上で胸を張っていると思われる。小さいけど結構強くなったんだからね。あと、もう一匹仲間かどうか微妙だけどジルサンダーっていうキメラがいるかな。


「彼らは僕が倒すからとりあえず居住区に案内してくれるかな。案内人は?」


「案内人は私の横にいるわ。スケアクロウよ」


 杖だと思っていたのは案山子の案内人だった。意思疎通できるのだろうか……。


 さて、残りのダンジョンポイントはあまり期待できなそうだな。遠隔操作で魔法ぶっ放して削っていこうと思ったけどダンジョンカメラなさそうだよね。まずは残りポイントを確認するか。


 最悪の場合はしょうがない。ウンディーネと一緒にあのパーティを何とかするか。

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